はぴテク相談室:どんなスポーツが幸せと関連するか?
うちの子(高校生・女の子)が最近元気がなくて、何か打ち込めることを見つけてあげたいんです。スポーツを始めさせるといいかなって思っているんですが、どのスポーツが子どもの幸せにつながるんでしょうか?
それは大切な気づきですね。実はノルウェーで、16〜19歳の青少年を対象にした大規模な調査があって、スポーツと幸福度の関係を調べているんです。26,000人以上のスポーツをしている若者と、全国10万人以上のデータを比較した研究です。まずひとつ大きな発見をお伝えすると、「スポーツをしている女の子は、全国平均と比べて幸福度が高い傾向がある」という結果が出ていて、しかもその関連は男の子より女の子のほうが強かったんです。
女の子のほうが効果が大きいんですね!それは少し背中を押される気がします。具体的にどんなスポーツが幸福度と関連が高かったんでしょうか?
女の子で特に幸福度との関連が強かったのは、陸上競技、バンディ(アイスホッケーに似た冬のスポーツ)、クロスカントリースキー、アルペンスキーといった種目でした。ただ、スキーやモータースポーツは裕福な家庭の子どもしかなかなか取り組めないスポーツでもあるので、「もともと生活環境が整っている子どもが幸福度も高い」という可能性も研究者たちは指摘しています。そのまま「このスポーツをやれば幸せになれる」とは言い切れない部分があるんです。
なるほど、スキーやモータースポーツはうちにはちょっと難しいですね(笑)。陸上は比較的始めやすそうです。ちなみに、チームスポーツと個人スポーツでも違いはあるんでしょうか?友達ができるからチームのほうがいいのかな、と思って。
実はここが面白いところで、この研究では「個人スポーツとチームスポーツで幸福度に差はなかった」という結果が出ているんです。男女ともに、どちらでも幸福度との関連が見られた。ですので、「チームだから良い、個人だから良い」というより、お子さんが楽しめそうかどうか、続けられそうかどうか、という視点で選んであげるのが大切かもしれません。
それは少し楽になりました。じゃあ、何のスポーツでもいいということでしょうか?逆に、あまりよくない結果が出たスポーツはありましたか?
女の子については、調べた18種目のほぼすべてで全国平均より幸福度が高い傾向でした。男の子の話になりますが、ダンスやチア、乗馬、格闘技をやっている子は全国平均より幸福度が低い傾向が見られました。ただこれも大事な注意点があって、「幸福度が低い子がそのスポーツを選んでいる」という逆の可能性も否定できないんです。スポーツが原因で幸福度が下がったとは言えないわけです。
因果関係はわからないんですね。お子さんの様子を見ながら、ということですか。ちなみにスポーツ以外の面、たとえば学校への満足度とか痛みとかにも違いはありましたか?
はい、それも調べていて面白い結果があります。クロスカントリースキーをしている子は、18種目の中で学校満足度が最も高く、身体活動量も最も多く、痛みも最も少なく、鎮痛剤の使用率も最も低かったんです。スポーツによって、心だけでなく体のコンディションとの関連にも違いがあるようです。とはいえこれも相関のデータなので、「スキーが原因でそうなった」とは言えませんが、参考にはなりますよね。
クロスカントリースキー、すごいですね。でもこの研究はノルウェーのものですよね。日本の子どもにも同じことが言えるんでしょうか?
鋭いご指摘です!ノルウェーと日本では文化も気候もスポーツ環境も全然違います。たとえばクロスカントリースキーはノルウェーでは国民的スポーツですが、日本では一般的ではないですよね。また、部活の仕組みや競争のあり方も異なります。なので「この結果がそのまま日本の高校生に当てはまる」とは言えません。あくまで参考のひとつとして、大きな方向性を見るくらいの気持ちで受け取ってもらえると良いと思います。
わかりました。正直、どのスポーツがベストか、というより、まず何か始めてみることが大事なんでしょうか?
この研究の結論もまさにそんな内容で、「スポーツの種類やカテゴリーに関わらず、スポーツへの参加そのものが幸福度と関連している」と書かれています。特に女の子ではその関連がより強く見られました。お子さんが「やってみたい」「楽しそう」と感じられるものから始めるのが一番続けやすいかもしれませんね。陸上も、個人で取り組める部分とチームで競う部分の両方があって、選択肢として面白いと思いますよ。
ありがとうございます。難しく考えすぎず、子どもが興味を持てそうなものを一緒に探してみます。とても参考になりました!
それが一番ですね!「どのスポーツが正解か」より「お子さんが楽しいと感じられるか」を大切にしてあげてください。この研究はあくまで大きな傾向を示したものですが、スポーツと幸福度に関連がある可能性を示してくれています。お子さんのペースで、焦らず一緒に探してみてくださいね。応援しています!
■ 今日のまとめ
- スポーツをしている青少年は全国平均より幸福度が高い傾向があり、特に女の子でその関連が強く見られた(ノルウェーの大規模調査より)。
- 個人スポーツとチームスポーツで幸福度の差はなく、「どのカテゴリーのスポーツか」より「スポーツに参加していること」自体が幸福度と関連していた。
- ただしこれは相関研究であり、スポーツが幸福度を上げると断言はできない。ノルウェーと日本の文化・環境の違いもあるため、あくまで参考として捉えることが大切。
■ 出典・注意事項
- Erik Grasaas, Øyvind Sandbakk (2025). Life satisfaction across sport disciplines and sport categories in Norwegian youth: a comparison with national data. Frontiers in Psychology, 16, 1577326. https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2025.1577326/full
- 【注意事項】本研究は横断的調査(ある時点のスナップショット)であり、スポーツ参加が幸福度を高めるという因果関係は示されていない。幸福度が高い子どもがスポーツを選びやすい、という逆の可能性もある。
- 【注意事項】モータースポーツやスキーなど費用のかかる種目では、もともと生活水準が高い家庭の子どもが多く参加しており、経済的背景が幸福度に影響している可能性がある。
- 【注意事項】対象はノルウェーの16〜19歳であり、日本を含む他の国・文化圏にそのまま当てはまるとは限らない。
研究自体の紹介はこちら😊
どんなスポーツが幸せと関連するか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-08-30-1756591204/