幸福度を高める取組は、一つをやり続けるべきか?色んなことをするべきか?
→最初は色々、じょじょに自分に合ったものに絞ってくのが良さそう。
2021年のカリンナ・オカベ先生やソニア・リュボミアスキー先生らの研究😊
ちょっと昔のですが、凄く大事で、かつ衝撃を与えた研究なので、ご紹介。
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幸福度を高めるためのワークは沢山あります。
毎日良かった事を記録するとか、感謝をするとか、何事も味わうとか。
で、この研究以前は、どれか一つよりも、色々やると良いよ。と言われていました。
何故ならば、人は刺激に慣れちゃうためです。(快楽適応防止モデル,Sheldon & Lyubomirsky,2012)
この色んなワークを行うと幸福度が高まる効果を、幸せのショットガン効果と言ったりもします。
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これはそんなに多くない人数での実験では実証されていたのですが、これをスマホアプリを使って大規模に調査してみよう!という研究。
20万人超のデータから分析いただきました。
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結果としては、
①幸福度を高めるワークをすると、幸福度が高まる。
②幸福度を高めるワークに、多くの時間を費やすほど、幸福度が高まる。
ことが分かりました。
そして、核心のワークのバリエーションについては、
③ワークのバリエーションが多様なほど、効果が低下する。
ということが分かりました。
(活動時間を考慮しない場合は、バリエーションが多いほど幸せ。:従来研究通り
ただし、活動時間が同じ場合で見ると、バリエーションが多いほど幸福度の伸びが低下。)
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つまり、
幸福度を高める行動は、最初は色々やってみた方が良いです。
しかし、ずっと、色々やっていると、自分にとってあまり効果的ではない行動もあったりするので、
じょじょに自分に合った取組を習慣化していくことが幸福度を高める最も良い方法である。
ということかなと。
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毎日色んな情報を発信していますが、
その中から一つでも二つでも良いので、
是非自分にあった取組を見つけ、習慣や信念にしていって頂ければと思います😊
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多様性は幸福のスパイスなのか?20万人以上の幸福追求者を対象とした調査では、多様性の増加はポジティブな活動介入の効果の低下と関連していることが示された。
Is variety the spice of happiness? More variety is associated with lower efficacy of positive activity interventions in a sample of over 200,000 happiness seekers
Karynna Okabe-Miyamoto,Seth Margolis &Sonja Lyubomirsky
The Journal of Positive Psychology ,2021/11
[https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17439760.2021.2006760](https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17439760.2021.2006760)
DL用↓
[https://escholarship.org/content/qt16z9777m/qt16z9777m.pdf?t=r6o9hs](https://escholarship.org/content/qt16z9777m/qt16z9777m.pdf?t=r6o9hs)
幸福度(またはウェルビーイング)を高めるための実証的に裏付けられたアプローチは、日常生活の中で短時間で自発的なポジティブな活動に取り組むことです。しかし、快楽適応のため、そのようなポジティブな活動はウェルビーイングに持続的な変化をもたらさない可能性があります。特に、これまでの研究では、多様性が快楽適応を遅らせ、ポジティブな活動の効果を高める重要な要素であることが示されています。本研究では、ウェルビーイングを高めるためのポジティブなエクササイズをまとめたアプリを使用する幸福追求者の大規模サンプル(N = 218,606)において、ウェルビーイングを高める活動を実践する際の多様性の役割を他の要因とともに検証しました。その結果、より多様なポジティブな活動を行うことは、ウェルビーイングの向上は大きくなく、むしろ小さくなることと関連していることが示されました。さらに、より多様な活動に取り組んだ人々は、より多様性の低い活動に取り組んだ人々よりも、一般的に効果の高い活動を選択する傾向が低いことがわかりました。
【背景】
■ 第1章:幸福度を高めることの意義
まず研究者たちが出発点としているのは、「そもそも幸福であることに、どんな価値があるのか」という問いです。
幸福度(主観的ウェルビーイング)が高い人は、そうでない人と比べて様々な面で良い結果を示すことが、多くの研究で明らかになっています。
▼ 幸福度が高いと関連する具体的な成果
・より長生きする傾向がある(Diener et al., 2017)
・長期的に自殺リスクが低い(Koivumaa-Honkanen et al., 2001)
・より高い収入を得る傾向がある(Walsh et al., 2018)
・より満足度の高い結婚生活を送る(Harker & Keltner, 2001)
これらの知見をまとめた包括的なレビュー(Lyubomirsky, King & Diener, 2005)は、幸福度が「成功の結果」であるだけでなく、「成功の原因」にもなりうることを示しています。
また、幸福であることを人生の重要な目標とする人は世界中に多く存在することも指摘されています(Diener, 2000)。
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■ 第2章:ポジティブ活動介入の効果
幸福度を高めたいと思う人に対して、「何をすれば良いか」を科学的に検証した研究が蓄積されてきました。その中で注目されているのが「ポジティブ活動介入(positive activity interventions)」です。
▼ ポジティブ活動介入とは?
日常生活の中で自分で取り組む、短時間で完結するような前向きな行動や思考の練習のことです。特別な設備や専門家のサポートがなくても実践できるという点が特徴です。
▼ 代表的なポジティブ活動の例と根拠
・親切行動(acts of kindness)
他者に対して意識的に親切にする行動。実験的に検証されており、実践した人の幸福度上昇が確認されています(Nelson et al., 2016)。
・感謝の表現(gratitude expression)
感謝の気持ちを日記に書いたり、他者に伝えたりする活動。主観的ウェルビーイングの向上と関連することが示されています(Layous et al., 2017)。
・楽観的な未来の可視化(visualizing optimistic futures)
「将来の自分の最良の姿」を想像して書き出す活動。幸福度を高める効果が実験的に検証されています(Lyubomirsky et al., 2011)。
・サバリング(savoring)
良い経験や出来事を意識的に味わい、その喜びを長引かせる活動。幸福度向上との関連が示されています(Hurley & Kwon, 2012)。
▼ メタ分析による包括的な評価
これらのポジティブ活動介入の全体的な効果を多数の研究をまとめて分析した研究(メタ分析)が複数あります。
・ランダム化比較試験(無作為に介入群と統制群に分ける実験)をまとめた分析では、ポジティブ活動介入の効果が統計的に確認されました(Bolier et al., 2013)。
・別のメタ分析でも同様に、うつ症状の軽減と幸福度向上の効果が示されています(Sin & Lyubomirsky, 2009)。
・ただし、より慎重な分析手法を用いた最新のメタ分析では、効果量(介入の影響の大きさを示す数値)はこれまで報告されていたものより小さい可能性が指摘されています(White et al., 2019)。
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■ 第3章:ポジティブ活動の効果が長続きしない問題
ポジティブ活動介入には効果があるものの、その効果が長続きしないという課題が早くから認識されていました。
▼ 具体的な例
・感謝日記を書く介入を行った研究では、介入期間が終わると生活満足度がほぼ元の水準に戻った(Emmons & McCullough, 2003)
・楽観的な未来の可視化でも同様の「戻り」が観察された(Lyubomirsky et al., 2011)
・ポジティブ心理療法(感謝・強みの発見などを組み合わせた介入)でも、長期的な効果の維持が課題として残った(Seligman et al., 2006)
では、なぜ効果が薄れてしまうのか?その最も重要な理由として挙げられるのが「快楽適応」です。
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■ 第4章:快楽適応——幸福の大きな壁
▼ 快楽適応(hedonic adaptation)とは?
良い出来事や状況に対する感情的な反応が、時間とともに弱まっていく現象です(Frederick & Lowenstein, 1999)。
わかりやすく言えば、「嬉しかったことも、慣れてしまうと当たり前になる」ということです。
▼ 快楽適応はなぜ起きるのか?
進化的に見れば、同じ刺激に対して常に強く反応し続けることは非効率であり、新しい刺激や変化に素早く気づくために、既知の刺激への反応を落とす仕組みが備わっています(Kahneman & Tversky, 1979)。
▼ 快楽適応は必ずしも「悪」ではない
快楽適応は、ネガティブな経験からの回復を助ける面もあります。
・離婚(Lucas, 2005)
・身体障害の獲得(Hernandez et al., 2014)
・死別(Luhmann, Hofmann, Eid & Lucas, 2012)
——これらの辛い経験に対しても、時間とともに感情的な反応が和らいでいくのは、心理的健康を保つうえで重要です。
▼ しかしポジティブな経験では「より速く・より完全に」適応が進む
ここが重要なポイントです。快楽適応は、ポジティブな出来事(例:昇給)に対してはネガティブな出来事(例:減給)に対するよりも速く、かつ完全に進む傾向があります(Lyubomirsky, 2012)。
これがポジティブ活動介入の効果を持続させることを難しくする主な理由です。
▼ 有名な事例:宝くじ当選者の幸福度
大きな幸運を得た人が長期的にはそれほど幸福でないことを示した古典的研究があります(Brickman, Coates & Janoff-Bulman, 1978)。当選直後の喜びが急速に薄れ、日常の小さな出来事から感じる喜びも減少してしまうことが示されました。
【研究内容】
■ 第1部:研究の設計——何を、どうやって調べたか
▼ 研究のスタイル
本研究は、スマートフォンアプリを使って幸福度向上に自発的に取り組んでいる人々の実際の行動データを収集・分析した「自然観察的研究(ecologically valid study)」です。
自然観察的研究とは、実験室で人工的に状況を作るのではなく、人々が実際に行動している自然な環境でデータを集める方法です。現実に即したデータが得られる一方、因果関係の断定が難しいという特徴があります。
▼ 使用したアプリの仕組み
・AndroidとiOS両対応のスマートフォンアプリ
・ユーザーはアプリを初めて開いた際に、基本的な質問票とウェルビーイング(幸福度)の測定に回答する
・その後、2週間ごとに複数のポジティブ活動がまとめてユーザーに提示される
・ユーザーは自分のペースで活動に取り組む
・アプリを開いて、前回の幸福度測定から2週間以上経過している場合、幸福度の再測定が促される
・ユーザーは望む限り活動を続け、幸福度測定を繰り返す
▼ 活動のカテゴリ
アプリ内のポジティブ活動は、以下の5つのカテゴリに分類されていました。
・マインドフルネス(mindfulness):今この瞬間に意識を向ける練習
・感謝(gratitude):良いことや他者への感謝を意識的に記録・表現する
・楽観性(optimism):将来についてポジティブな見通しを持つ練習
・他者への親切行動(prosocial acts):誰かのために何かをする行動
・認知の組み換え(cognitive reframing):物事の見方を意識的に変える思考の練習
各カテゴリには約12種類の具体的な活動が含まれており、例えば「1日に5つの親切をする」「誰かの良いニュースを一緒に喜ぶ」「自分に意味をもたらす活動を書き出す」「過去の良い思い出を味わう」「毎週の感謝リストを作る」などがありました。
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■ 第2部:参加者——どんな人のデータを使ったか
▼ データのクリーニング(不適切なデータの除外)
研究者たちは分析の質を確保するため、以下の条件に当てはまる参加者を除外しました。
・幸福度測定を1回しか行わなかった人(5,531人除外)
→ 幸福度の「変化」が計算できないため
・ポジティブ活動を1つも完了しなかった人(1,513人除外)
→ 活動のバリエーションが計算できないため
・最初と最後の幸福度測定の間隔が3日未満の人(723人除外)
→ 測定システムのエラーとみなされ、極端な値が生じるため
▼ 最終的な参加者
除外後のデータは、218,606人から得られた716,470件の幸福度測定データでした。
参加者の特徴をまとめると次のとおりです。
・性別:87%が女性
・年齢:57%が25〜44歳
・就業状況:72%が有職者
・交際状況:36%がパートナーあり
・子どもの有無:48%に子どもあり
・最初と最後の幸福度測定の間隔(中央値):74日(範囲:3〜1,534日)
・完了した活動数(中央値):10件(範囲:1〜62件)
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■ 第3部:測定指標——何をどう数値化したか
▼ 測定指標1:ウェルビーイング(幸福度)
各測定時点での幸福度は、以下の2つの指標を平均して算出しました。
・ポジティブ感情の頻度
「過去1ヶ月間に、喜び・活力・インスピレーション・畏敬の念をどの程度感じましたか?」
(1=まったくない、5=ほぼ毎日)
・生活満足度
「自分という人間にどの程度満足していますか?」
(1=非常に不満、7=非常に満足)
これらを0〜100点に換算しており、全体の平均は44.6点(標準偏差19.4)でした。
▼ 測定指標2:ウェルビーイング成長率
単に最初と最後の幸福度を比較するのではなく、各参加者について時間の経過とともに幸福度がどのように変化したかを回帰分析(データの変化傾向を数学的に表す方法)でモデル化しました。
分析の結果、幸福度の変化は「対数的(logarithmic)な成長」が最もデータに合うことが分かりました。対数的成長とは、最初は急速に上昇し、時間が経つにつれて伸びが緩やかになるパターンです。
各参加者について、この対数的成長の「傾き(slope)」を個人の幸福度成長率として算出しました。
▼ 測定指標3:活動の総数
参加者が最初から最後の幸福度測定の間に完了したポジティブ活動の合計数です。同じ活動を繰り返した場合もカウントされます。
▼ 測定指標4:活動のバリエーション
単に「何種類の活動をしたか」を数えるのではなく、「シャノン指数(Shannon index)」という数式を使って計算しました。
シャノン指数とは、もともと情報通信の分野で「情報の多様性・不確実性」を測るために開発された指標です(Shannon, 1948)。生態学では「生物の多様性」を測るためにも使われており、感情研究でも「感情の多様性(emodiversity)」を測る際に使われています(Quoidbach et al., 2014)。
この指数は、各カテゴリへの活動の分散の度合いを数値化するもので、5つのカテゴリすべてに均等に活動が分散している場合に最大値(1.61)になります。また、活動が1つのカテゴリに偏っているほど低い値になります。
▼ 測定指標5:活動の質(quality of activity use)
これは研究者たちが独自に作成した指標で、「その参加者が選んだ活動は、全体的に見て効果的なものだったか」を表します。
計算方法は次のとおりです。
・まず各カテゴリの活動数が、全体の幸福度成長率をどれだけ予測するかを回帰分析で推定する(回帰係数が大きいほど、そのカテゴリが幸福度上昇と強く関連している)
・次に各参加者について、自分の活動の配分比率に、各カテゴリの回帰係数を掛け合わせて合計する
・この合計値が高い参加者は「全体的に効果的な活動を選んでいた人」、低い参加者は「あまり効果的でない活動を選んでいた人」を意味します