はぴテク相談室:大学時代、体育会であった人は、幸せか?
最近、自分の大学時代を振り返ることがあって…私は体育会には入らず、普通のサークルで過ごしたんですよね。体育会出身の同僚が元気で仕事もバリバリしていて、なんか差があるのかなって少し気になっています。
そういう気持ち、わかります!実はその「体育会出身者って違うのかな?」という疑問を、ちゃんとデータで調べた研究があるんですよ。東京の私立大学の卒業生、約477人を対象にした調査なんですが、聞いてみますか?
ぜひ聞きたいです!実際どうだったんですか?
結果として、大学時代に体育会に所属していた卒業生は、そうでない卒業生と比べて、「主観的幸福感(自分がどれくらい幸せか)」が高く、仕事への意欲も高く、心のストレスが低い傾向があることがわかりました。ただし、差はあっても『効果の大きさは小さかった』と論文にも書かれているので、劇的な違いというよりは、緩やかな傾向という感じですね。
へえ、やっぱり差はあるんですね。なんで体育会出身の人はそういう傾向があるんでしょう?
研究では2つのメカニズムが考えられると述べられています。1つ目は、体育会という組織に長く属することで、精神的な「対処スキル」…つまり、つらいことがあったときに乗り越える力みたいなものが身につく可能性があるという考え方です。2つ目は、大学時代に継続的に運動していたことで体力が上がり、その体力が卒業後のメンタルの良さにつながっているかもしれないという考え方です。
体力がメンタルにつながるというのは面白いですね。それって証拠があるんですか?
はい、別の大規模な長期追跡研究で、大学1年生のときに筋力や筋持久力が高かった人ほど、卒業後のメンタルヘルスが良好だったという結果が示されているんです。ただ、あくまでこれらは「関連がある」という話であって、「体力を上げれば必ずメンタルが良くなる」と断言できるわけではないので、そこは注意が必要です。
なるほど。でも私は体育会じゃなかったし、今さらどうしようもないですよね…
そんなことないですよ!研究が示唆しているのは「体育会という組織経験」と「運動習慣による体力」の2点なんです。組織経験は過去のことですが、運動習慣は今からでも始められますよね。この研究は横断調査(ある時点での比較)なので、「今から運動すれば同じ効果が出る」とまでは言えないんですが、運動と体力とメンタルの関連は別の研究でも多く示されています。
確かに、運動習慣なら今からでもできますね。ちなみに、この研究の対象者はどんな人たちだったんですか?
東京の特定の私立大学を卒業後10年以内の若い社会人(平均27歳くらい)が対象で、有効回答が477人でした。回答率が9%とかなり低めで、答えてくれた人に偏りがある可能性も否定できません。また、特定の大学・地域・年齢層の話なので、すべての人に当てはまるとは限らないという点は頭に置いておいてください。
回答率9%というのは確かに少ないですね。信頼性はどうなんでしょう?
おっしゃる通りで、論文自体もその限界を認めています。回答した人が体育会への関心が高い人に偏っている可能性もありますし、この1回の調査(横断研究)だけでは因果関係は言えません。研究者たちも「今後は同じ人を長期間追いかける縦断研究が必要」と述べています。なので、「体育会だと幸せになれる!」と断言するには早すぎますが、傾向として興味深いデータではあります。
わかりました。体育会じゃなかったことを気にしすぎなくていいけど、運動習慣は大事にしていこうと思います。ありがとうございます!
その気づき、素晴らしいと思います!過去の所属よりも、今どう過ごすかの方がずっと大切ですからね。運動習慣を少しずつ取り入れていくだけでも、体と心のコンディション維持に役立つ可能性がありますよ。今日の話が少しでも参考になれば嬉しいです😊
■ 今日のまとめ
- 大学時代に体育会に所属していた卒業生は、そうでない卒業生と比べて主観的幸福感・仕事への意欲が高く、心理的ストレスが低い傾向が見られましたが、その差は小さいものでした。
- この傾向の背景として、「組織での精神的対処スキルの習得」と「継続的な運動による体力向上」の2つのメカニズムが考えられています(ただし因果関係は確認されていません)。
- 体育会への所属は過去の話ですが、運動習慣は今から取り入れられるもの。今の生活習慣に目を向けることが大切です。
■ 出典・注意事項
- 出典:荒井弘和ら「大学時代に体育会系であった勤労者は精神的に優れているか?-東京都に位置する総合私立大学の卒業生を対象として-」スポーツ産業学研究, 2021, 31(2), 165. https://www.jstage.jst.go.jp/article/sposun/31/2/31_2_165/_pdf/-char/ja
- 注意①:本研究は横断研究(ある時点での比較)であり、体育会所属が幸福感を『引き起こした』という因果関係は示されていません。あくまで関連(相関)の確認です。
- 注意②:対象は東京の特定の私立大学の卒業後10年以内の若手社会人に限定されており、回答率も9.0%と低く、回答者に選択バイアスが生じている可能性があります。結果をすべての人に一般化することには限界があります。
- 注意③:効果量は小さく、論文著者自身も縦断的追跡調査の必要性を指摘しています。
研究自体の紹介はこちら😊
大学時代、体育会であった人は、幸せか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-07-21-1753060486/