2024.07.01

はぴテク相談室:ウェルビーイングな学校にむけての生成の教育学とSELの3日間ワーク

相談者

うちの子、学校がつまらないって言うんです。授業中も全然手を挙げないし、「どうせ自分の意見なんて関係ない」って。どうしたらいいんでしょう…

はぴテクさん
はぴテクさん

それは親御さんとしてとても気になりますよね。「どうせ自分は関係ない」という気持ち、胸が痛いですね。実は、まさにそのモヤモヤに向き合った研究が公立高校で行われているんですよ。今日はその話をしながら、一緒に考えてみましょうか😊

相談者

公立高校での研究ですか?どんなことをしたんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

慶應SFCの石黒和己先生が2023年に発表した実践報告なんですが、「ウェルビーイングな学校」をつくるために、3日間のワークを公立高校で実施したんです。そこで使われたのが「SEL(社会情動学習)」と「生成の教育学」という2つのアプローチです。少し聞いてみてください🙂

相談者

SELって何ですか?難しそうな名前ですね…

はぴテクさん
はぴテクさん

難しく聞こえますよね(笑)。SELとは「自分の気持ちに気づく力」や「人とうまく関わる力」を育てることを目指す学びのアプローチです。欧米では広く実践されていて、ポイントは「知識を詰め込む」のではなく、自分の感情や心の状態にちゃんと耳を傾けることを大切にしている点です。お子さんの「どうせ自分は…」という気持ちも、まさにそういう内面の声ですよね。

相談者

確かに。じゃあ「生成の教育学」っていうのは?

はぴテクさん
はぴテクさん

これがまた面白い考え方でして。普通の学校教育って「大人になるための準備期間」として、先生から生徒へ「外から中へ」知識を入れていくイメージが強いですよね。でも「生成の教育学」では逆で、一人ひとりの中にあるものが「内から外へ」自然に生まれ出てくる、その動きを大切にするんです。お子さんが「自分の意見は関係ない」と感じているなら、まさにこの「内から外へ」の動きが止まっている状態かもしれません。

相談者

なるほど…。それで、そのワークをやったらどうなったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

3日間のワークの中で、個を起点とした学びに変わっていくために必要な「4つの条件」が見えてきたと報告されています。①全体性、②越境、③声、④余白、です。それぞれ少しずつ説明しますね😊

相談者

4つ全部聞きたいです!

はぴテクさん
はぴテクさん

まず①「全体性」は、自分を単体で見るんじゃなく、周りとのつながりの中で「わたし」を捉え直すこと。②「越境」は、違う文化や背景を持つ人たちが混ざり合って、普段の「こうしなきゃ」というルールをいったん外すこと。③「声」は、自分の内側からの声をちゃんと活かすこと。そして④「余白」は、何かを詰め込むのではなく、ぽっかりと空白の時間・空間をつくること。この4つが揃うことで、生徒たちの表現や動きが生まれてきた、と報告されているんです。

相談者

「余白」って意外ですね。何もしない時間が必要ってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです!効率優先で予定をぎゅうぎゅうに詰めると、自分の内側から何かが生まれる隙間がなくなってしまう。余白があるからこそ、「あれ、自分はどう感じてるんだろう?」と立ち止まれる。これは学校だけじゃなく、家での会話にもヒントになるかもしれませんね。

相談者

「声」の部分も気になります。うちの子、自分の気持ちをうまく言葉にできないみたいで…

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では「声をいかす」というのが大切な条件として出てきているんですが、これは「うまく言葉にする」ことよりも、「自分の内側にある声に耳を傾ける機会がある」かどうかがポイントだと読み取れます。完璧に表現できなくていい。「自分はこんな気持ちがあるんだ」と気づいて、それが場に受け取られる経験が積み重なると、少しずつ変わってくるのかもしれません。

相談者

なんか、家でも意識できそうなことがある気がしてきました。ありがとうございます。

はぴテクさん
はぴテクさん

お役に立てたなら嬉しいです😊 ただ一点だけ補足すると、この研究は特定の公立高校での3日間ワークの実践報告なので、「こうすれば必ずこうなる」という万能の答えではありません。でも、「個の声を活かす余白をつくること」「内側から外へという方向を大切にすること」——このまなざし自体は、日常のヒントになるんじゃないかなと思いますよ✨

■ 今日のまとめ

  • SELは「自分の気持ちへの気づき」と「人との関わり方」を育てる学びのアプローチ。知識の詰め込みではなく、内側の声に耳を傾けることを重視する。
  • 生成の教育学では「外から内へ」ではなく「内から外へ」という学びの方向性を大切にしている。一人ひとりが自分の中から生み出す動きを尊重することが特徴。
  • 公立高校の3日間ワークの実践報告から、個を起点とした学びが生まれる条件として「全体性」「越境」「声」「余白」の4つが示された。

■ 出典・注意事項

  • 石黒和己「ウェルビーイングな学校にむけての生成の教育学とSELの3日間ワーク」KEIO SFC JOURNAL, 2023年2月 https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/journal/.assets/SFCJ22-2-25.pdf

  • 【注意事項】本研究は特定の公立高校における実践報告・ナラティブアプローチに基づくものであり、結果の一般化には限界があります。「4つの条件が揃えばウェルビーイングな学校になる」という因果関係を示すものではなく、実践の中から見えてきた記述的な知見です。対象や文脈が異なる場合には、同様の結果が得られるとは限りません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
ウェルビーイングな学校にむけての生成の教育学とSELの3日間ワーク
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-07-01-1719872978/

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