はぴテク相談室:幸福度を高める取組は、一つをやり続けるべきか?色んなことをするべきか?
最近、幸福度を上げようと思っていろんな本やSNSを見て、感謝日記をつけたり、瞑想したり、良いことを3つ書いたり、色々やってみているんです。でも正直、どれも中途半端になっちゃって、効果があるのかよく分からなくて…。やっぱり色々やるのって良くないんでしょうか?
ご相談ありがとうございます😊 実はその悩み、とても多くの人が感じていることで、ちゃんと研究でも注目されているテーマなんですよ。結論から言うと、「最初に色々試すこと」自体は悪くない、でも「ずっと色々やり続けること」は効率が落ちてくる可能性がある、ということが大規模な調査で分かってきているんです。
え、そうなんですか!でも、飽きないように色々やった方が良いって聞いたこともあるんですが…それとは違うんですか?
鋭いですね!実はそこが研究のミソなんです。以前は「人は同じことを繰り返すと慣れてしまうから、バリエーションをつけた方が幸福度が上がりやすい」と考えられていました。これを専門的には『快楽適応防止モデル』と言います。簡単に言うと、同じ刺激に慣れると効果が薄れてくる、だから変化をつけよう、という考え方です。
なるほど、だから色々やった方がいいって言われてたんですね。でも、それが違うということ?
正確に言うと、「条件次第で話が変わってくる」というのが今回の研究のポイントです。2021年にオカベ・ミヤモトさんやリュボミアスキーさんたちが、スマホアプリを使って20万人以上のデータを分析したんですね。その結果、活動にかける時間の総量が同じ場合で比べると、バリエーションが多いほど幸福度の伸びが小さくなる、という結果が出たんです。
20万人以上!すごい規模ですね。でも「時間の総量が同じ場合」って、どういうことですか?
いい質問です!たとえば、1日30分をウェルビーイングのワークに使うとして、その30分を感謝日記・瞑想・良いこと記録・サバリング(良い体験を意識的に味わうこと)の4つに分けて使うのと、感謝日記だけに30分集中するのを比べると、後者の方が幸福度の伸びが大きい傾向があった、ということです。たくさんの種類をやろうとすると、それぞれに費やせる時間や集中度が薄まってしまうんですね。
あ〜、確かに!私も色々やろうとして、どれも5分くらいしかできてないかもしれないです。じゃあ、一つに絞った方がいいということですか?
最終的には絞っていくのが良さそう、というのが研究者たちの見解です。ただ、大事なのは最初から一つに絞らなくていい、ということ。研究では、バリエーション多めでやっていた人たちは、一般的に効果の高いとされる活動を選びにくい傾向もあることが分かりました。つまり、最初は色々試してみて、「自分にはこれが合うな」と感じるものを見つけること自体はとても大切なプロセスなんです。
じゃあ、今の段階の私は「まだ探し中」って感じで、それはそれで良いということですか?
そうです!まだ試行錯誤している段階なら、色々やってみること自体は自分に合ったものを見つけるための大切なステップです。ただ、「いつまでも色々」だと効率が落ちてくる可能性があるので、少しずつ「あ、これは自分に合ってる気がする」と感じるものに時間を多く使うようにシフトしていくのが、この研究から示唆されることですね。
なんか、すごくスッキリしました。ちなみに、どのくらい続けると効果が出てくるものなんでしょうか?
この研究自体では「何日続けたら効果が出る」という具体的な期間は示されていないのですが、研究全体を通じて分かっているのは、活動に費やす時間が多いほど幸福度が高まる傾向がある、ということです。つまり、継続して取り組むこと自体が大切、ということは言えそうです。焦らず、まずは「これが自分に合ってるかも」と思えるものを少し長めに試してみるのが良いんじゃないかと思います😊
分かりました!感謝日記は割と続けやすいと感じているので、まずはそれを丁寧にやってみようと思います。今日は本当にありがとうございました!
素晴らしいです!感謝日記が続けやすいと感じているなら、まさにそれがあなたに合ったワークかもしれませんね。ぜひ、「量より質・深さ」を意識しながら続けてみてください。研究の知見を日常に活かしていただけると、私もとても嬉しいです😊 応援しています!
■ 今日のまとめ
- 最初はいろいろなウェルビーイングワーク(感謝日記・瞑想・サバリングなど)を試してみることは、自分に合ったものを見つけるために有効です。
- ただし、同じ時間を使うなら、バリエーションを増やすよりも自分に合ったものに集中した方が幸福度の伸びが大きい傾向が、20万人超の大規模調査で示されました。
- 「最初は色々→徐々に自分に合ったものに絞り、継続する」という流れが、幸福度を高めるうえで効果的なアプローチと考えられます。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Okabe-Miyamoto, K., Margolis, S., & Lyubomirsky, S. (2021). Is variety the spice of happiness? More variety is associated with lower efficacy of positive activity interventions in a sample of over 200,000 happiness seekers. The Journal of Positive Psychology. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17439760.2021.2006760
- 【研究の性質について】本研究はスマホアプリ利用者を対象とした観察研究(相関研究)です。「バリエーションが多いから幸福度が上がりにくい」という因果関係を直接証明したものではなく、あくまで両者の間に関連がみられたという知見です。
- 【対象集団の限界】調査対象はアプリを自発的に使用した幸福向上に関心の高い人々であり、一般の人々全体に結果がそのまま当てはまるとは限りません。
- 【効果量について】関連する先行メタ分析(White et al., 2019)では、ポジティブ活動介入の効果量はこれまでの報告より小さい可能性も指摘されており、過度な期待は禁物です。
研究自体の紹介はこちら😊
幸福度を高める取組は、一つをやり続けるべきか?色んなことをするべきか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-04-17-1776444950/