はぴテク相談室:ピーク・エンドの法則と幸せ
最近、自分の人生ってこれでよかったのかな…って考えてしまうんです。特別に輝いている時期もなかったし、毎日なんとなく過ごしてきた感じで。人生の幸福度って、結局どうやって決まるんでしょう?
それは深いテーマですね。実は「人生の幸福度はどう決まるか」を研究した日本の論文があって、面白いことが分かっているんですよ。まず、「ピーク・エンドの法則」って聞いたことありますか?
ピーク・エンド…?なんとなく聞いたことある気がしますが、詳しくは知らないです。
簡単に言うと、「ある体験の記憶や評価は、一番感情が高まった瞬間(ピーク)と、体験が終わった時の気持ち(エンド)で決まりやすい」という考え方です。体験の長さよりも、この2点が印象を左右するという法則で、もともとは痛みを伴う医療処置や動画視聴の研究から発見されたものです。
なるほど。じゃあ、人生の幸福度も「人生で一番楽しかった瞬間」と「死ぬ間際の気持ち」で決まる、ってことですか?
そう考えた研究者もいたんです。でも今回の日本の研究(藤島先生、2024年)が追試してみたところ、人生の幸福度に関しては「エンド(終わり方)」の影響はあまり強くなかった、という結果が出たんですよ。
え、終わり方はあまり関係ないんですか?それはちょっと意外です。じゃあ何が大事なんでしょう?
研究の結果では、どちらかというと「人生の中で充実した時期=ピークを作れるかどうか」の方が、人生全体の幸福度と結びついていたようです。しかも、ピークというのは一瞬の出来事じゃなくていい。充実した時期が何度もあった、ということでもOKなんです。
「充実した時期」か…。私、そういう時期がなかったから幸せじゃないってことになっちゃいますかね…。
そう落ち込まないでください!大事なのは「過去になかった」ではなく、「これから作れるかどうか」でもあると思います。この研究が示しているのは、充実した時期は複数回あっていいし、これからの時間の中に作っていくことも含まれると読めるんです。人生はまだ続いているわけですから。
確かに、これからのこととして考えればいいんですね。ちょっと気が楽になりました。あと、「太く短い人生と細く長い人生」という話も気になって。どういうことですか?
これも同じ研究の中の話で、「濃密だけど短い人生」と「平穏だけど長い人生」を比べると、前者の方が幸福度の評価が高くなる傾向が見られた、ということです。ただ研究者自身も「太く長い人生が一番いい」とコメントしているくらいなので(笑)、「短命でいい」という話ではなく、日々の濃さ・充実感が大切だというメッセージとして受け取るのが自然だと思います。
なるほど、長さよりも濃さ、ということですね。「なんとなく過ごす」じゃなくて、充実を意識して作っていくことが大事なんだ。でも、そのエンドの話、日常の体験(お店のサービスとか)には関係ありますか?
そこが面白いところで、同じ研究から「エンドが効いてくる条件」も分かっています。複数の選択肢を比べている時や、過去の記憶を振り返って評価する時には、終わり方も評価に影響しやすいんです。例えばお店を2軒比べて「どっちが良かった?」と考える場面では、最後の印象が記憶に残りやすく評価に影響します。だからサービス業や授業の締めくくりを工夫することには意味があるんです。
人生全体の幸福と、個々の体験の評価では、ちょっと違う仕組みが働いているんですね。すごく整理できた気がします。今日聞いてよかったです!
■ 今日のまとめ
- 人生全体の幸福度は「終わり方(エンド)」よりも「充実した時期(ピーク)を作れたかどうか」と結びついていることが、日本の追試研究で示されました。
- 充実した時期は一度きりの特別な瞬間でなくてよく、何度も繰り返し作ることができます。これからの生活の中で意識していくことが大切です。
- 個々の体験(サービスや出来事)の評価では、比較や振り返りをする場面でエンド(終わり方)も影響しやすいため、ピーク・エンドの法則は「状況によって働き方が変わる」と理解するのが正確です。
■ 出典・注意事項
- 藤島喜嗣(2024)「結末情報の付加が幸福度判断に及ぼす影響 ― 異なる要因配置によるDiener, Wirtz, & Oishi (2001)の追試 ―」マーケティングジャーナル, 2024/10/24. https://www.jstage.jst.go.jp/article/marketing/advpub/0/advpub_2025.001/_article/-char/ja/
- 【注意事項】本研究はシナリオを用いた実験研究であり、実際の人生経験を長期追跡したものではありません。シナリオへの評価と現実の幸福感が同じとは限りません。
- 【注意事項】「ピークが幸福度と結びついている」という結果は相関・関連の示唆であり、「充実した時期を作れば幸福度が上がる」という因果関係を直接示したものではありません。
- 【注意事項】研究の対象や実験参加者の属性によって結果が異なる可能性があり、すべての人・文化に同様に当てはまるとは限りません。
研究自体の紹介はこちら😊
ピーク・エンドの法則と幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-29-1730240068/