2026.06.19

はぴテク相談室:感じすぎて、しんどいあなたへ

相談者

最近、自分の感情に振り回されてばかりで、しんどいんです。ちょっとしたことで落ち込んだり、不安になったり。「自分の気持ちにちゃんと向き合おう」と思って、毎日けっこう自分の感情を見つめているつもりなんですけど…むしろ、見つめれば見つめるほど、苦しくなっている気がして。これって私のやり方が間違っているんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

まず、しんどいなか相談してくれてありがとうございます。そして安心してほしいんですが、それは「あなたのやり方が間違っている」というより、ある研究が示した、けっこう多くの人に当てはまるパターンかもしれません。
ちょっと質問してもいいですか?自分の感情を「見つめている」とき、その気持ちが「これは寂しさだな」「これは悔しさだな」って、ハッキリ言葉にできている感じはありますか?

相談者

…言われてみると、できていないかもしれません。「なんかモヤモヤする」「とにかくつらい」みたいな、ぼんやりした状態のまま、ずっとそこに居続けている感じです。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど、すごく大事なことを教えてくれました。実は感情の知性(EI)って、ひとくくりに見えて、中身は3つの力に分かれるんです。
①注意:自分の感情にどれだけ気づき、考えるか
②明瞭性:その感情を「これは○○だ」と言葉にして区別する力
③修復:ネガティブな状態から立ち直る力
あなたが今すごく使っているのは、①の「注意」なんです。感情をよく感じ取っている。それ自体は決して悪いことじゃありません。

相談者

じゃあ、なんでこんなにしんどいんでしょう?よく感じ取れているなら、いいことのはずなのに。

はぴテクさん
はぴテクさん

ここがこの研究の面白いところで。2578人を調べた結果、こんなグループ分けができたんです。
・3つとも高い人 → 心の健康が良好
・3つとも低い人 → 低め
ここまでは予想通り。でも意外だったのが…
・①注意は低いけど、②③が普通の人 → なんと「3つとも高い人」と同じくらい良好
・①注意は高いのに、②③が普通の人 → 「3つとも低い人」と同じくらい低め
つまり、①の「感じ取る力」だけが高くて、②言葉にする力と③立ち直る力が並のままだと、むしろしんどくなりやすかったんです。

相談者

あ…それ、まさに今の私です。感じてはいるけど、言葉にできていないし、立ち直れていない。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。たとえるなら、①注意は「火災報知器」みたいなもの。感情をいち早く察知して鳴らしてくれる。でも、②明瞭性(=何がどこで燃えているかを把握する力)と、③修復(=実際に火を消す力)が伴わないと、ただ警報が鳴り続けるだけで、どんどん消耗してしまうんですね。
これは「反芻(はんすう)」といって、同じネガティブな考えがぐるぐる堂々巡りする状態に近くて、気分の落ち込みにつながりやすいことが分かっています。

相談者

警報が鳴りっぱなし…まさにそんな感じです。じゃあ私は、感じるのをやめたほうがいいんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そこは大事なところで。「感じるのをやめる」というより、方向を変えるイメージです。今あなたは①の「感じ取る」ばかりが回りすぎている状態。だから、これからは②と③を少し足してあげるといいんです。
たとえば、モヤモヤしたときに「これは何の感情だろう?」と一回だけ言葉にしてみる。「悔しいのか」「不安なのか」とラベルを貼るだけでも②が育ちます。それから「じゃあ今できる小さなことは?」と、立ち直りのほうに視線を移す。これが③です。
それでも難しい日は、無理にずっと感情を見つめ続けなくて大丈夫。この研究では、②③が並の人なら、むしろ感情を見つめすぎないほうが心の健康が良かったんですから。

相談者

なんだか、ホッとしました。「ちゃんと向き合わなきゃ」って自分を追い込んでいたけど、見つめ続けることだけが正解じゃないんですね。言葉にして、立ち直りに目を向ける。やってみます。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気づきだけで、もう半分進んでいます。感じる力があるのは、あなたの才能です。あとはその火災報知器に、ちゃんと消火の道具をセットしてあげるだけ。焦らず、ひとつずつでいきましょう。

■ 今日のまとめ

  • 感情の知性(EI)は「①注意・②明瞭性・③修復」の3つに分かれる。①の「感じ取る力」だけが高くても、心の健康にはつながりにくい。
  • むしろ「①注意が高いのに②③が並」の人は、「3つとも低い人」と同じくらい心の健康が低めだった。感じすぎることが、かえって負担になりうる。
  • 対策は「感じるのをやめる」ことではなく、②言葉にする・③立ち直りに目を向ける、を少し足すこと。難しい日は、見つめすぎないこと自体も立派な選択。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Gómez-Leal, Fernández-Berrocal & Megías-Robles (2026). "When feeling too much hurts: emotional intelligence profiles and their implications for mental health." Personality and Individual Differences, 262, 113936.

  • この研究は相関研究のため、「感じすぎると心の健康が悪くなる」という因果関係を証明したものではありません。あくまで「そういう傾向が見られた」というものです。

  • スペインの成人2578人を対象にした調査であり、文化や個人差によって当てはまり方は変わります。心のしんどさが続く場合は、ひとりで抱えず、専門家への相談も選択肢にしてください。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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論文紹介はこちら
感情を取り扱う力が高くなければ、感じすぎることは不幸せにつながる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-06-19-1781838720/

はぴテクさんのウェルビーイング相談室 なんとかなるありのままに 感情・レジリエンス

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