はぴテク相談室:心理的安全性とレジリエンスを高める包摂的な組織風土の形成
うちの職場、なんとなくギスギスしてて…みんな意見を言いにくそうだし、新しいことに挑戦する雰囲気もないんです。どうしたらもっと働きやすくなるんでしょうか?
それは辛いですね。意見が言いにくい職場って、じわじわ疲弊していきますよね。実は、学校組織を対象にした研究で「心理的安全性」と「レジリエンス(しなやかな回復力)」を高める組織づくりについて、とても参考になる知見がまとめられているんです。一緒に見ていきましょう!
心理的安全性って最近よく聞くんですが、具体的にはどういう状態のことを言うんですか?
簡単に言うと、「ここでは失敗しても責められない」「自分の意見を言っても大丈夫」と感じられる雰囲気のことです。この研究では、心理的安全性が高い組織ほど、メンバーが多様な視点や知識を持ち寄りやすくなることが整理されています。意見を言いにくい職場は、この安全性が低い状態に近いかもしれませんね。
なるほど。でも、職場の雰囲気ってどうやって変えるんでしょう?リーダーや上司が変わらないと無理な気がして…
鋭い視点です!この研究でも、リーダーの役割はとても重要だと指摘されています。特に面白いのが、「通訳型リーダー」という考え方です。これは、さまざまな人やネットワーク、異なる意見や知識をつなぎ合わせて、全体の大きな絵をまとめ上げる役割を担う人のことです(Zolli & Healy, 2013)。
「通訳型」って面白い表現ですね。でも、それだけで変わるんでしょうか?
実はもう一人、重要な存在がいるんです。それが「訓練されたenergizer(エナジャイザー)」と呼ばれる人です(Miguel et al., 2013)。エナジャイザーとは、メンバー同士の関係を温かく、良好に保つ役割を担う人のこと。全体像を描いてまとめるリーダーと、現場を元気に盛り上げる人がコンビで動くと、組織の変化がより促されると研究では指摘されています。
コンビ、ですか!確かに職場でも「この人がいると場が和む」って人がいますね。そういう人が大事ってことなんですね。
そうなんです!そして大切なのは、そのエナジャイザーは必ずしも管理職や上司でなくていいということ。むしろ、メンバーの中にいてみんなとフラットに関われる人がその役割を担うことで、関係性がほぐれやすくなると考えられています。あなたの職場にも、そういう存在の方はいませんか?
言われてみると…いつも場を和ませてくれる同僚が一人いるかも。でも、そういう人に頼るだけでいいのかな?
いい気づきですね。この研究では、個人の力だけでなく「包摂的な組織風土」、つまり多様な働き方や価値観をまるごと受け入れる組織全体の土壌を育てることが重要だと強調しています。一人のエナジャイザーに頼るのではなく、その人が動きやすい環境・雰囲気を組織全体でつくっていくイメージです。
組織全体で、となると何から始めればいいんでしょう?
この研究が示す方向性でいうと、まず「交流の場をつくること」が出発点になります。意見や視点が行き交えるよう、日常的にメンバーが話し合える機会を増やすことです。そしてその場で「通訳型リーダー」が多様な意見をまとめ、「エナジャイザー」が場の雰囲気を温かく保つ。この組み合わせが、心理的安全性とレジリエンスを高める組織風土の形成につながると整理されています。
なんか、少し希望が見えてきました。自分もエナジャイザー的な動きをちょっと意識してみようかな。
素敵な気づきだと思います!ただ一つ補足すると、この研究は学校組織を対象にまとめられたもので、すべての職場環境に同じように当てはまるかどうかは分かりません。あくまで「こういう視点で自分の職場を見直すヒント」として活用してみてくださいね。小さなところから、できることを試してみるのが一番です😊
■ 今日のまとめ
- 「通訳型リーダー」(多様な意見や知識を全体像にまとめる人)と「エナジャイザー」(関係性を温かく促進する人)のコンビが、組織の心理的安全性とレジリエンスを高める上で重要と指摘されています。
- 心理的安全性とは「失敗しても責められない」「意見を言っても大丈夫」と感じられる雰囲気のことで、メンバーが多様な視点を持ち寄りやすくなることと関連しています。
- 個人の力だけでなく、多様な働き方・価値観を受け入れる「包摂的な組織風土」を組織全体で育てることが、ウェルビーイングな職場づくりの土台とされています。
■ 出典・注意事項
- 出典:兵庫教育大学大学院 現代学校経営研究「心理的安全性とレジリエンスを高める包摂的な組織風土の形成-働き方の多様性を生かしたウェルビーイングな学校づくり-」2024年12月5日 https://hyogo-u.repo.nii.ac.jp/record/2000409/files/09.pdf
- 参照文献:Zolli & Healy (2013)、Miguel et al. (2013)
- 【注意事項】本研究は学校組織を対象とした既存研究の整理と提言であり、一般企業や他の職場環境への直接的な適用可能性は限られる場合があります。また、紹介されている関係性(例:エナジャイザーの存在と組織風土の改善)は相関・理論的考察に基づくものであり、因果関係が実証されたものではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
心理的安全性とレジリエンスを高める包摂的な組織風土の形成
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-12-04-1733347805/