はぴテク相談室:ハッピートゥギャザー:生徒の幸福度は、クラスメイトの幸福度と先生の幸福度から影響
最近、子どもが学校に行くのを嫌がるようになってきて…。クラスの雰囲気が暗いというか、みんななんとなく楽しそうじゃないみたいで。これって子ども自身の問題なんでしょうか?
それは心配ですよね。実は最近、とても興味深い研究が出ていて、「クラスの雰囲気」って、お子さんの気持ちにかなり関係しているかもしれないんですよ。中国の中学生1181人を対象にした研究なんですが、同じクラスの生徒同士で「幸福感」が似てくる、という関連が見られたんです。
えっ、幸福感がうつる、ってことですか?どういうことなんでしょう?
「うつる」という表現は分かりやすいですよね。研究では、同じクラスの中で、生徒たちの「学校ウェルビーイング」、つまり学校での幸せな気持ちが、クラス内で似通ってくる傾向があった、という関連が示されました。特に「勉強って大事だな」という気持ち、「学ぶのが楽しい」という感覚、「この学校が好き」という気持ちが、クラス全体で共有されやすかったんです。
なるほど…。じゃあクラスが暗い雰囲気だと、子ども一人がどんなに頑張っても引っ張られてしまう、ということなんでしょうか?
研究から言えるのは、クラス内に幸福感の類似性がある、という関連ですね。ただ、因果関係、つまり「クラスが原因で気持ちが決まる」とまでは言いきれません。ただ、お子さんの気持ちはお子さん一人の問題というよりも、クラスという環境と関わっている可能性は十分ありそうです。
そうなんですね。でも、クラスの雰囲気って、子どもたちだけで変えるのは難しいですよね…?
そこがこの研究のもう一つの面白いところで、実は先生の幸福感も生徒の幸福感と関連していたんです。先生が教えることを楽しんでいると、生徒の「学ぶ喜び」が高い傾向があったり、先生が学校を好きだと、生徒の「学校への帰属意識」が高い傾向があったり。さらに先生が自分の仕事に自信を持っていると、生徒の「学業への自信」とも関連していたんですよ。
先生の状態がそんなに子どもに関係してくるとは思っていませんでした。担任の先生って、そんなに影響が大きいものなんですね。
この研究では、担任制度がある中国の中学校を対象にしていて、先生と生徒の関係が密接な文脈での話です。日本の学校環境がまったく同じとは言えないので、そのまま当てはめるのは注意が必要です。でも、「先生も一人の人間として、幸せかどうかがクラスに関わってくる」という視点は、なかなか新鮮じゃないですか?
確かに…。子どもに「学校楽しんで」と言うだけじゃなく、先生や学校全体のことも気になってきました。親としては何かできることってあるんでしょうか?
研究が示しているのは、クラス全体・学校全体でウェルビーイングを育てることが大切、という方向性です。親御さんとしては、たとえばお子さんが「クラスで誰かと楽しかったこと」を話せる時間を家で作ってみるのはいかがでしょう。小さなポジティブな体験を言葉にすることが、「学ぶのって楽しい」「学校っていいな」という感覚と関連している可能性がありますよ。
「楽しかったこと」を聞く、か。つい「何か嫌なことなかった?」って聞いてしまっていました…。
それ、すごくよくある話です!悪いことを防ごうとするのは親心ですよね。でも「今日どんなこと面白かった?」「給食で好きなもの出た?」みたいな小さな問いかけが、お子さんの中に学校のポジティブな記憶を積み上げていく助けになるかもしれません。研究が示すように、「学ぶ喜び」や「学校への愛着」はクラス全体に広がっていく可能性があるものですから、まずご家庭でその種を蒔く感覚ですね。
なんか、一人で抱え込まなくていいんだって少し楽になりました。クラス全体の話でもあるし、先生も含めたみんなの話でもあるんですね。
そうなんです!タイトルの「Happy Together(ハッピートゥギャザー)」そのものですよね。お子さんの幸福感は、お子さん一人の問題じゃなく、クラスメイトや先生、そして家庭も含めた「みんなの幸せ」とつながっている。だからこそ、一人で解決しようとしなくていいし、周りとの関係の中で育まれていくものだと、この研究は示唆しています。
■ 今日のまとめ
- 同じクラスの生徒同士で「学ぶ喜び」「学校への帰属意識」「勉強の大切さ」といった幸福感が似通ってくる関連が研究で示されており、子どもの気持ちはクラス環境と無関係ではない可能性があります。
- 先生の幸福感(教えることの楽しさ・学校への愛着・自信)も、生徒の学校ウェルビーイングと正の関連があり、学校全体でウェルビーイングを育てる視点が重要です。
- 家庭では「今日楽しかったことは?」といったポジティブな問いかけを通じて、子どもが学校のよい体験を言葉にできる機会を作ることが、学校への愛着を育む一助になるかもしれません。
■ 出典・注意事項
- ■出典:Chan, J. et al. (2025). Happy together: Multilevel associations between adolescents' and teachers' school-specific subjective wellbeing. Journal of School Psychology. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022440525000019
- ■対象集団の限界:本研究は中国の公立中学校(生徒1181人・教師44人)を対象としており、集団主義的文化・担任制度という特定の文化的・制度的文脈での結果です。日本など他の国・文化へそのまま一般化することには注意が必要です。
- ■相関と因果について:本研究はマルチレベル分析による関連性(相関)を示したものであり、「クラスの雰囲気が原因で幸福感が決まる」「先生の幸福感が原因で生徒が変わる」という因果関係を証明したものではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
ハッピートゥギャザー:生徒の幸福度は、クラスメイトの幸福度と先生の幸福度から影響
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-02-21-1740182347/