はぴテク相談室:ネガティブな感情があるからこそ、人は幸せを感じる
最近、なんか毎日ポジティブにいなきゃって頑張ってるんですが、疲れちゃって…。ネガティブな気持ちになると『ダメだ、自分は』って思ってしまうんです。
それは疲れますよね。でも実は、「ネガティブな感情をなくした方が幸せ」という考え方に、最新の研究がちょっと待ったをかけているんです。ノルウェーのオスロ大学の研究チームが2026年に発表した研究なんですが、聞いてみますか?
えっ、そうなんですか?ネガティブ感情って、あってもいいってことですか?
そうなんです。この研究では、アメリカの成人352人に「理想の感情バランスはどんな状態?」と調べたところ、ほとんどの人が「ネガティブな感情がゼロの人生は嫌だ」と答えたんです。理想のバランスは、ポジティブな感情が66〜80%、ネガティブな感情が10〜13%くらい、という結果でした。
へえ〜!ネガティブ感情が1割くらいはあった方がいいってことですね。でも、なんでですか?ないほうが楽じゃないかなって思ってたんですが…。
たとえば、怒りって「活力がわく」効果があったり、悲しみは「人に優しくなれる」きっかけになったり、不安は「ちゃんと準備しよう」という気持ちを生んでくれたりするんですよね。ネガティブな感情には、それぞれ役割があると考えられているんです。だから、完全になくしてしまうのは、むしろもったいないかもしれません。
なるほど…。じゃあ、ポジティブであればあるほど人生満足度が上がるわけじゃないってことですか?
そこが面白いところで、この研究では638人を対象に調べたら、「人生に一番満足している人」は、ポジティブ感情が最大だった人ではなくて、『自分が理想とする感情バランスと、実際に経験している感情が近い人』だったんです。理想と現実がマッチしている、というのがポイントなんですね。
『理想と現実がマッチしている』…。つまり、自分がこのくらいのバランスがいいなって思う感情の状態に、実際になれているかどうかってことですか?
まさにそうです!たとえば、「ネガティブな感情は10%くらいあってもいい」と自分で思えていて、実際にそのくらいなら、人生満足度が高くなりやすい、という傾向が見られました。逆に、「ネガティブはゼロじゃないとダメ」と思っているのに、現実にはネガティブな感情が出てしまうと、ギャップが生まれてしまうんです。
あ、それ私のことだ…!ポジティブでいなきゃって理想が高すぎて、少しでもネガティブになると『できてない』って感じて、また落ち込むっていうループになってた気がします。
そのループ、すごくよく分かります。研究の言葉で言うと、「理想を超えたポジティブ感情」も「理想を下回るネガティブ感情」も、人生満足度とはほとんど関連がなかった、という結果が出ています。つまり、「もっとポジティブにならなきゃ」と頑張りすぎることも、「ネガティブを完全に消さなきゃ」と無理することも、必ずしも満足度アップには結びつかないということなんです。
じゃあ、私はまず『ネガティブな感情が少しあってもいいんだ』って思い直すところから始めればいいのかもしれないですね。
それはとても自然な出発点だと思います。ちなみに、別の研究では、いろんな種類の感情を経験すること自体が、ウェルビーイングにつながるとも言われています。嬉しい・悲しい・不安・ワクワク…そういった感情を幅広く味わうこと自体に意味があるようです。ネガティブな気持ちになったとき、「また来たな、今日はこういう日か」と、少し観察するくらいの感覚でいられると、だいぶ楽になるかもしれませんよ。
『また来たな』か…(笑)。なんかちょっと気が楽になりました。ポジティブ100%を目指すのをやめて、自分なりのちょうどいいバランスを探してみます!
■ 今日のまとめ
- ネガティブな感情がゼロの人生は多くの人が望まず、ポジティブ66〜80%・ネガティブ10〜13%程度が『理想のバランス』として示されました。
- 人生満足度が高い人は、ポジティブ感情が最大の人ではなく、『自分の理想の感情バランスと実際の状態が近い人』でした。
- 『ポジティブでいなきゃ』と理想を高く設定しすぎると、現実とのギャップが生まれやすく、そのギャップ自体がつらさにつながる可能性があります。
■ 出典・注意事項
- 出典:Liu, J., Nes, R. B., Vittersø, J., Teulings, I. J. E., & Røysamb, E. (2026). Positively Negative: Why Negative Affect is Linked to Higher Wellbeing. Journal of Happiness Studies. https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-026-01040-4
- 注意事項①:研究1はアメリカ成人352人、研究2は国際サンプル638人を対象としており、結果がすべての文化・年齢層に当てはまるとは限りません。
- 注意事項②:この研究は相関関係を示したものであり、『理想と現実を一致させると人生満足度が上がる』という因果関係が証明されたわけではありません。
- 注意事項③:『理想のネガティブ感情レベルを下回っている人にとって、さらなる減少は人生満足度と関連しなかった』という知見も、あくまで統計的な傾向であり、個人差があります。
研究自体の紹介はこちら😊
ネガティブな感情があるからこそ、人は幸せを感じる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-05-01-1777663542/