はぴテク相談室:日本武道の実践者はコロナ禍でも良好な精神的ウェルビーイングが維持された
最近、仕事のストレスがすごくて、毎日ぐったりしてしまっています。何か気分転換になることを探しているんですが、なかなか続けられるものが見つからなくて…
それは大変でしたね。毎日のストレスが積み重なると、本当に疲弊してしまいますよね。ちょうど面白い研究を紹介させてください。イギリスで、空手や柔道などの「日本武道」を実践している人たちを調べた研究があるんですが、武道がストレスへの対処にとても役立っていることが報告されているんです。
武道ですか!正直、格闘技って怖いイメージがあって…。ストレス解消になるんですか?
よくある誤解なんですが、武道って「戦うもの」というより「自分を鍛えるもの」という側面がとても強いんです。実際に参加者のインタビューでも「道場に行って稽古を楽しみ、ストレスを忘れることができる」「ストレスに抵抗する基礎を作るのに役立つ」という声が多くあがっていました。頭の中をすっきりさせる効果を感じている人も多いみたいです。
なるほど。でも仕事が忙しいと、新しいことを始める余裕もなくて…続けられるか不安です。
その不安、すごく自然だと思います。この研究で興味深いのは、武道の効果のカギが「自己修練・自己啓発・自己反省」というセルフケアにまとめられている点なんです。「昨日の自分より少しだけ良くなる」という積み重ねが、ウェルビーイングにつながるという感じで。大きな目標より、自分のペースで少しずつ進める文化が武道にはあるようです。
「昨日の自分より良くなる」という考え方、なんかいいですね。でも、頭も体もクタクタな状態で運動するのって、さらに疲れそうで…
確かに最初はそう感じますよね。面白いことに、参加者の中にはADHDの方もいて、「柔道に行くとフロー状態になり、精神的に明晰になる」と話していたんです。体を動かすことで、頭のごちゃごちゃがいったんリセットされる感覚があるみたいです。研究では「ソマティック・エクササイズ(体を使う運動)」が気分や認知機能を改善するという知見も紹介されています。
フロー状態って、あの「ゾーン」に入る感じですか?それはちょっと体験してみたいかも。空手の「型」とかも、なんか瞑想っぽいですよね?
まさにそうなんです!参加者も「型に集中し、自分の身体と呼吸がどこにあるのかに集中する」と表現していて、マインドフルネスの実践と似た効果があると研究者も指摘しています。日本武道とマインドフルネス・心理的健康の関係を調べた研究でも、武道の実践者はマインドフルネスの傾向が高いという結果が出ているんですよ。
一人でやる瞑想は続かなかったんですが、型の練習という「形」があれば集中しやすそうです。あと、道場って仲間もいますよね?人と関わる機会が最近少なくて、それも気になっていて。
いいところに気づきましたね!武道の実践を通じて「社会的なつながりが高まる」ことも研究で示されています。道場には一緒に稽古する仲間がいますし、合気道の研究では「競争より協力」を重視する場であることも報告されています。孤立感の軽減にもつながりうると研究者たちは考えているようです。
競争じゃなくて協力、というのは安心感がありますね。ただ、この研究はイギリスの人が対象ですよね?日本に住んでいる私にも当てはまるものなんでしょうか?
鋭い質問です!正直に言うと、この研究はイギリス在住の12人へのインタビューが中心なので、対象がとても少なく、日本も含めた他の地域に直接あてはめるには限界があります。また、インタビューなので「こういう人が多かった」という傾向を示すもので、武道をやれば誰でも必ずこうなる、という証明ではありません。研究者自身も「長期的かつ多角的な研究が必要」と述べています。
そうなんですね。でも、まずは体験教室とか行ってみようかな、という気持ちになってきました!何か始める際に心がけるといいことはありますか?
ぜひ試してみてください!研究の知見から言うと、武道の良さは「他人と比べるのではなく、自分の成長に集中できる」点にありそうです。最初から上手くなろうとせず、「道場に来て、稽古して、少しすっきりして帰る」くらいの気持ちで始めるのが、長続きするコツかもしれませんね。体験教室なら気軽に試せますし、自分に合うかどうか確認するいいチャンスだと思いますよ。
■ 今日のまとめ
- ①日本武道(空手・柔道など)の実践者は、コロナ禍のようなストレスの多い時期にも良好な精神的ウェルビーイングを維持していたことがインタビュー研究で示されました。
- ②武道の効果のカギは「自己修練・自己啓発・自己反省」というセルフケアにあり、他人と競うのではなく自分のペースで成長できる文化がウェルビーイングにつながると報告されています。
- ③型の練習などを通じたマインドフルネス的な集中や、道場仲間との社会的つながりも、精神的健康を支える要素として挙げられています。
■ 出典・注意事項
- 【主要出典】Veasey et al. (2024). Japanese martial arts (JMA) practice is an effective wellbeing strategy in post-COVID: a qualitative appraisal. International Journal of Spa and Wellness. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/24721735.2024.2374525
- 【注意事項①:研究デザインの限界】この研究はイギリス在住の12人を対象とした定性的(インタビュー)研究です。サンプル数が少なく、研究者のネットワークで募集された参加者のため、結果を広く一般化するには限界があります。
- 【注意事項②:因果関係ではない】インタビュー結果は参加者の主観的な体験を示すものであり、「武道をやれば必ずウェルビーイングが向上する」という因果関係を証明するものではありません。
- 【注意事項③:研究者自身の言及】論文内でも「長期的かつ混合手法の研究が必要」と述べられており、今後のさらなる検証が求められています。
- 【関連研究】Miyata et al. (2020), Moore et al. (2020), Lipowski et al. (2019), Rassovsky et al. (2019) なども武道とウェルビーイングの関連を示す研究として引用されています。
研究自体の紹介はこちら😊
日本武道の実践者はコロナ禍でも良好な精神的ウェルビーイングが維持された
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-07-20-1721442085/