はぴテク相談室:コロナ禍におけるポジティブ/ネガティブ感情と、心理的幸福。の世界調査
最近、なんとなく毎日が不安で、気持ちが沈みがちで…。特に何か大きな出来事があるわけじゃないんですけど、世の中がざわざわしてると、自分もざわざわしちゃうんです。こういう時ってどうすればいいんでしょう?
そのざわざわした感じ、すごくよく分かります。実はそれに関連して、とても興味深い世界規模の研究があるんですよ。コロナ禍という大きな集団的ストレスの時期に、51カ国・24,000人以上を対象に調査した研究で、「どんな感情が心理的な幸福感と関係しているか」を調べたものなんです。
51カ国・24,000人!すごい規模ですね。どんなことが分かったんですか?
はい。国を問わず共通して、5つの感情が心理的な幸福感と関連していることが分かりました。プラスの方向に働いていたのが「静けさ(落ち着き)」と「希望」。マイナスの方向に関連していたのが「不安」「孤独」「悲しみ」です。この5つは、国が違っても非常に一貫した結果だったそうです。
なるほど。「静けさ」と「希望」が大事なんですね。でも、不安や孤独を感じている時に、どうやって落ち着きや希望を持てばいいんでしょう…。
おっしゃる通りで、そこが一番のポイントですよね。研究では「平静さと希望を育てること」が、ストレスが続く時期の幸福感を支える候補になりうると指摘しています。ただ、この研究は「こういう感情を持っている人は幸福度が高かった」という関連を示したもので、「こうすれば必ず幸福になる」という因果関係を証明したものではない点は押さえておいてください。
そうなんですね。でも、「静けさ」や「希望」を意識するだけでも、何か変わるかもしれないってことですよね?
そう捉えていただけると良いと思います。特にこの研究では、英国で30日間の日記をつける調査も行われていて、「感情の経験が後の幸福感の変化に先行していた」という結果も出ています。つまり、今日感じる感情が、その後の自分の状態と関係している可能性があることが示されているんです。
日記研究!毎日の感情を記録することにも意味があるんですね。ちょっと試してみようかな。ところで、「静けさ」ってどんなイメージで捉えればいいんでしょう?
研究の中では「冷静さ・落ち着き(calmness)」と表現されています。ドキドキしたり焦ったりしていない、穏やかな状態のイメージです。慌ただしい日常の中でも、ほんの少し「ほっとできる瞬間」を意識してみることが、この感情に近いのかもしれません。
「希望」の方はどうでしょう?なんか今の世の中、希望を持てって言われても難しい気がして…。
それも正直な感覚だと思います。「大きな希望」じゃなくていいんです。「明日のランチが楽しみ」とか「週末に好きなことをしよう」くらいの、ちょっと先の小さな楽しみでも、「希望」の感覚に近づくことはできるかもしれません。研究はあくまで関連を示したものですが、日常の中で意識する取っ掛かりとして使えそうですよね。
確かに!大きな希望じゃなくていいんですね。それなら少し楽になりました。あと、「孤独」も幸福感と関連しているとのことでしたが、コロナの時期って特に孤独を感じやすかったですよね。
そうなんです。不安・孤独・悲しみの3つはどの国でもマイナスの方向での関連が見られました。孤独感は特にパンデミックのような時期に広がりやすいですよね。この研究はコロナ禍のデータのみなので、「通常の時期でも同じ結果かどうか」は分からないという限界も研究者自身が認めています。ただ、孤独を感じたら「つながり」を意識してみることは、この知見とも方向性が合いそうですね。
世の中がざわざわしている時でも、自分の中の「静けさ」と「希望」を意識して、孤独を減らす工夫をしていく、ということですね。なんだか少し整理できた気がします。ありがとうございます!
こちらこそ、丁寧に向き合ってくれてありがとうございます。研究の結果はあくまで「関連」を示したものですが、自分の感情に気づいて、「静けさ」や「希望」を日常の中で少し意識してみること、それだけでも十分意味のある一歩だと思いますよ。無理せず、ゆっくりいきましょう!
■ 今日のまとめ
- 51カ国・24,000人以上の調査で、「静けさ(落ち着き)」と「希望」は心理的幸福感と正の関連があり、「不安」「孤独」「悲しみ」は負の関連があることが示されました。
- この5つの感情と幸福感の関連は、国を超えて非常に一貫しており、日記研究では感情の経験が後の幸福感の変化に先行することも確認されています。
- 「大きな希望」でなくてよい。日常の小さな穏やかさや楽しみを意識することが、ストレスの多い時期の幸福感を支える手がかりになりうると研究は指摘しています。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Lushi Cai et al.,『Emotional Experiences and Psychological Well-Being in 51 Countries During the COVID-19 Pandemic』, Emotion, 2023. https://psycnet.apa.org/fulltext/2024-01328-001.html
- 【注意事項①・因果関係について】本研究は感情と幸福感の「関連(相関)」を示したものであり、「この感情を持てば幸福になれる」という因果関係を証明したものではありません。
- 【注意事項②・対象集団の限界】データはCOVID-19パンデミック期間中に収集されたものです。コロナ禍以外の通常時でも同じ結果が得られるかどうかは本研究では検証されていません。
- 【注意事項③・幸福度ランキングについて】本研究の幸福度順位はワールドハピネスレポートとは大きく異なります。質問内容・調査方法・対象集団が異なれば結果も変わるため、ランキングは調査ごとの条件の中での結果として捉えることが重要です。
研究自体の紹介はこちら😊
コロナ禍におけるポジティブ/ネガティブ感情と、心理的幸福。の世界調査
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-09-25-1695679205/