はぴテク相談室:芸術作品を作ると、職を得るより、幸福度が高まる。
最近、なんとなく毎日が単調で、生きがいを感じられないんです。仕事はちゃんとあるんですけど、なんか物足りなくて…。
そうですか、仕事はあるのに何か満たされない感じがするんですね。それはつらいですよね。実は最近、おもしろい研究が出ていて、その「物足りなさ」のヒントになるかもしれないんです。少し聞いてみますか?
はい、ぜひ教えてください!
2024年にイギリスで行われた研究なんですが、イングランドに住む約7,200人を調べたところ、絵を描いたり、編み物をしたり、木工や写真撮影などの「芸術・工芸活動」を過去12ヶ月にやった人は、やっていない人よりも生活満足度が高く、人生に価値を感じやすく、幸福感も高かったという結果が出たんです。
へえ!でも、それって仕事があるかどうかとか、年齢とか、健康状態とか、そういう影響じゃないんですか?
鋭いですね!実はその研究、性別・年齢・健康状態・雇用状況などの影響をちゃんと考慮したうえでも、芸術・工芸活動の効果が出たんです。しかもなんと、『職があるかどうか』よりも、生活満足度・幸福感・人生に価値があるという感覚への関連が強かったんですよ。
え、仕事があることより芸術活動のほうが幸せに関係してるってことですか!?それはびっくりです。
そうなんです、私もはじめて見たときは驚きました。ただ、これはあくまで「関連性がある」という話で、芸術活動をしたから幸せになった、と因果関係が証明されたわけではないので、そこは注意が必要です。でも、それだけ強い関連があるというのは、注目に値しますよね。
なるほど。ちなみにどんな活動が含まれてたんですか?絵を描くとか、そういう本格的なものじゃないとダメですか?
そこも気になりますよね!研究に含まれていたのは、絵画・デッサン・版画・彫刻のほか、芸術目的の写真撮影、映像制作、コンピューターでのアート制作、刺繍・かぎ針編み・編み物などの繊維工芸、木工や家具作りなどです。家族旅行のスナップ写真は除かれていましたが、かなり幅広いですよね。
編み物や刺繍も入ってるんですね。それなら私でもできそうです。でも、孤独感とか不安には効かないんですか?
そこも正直に伝えますね。この研究では、不安の軽減と孤独感については、芸術・工芸活動との有意な関連は見られなかったんです。なので「万能な解決策」ではなく、生活満足度・幸福感・人生の意味を感じる部分には関連があった、ということです。
わかりました。じゃあ、毎日の単調さや生きがいのなさには、何かものを作ることが助けになるかもしれないんですね。
そう言えそうですね。この研究の著者たちも「芸術や工芸は比較的取り組みやすくて費用もかかりにくいので、社会全体の健康ツールとして有望」と言っています。まず気軽に、好きそうな活動を試してみることから始めてみてはどうでしょう?
実は昔、水彩画が好きだったんです。久しぶりに描いてみようかな、という気になってきました!
それは素敵ですね!研究の対象はイングランドの成人なので、そのまま日本の全員に当てはまるとは言い切れませんが、何かを自分の手で表現する行為が幸福感と関連しているという知見は、試してみる価値を感じさせてくれますよね。ぜひ、水彩画を楽しんでみてください!
■ 今日のまとめ
- 芸術・工芸活動(絵画・編み物・木工・写真など)に取り組んでいる人は、そうでない人に比べて、生活満足度・幸福感・人生の意味を感じる度合いが高いという関連が示されました。
- この関連は、年齢・健康・雇用状況などの影響を考慮したうえでも確認され、『雇用があるかどうか』よりも強く関連していたのが注目ポイントです。
- 一方、不安の軽減や孤独感については有意な関連は見られなかったため、万能ではなく、『生きがい・満足感』の部分に特に関わっている可能性があります。
■ 出典・注意事項
- 出典:Tymoszuk U, et al. 'Creating arts and crafting positively predicts subjective wellbeing.' Frontiers in Public Health, 2024年8月16日. https://www.frontiersin.org/journals/public-health/articles/10.3389/fpubh.2024.1417997/full
- 注意①【相関であって因果ではありません】この研究は横断的な調査データの分析であり、芸術活動が幸福感を『引き起こした』とは言えません。もともと幸福感が高い人が芸術活動をしやすい可能性もあります。
- 注意②【対象集団の限界】調査対象はイングランド在住の成人(2019〜2020年)に限られており、日本を含む他の国・文化・年代にそのまま当てはまるかどうかは不明です。
- 注意③【活動の定義】家族や休日のスナップ写真など『記録目的』の活動は除かれており、『芸術活動として意図した創作』が対象である点に留意が必要です。
研究自体の紹介はこちら😊
芸術作品を作ると、職を得るより、幸福度が高まる。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-08-22-1724364003/