はぴテク相談室:よりニュアンスのある言葉で感情を表現すると、幸せになる
最近、なんとなく気持ちが沈んでいる気がするんですが、自分でも何が原因なのかよくわからなくて…。「なんか嫌だな」とか「モヤモヤする」とかしか言いようがないというか。うまく言葉にできないんです。
それ、すごくよくわかります。「なんとなく嫌」「なんかモヤモヤ」って、言葉にしようとしてもうまくいかないこと、ありますよね。実は、その「感情を言葉にする力」と幸福感には、深い関係があることが研究でわかってきているんですよ。
え、感情を言葉にすることが幸福感に関係するんですか?どういうことですか?
はい。「感情の粒度(エモーショナル・グラニュラリティ)」という概念があって、簡単に言うと「自分の感情をどれだけ細かく・ニュアンスを持って表現できるか」という力のことです。たとえば「悲しい」で終わらせずに、「大切なものが遠ざかっていくような寂しさ」みたいに表現できると、幸福度が高まったり、不安やうつが減ったりすることと関連があると報告されています。
でも、そんな詩みたいな表現、普通の人にできるんですかね…?私、文章が得意じゃないし。
そんなに詩的じゃなくて全然大丈夫ですよ(笑)。「怒り」を「ちゃんと見てもらえなかった悔しさ」と言い換えるくらいでも十分です。そして嬉しいことに、この「感情を細かく言葉にする力」は、鍛えることができるとされているんです。
鍛えられるんですね!それはどうやって鍛えるんですか?
研究で挙げられているのは、大きく2つです。ひとつは「感情を表す言葉の知識を増やすこと」。小説や歌の歌詞など、感情が丁寧に描かれた作品に触れるのが良いかもしれません。もうひとつは「マインドフルに自分の感情に気づくこと」。今自分の中に何があるか、立ち止まって観察する習慣です。
マインドフルに気づく、か。なんか日記に書いたりするのも効きそうですか?
研究に直接書かれているわけではないのですが、自分の感情を言葉にして書く「ジャーナリング」も、その延長線上として自然に考えられますよね。「今日モヤモヤした。それはどんなモヤモヤだろう?」と書き始めるだけでも、感情を細かく見ていくきっかけになりそうです。
そういえば、感情を細かく言葉にすると、他にも良いことがあるって話でしたよね?
はい。研究では、感情をより詳細に表現できる人は、不安やうつが少ないこと、感情をコントロールしやすいこと、衝動的な飲食などが減ること、挑発されたときの怒りや攻撃性が減ること、そして逆境から立ち直る力(レジリエンス)が高いことなどと関連していると報告されています。
すごい…。言葉にするだけでそんなに変わるんですね。でも、なぜそんな効果があるんでしょう?
はっきりとした因果関係まではまだわかっていないのですが、ひとつの考え方としては、感情を細かく言葉にすることで「今自分に起きていること」が整理されて、感情に飲み込まれにくくなる、というメカニズムが考えられています。「なんかしんどい」という大きな塊のままより、「認められたかったのに無視された悔しさ」と分けられたほうが、対処しやすくなりますよね。
確かに!「なんかモヤモヤ」のままだと、どうしたらいいかもわからないけど、「これは期待外れの残念さだ」ってわかると、少し楽になる気がします。
そうなんです、まさにそれです。あいみょんさんが「2文字で伝わることをわざわざ500文字にするのが作詞の楽しさ」とおっしゃっていたそうですが、あれはまさに感情の粒度を高める営みそのものですよね。日常の中で、自分の感情をちょっとだけ丁寧に言葉にしてみることから始めてみませんか?
なんか、「ちゃんと言葉にしようとすること」自体が、自分を大切にすることにもつながりそうですね。やってみます!
■ 今日のまとめ
- 自分の感情をより細かく・ニュアンス豊かに言葉で表現できる力(感情の粒度)は、幸福度の高さや、不安・うつの少なさ、感情コントロールのしやすさなどと関連していることが報告されています。
- この力は鍛えることができ、感情を表す言葉の知識を増やすこと(文学・歌詞などに触れる)や、マインドフルに自分の感情に気づく習慣を持つことが有効とされています。
- 「なんとなくモヤモヤ」を「これは○○な気持ちだ」と少し丁寧に言い直してみるだけで、日常の中から感情の粒度を高めていくことができます。
■ 出典・注意事項
- 出典:Frontiers in Psychology, 2022年12月|Editorial: The role of emotional granularity in emotional regulation, mental disorders, and well-being|https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2022.1080713/full
- 注意事項①:本研究は論説(Editorial)であり、感情の粒度と幸福感・精神的健康の関連を報告していますが、相関関係を示すものであり、因果関係が証明されているわけではありません。
- 注意事項②:感情の粒度を高めることの効果については、対象集団や研究デザインによって結果が異なる可能性があります。ジャーナリングや対話の効果については今回の論文に直接記載はなく、延長線上の考え方として紹介しています。
研究自体の紹介はこちら😊
よりニュアンスのある言葉で感情を表現すると、幸せになる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-07-02-1719958383/