はぴテク相談室:在宅勤務環境とウェルビーイング
最近、在宅勤務が続いているんですが、なんとなく仕事へのやる気が出なくて、ストレスも溜まっている気がするんです。在宅勤務って環境を整えると変わるものなんでしょうか?
それは悩ましいですね。実は、在宅勤務の「生活環境」がウェルビーイングとどう関係しているかを調べた研究があるんですよ。日本人間工学会で発表された調査なんですが、環境の整え方によっていくつかの指標に違いが見られたという、なかなか興味深い内容です。一緒に見ていきましょうか!
ぜひ聞きたいです!具体的にどんなことが分かったんですか?
この研究では、「ワークエンゲージメント(仕事への活力や熱意)」「ストレス反応」「総合満足度」の3つの視点で、在宅勤務環境との関連を調べています。まず「やる気・熱意」の面では、『自分で仕事のやり方を決められる裁量(職務自律性)が高い』ことや、『家事などで仕事を中断される頻度が少ない』ことが、ワークエンゲージメントの高さと関連していたんです。
なるほど。邪魔されずに集中できる環境って大事なんですね。ストレスについてはどうでした?
ストレス反応については、いくつか面白い結果が出ていました。『自分専用のイスがない』『照明が暗い』『周りの環境音が大きい』といった物理的な環境が、ストレス反応の高さと関連していたんです。また、『家事でよく中断される』ことや、『仕事時間外でも仕事のことを考えてしまう頻度が高い』ことも関連していました。
イスや照明って、そんなに影響するんですね!正直、ダイニングの椅子で作業してました…。あと、仕事時間外に仕事のことを考えてしまうのも思い当たります。
あるあるですよね(笑)。ちなみに「総合的な満足度」については、『職務自律性が高い』『照明が明るい』『モニターが大きい』などが満足度の高さと関連していました。また、『休日にも仕事のためにパソコンを開く頻度が低い』ことも満足度の高さと関連していましたよ。休日にしっかり仕事から離れることも大事そうですね。
モニターのサイズまで関係あるとは思いませんでした!大きい画面だと作業しやすいから、それが満足感につながるんですかね?
そう考えると自然ですよね。ただ、この研究はあくまで「関連がある」ということを示したものなので、モニターを大きくすれば必ず満足度が上がる、と断言はできないんです。あくまで『大きいモニターを使っている人ほど満足度が高い傾向が見られた』という話です。でも、環境を整えるヒントとして参考にする価値はありそうですよね。
確かに。じゃあ、私がまず取り組めそうなことって何でしょう?
研究結果から考えると、比較的すぐ試せそうなことはいくつかありますね。まず『照明を明るくする』こと、次に『自分専用のイスを用意する』こと、そして『仕事時間外はなるべく仕事のことを考えない・PCを開かない』という切り替えを意識することです。椅子は長時間座るものなので、自分専用のものを用意するのはコスパよいかもしれません。
照明は手軽にできそうですね。ところで、仕事の裁量(自律性)については、自分ではコントロールしにくい部分もありますよね…。
おっしゃる通りで、それは大きな課題ですよね。職務自律性は上司や会社の方針にもよるので、すぐに変えられないケースも多いです。ただ、タスクの順番を自分で決める、作業時間の組み立てを工夫するなど、小さな範囲で『自分で決める』ことを増やすだけでも、感覚として変わることがあるかもしれません。もちろん、これは研究で示されたこととは別の話ですが、試してみる価値はあるんじゃないかなと思います。
なるほど、環境を整えることと、仕事の区切りをつけることを意識してみます。今日はすごく参考になりました!
■ 今日のまとめ
- 自分専用のイス・明るい照明・静かな作業環境など、物理的な在宅勤務環境の整備が、ストレス反応や満足度の違いと関連していることが示されています。
- 仕事時間外に仕事のことを考えたり休日にPCを開いたりする頻度が高いほど、ストレスが高く満足度が低い傾向が見られました。仕事とプライベートの切り替えも大切なポイントです。
- 職務自律性(仕事の進め方を自分で決められる度合い)はワークエンゲージメントや満足度と関連が見られましたが、環境面(照明・モニターサイズなど)は比較的自分でコントロールしやすい改善の糸口になりそうです。
■ 出典・注意事項
- 土井俊央「在宅勤務時のウェルビーイングに関連する生活環境要因についての調査」日本人間工学会第64回大会(2023年11月21日)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jje/59/Supplement/59_P1E5-06/_pdf
- 【注意事項】本研究は調査データにもとづく統計的な『関連性(相関)』を示したものであり、環境要因がウェルビーイングを直接引き起こす『因果関係』を証明したものではありません。
- 【注意事項】学会大会の予稿(概要報告)であり、詳細な調査方法・サンプル数・対象者の属性などは限られた情報しか公開されていません。結果の一般化には慎重さが必要です。
- 【注意事項】「総合満足度」の項目で『家事に費やす時間が多い』が有意に高いという記載がありますが、著者自身が図の結果から『家事に費やす時間が少ない』の誤りである可能性を指摘しており、解釈に注意が必要です。
研究自体の紹介はこちら😊
在宅勤務環境とウェルビーイング
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-11-21-1700604007/