はぴテク相談室:45幸福の最適レベル〜ほどほどの幸せが、良いのか?〜
最近、「とにかく幸せになろう!」って頑張っているんですが、なんか空回りしている気がして…。幸せを目指すこと自体が間違っているのかな、って不安になってきました。
その悩み、すごくよく分かります!実は「幸せを目指すほど不幸せになる」という研究もあって、それが頭にあるのかもしれませんね。でも、まずちょっと聞かせてください。どんなふうに幸せを目指そうとしているんですか?
「もっと幸せにならなきゃ!」って感じで、今の自分に満足できなくて、幸せのハードルをどんどん上げちゃっている感じです。
なるほど〜。それはちょっとしんどいパターンかもしれません。研究によると、「幸せに過剰な価値を置いて、非現実的に高い目標を設定してしまう人」は、その目標に届かなかったときに失望や悲しみを経験しやすいということが分かっています(Mauss et al., 2011)。問題は「幸せを目指すこと」じゃなくて、「どうやって目指すか」なんです。
じゃあ、幸せを目指すこと自体は悪くないんですか?
そうなんです!「幸せになろうとすること=悪い」じゃないんですよ。幸福度を高める方法がちゃんと分かっていて、それに取り組んでいる人は実際に幸福度が上がることが研究で確認されています。空回りしてしまうのは、方向性が定まっていないときが多いんですね。ところで、「幸せすぎることって問題があるの?」って考えたことありますか?
え、幸せすぎることが問題になるんですか?そんなこと考えたこともなかったです(笑)。
面白い研究があって、人生満足度を5点満点で測ると、「5点満点の人」より「4点の人」の方が収入が高くて学業成績も良かったという大規模データの分析結果があるんです(Oishi, Diener, & Lucas, 2007)。つまり、幸福と成果の関係は「高ければ高いほど良い」という単純な直線じゃない可能性があるんです。
えー!それって、ちょっと不満があるくらいの方が頑張れるってことですか?
その解釈も一つですね。研究者たちは「幸せすぎると現状に満足して努力しなくなる(complacency)」という可能性を指摘しています。また、感情って環境からの「信号」の役割もあっていて、不安や不満は「何かを変えた方がいいよ」というサインなんです。幸福感が高すぎると、そういう大切な信号を見落としてしまうことがある、というメカニズムも研究で示されています(Schwarz & Clore, 1983; Fredrickson, 2001)。
なんか、ちょっとモヤっとしていることって大事なんですね。楽観的すぎるのも良くないってことですか?
楽観性については少し補足が必要で、そもそも人間は悲観的になりがちな生き物なので、基本的には楽観性を高めていく方向が多くの人には合っています。ただ、楽観的すぎると将来をバラ色に見すぎてしまって、予想が外れたときの失望が大きくなることがある(Sharot, 2012; O'Brien, 2013)。だから「楽観的に構想して、悲観的に計画を立てて、楽観的に実行する」みたいなバランスが大切なんです。
ポジティブとネガティブ、どちらも必要ってことですね。じゃあ、今の私みたいに「幸せにならなきゃ!」って焦っている状態からどう変えればいいですか?
まず、「幸せのハードルをどんどん上げる」モードから少し離れてみることが一歩かもしれません。研究でも「最も幸福を目指す」より「程よく幸せで、しかも行動できている」状態が良い結果と関連していることが示されています。あとは、幸せを「個人の利得」としてだけ追求しすぎると孤独感が高まることもある(Mauss et al., 2012)ので、周りとのつながりも大切にしてみてください。
「幸せを目指すこと」は大事だけど、追い詰めるように高い目標を置きすぎず、つながりも大事にする、ということですね。なんか、少し気が楽になりました!
よかったです!まとめると、幸福は確かに多くの良いことと関連しているんですが、その関係は「多ければ多いほど良い」という単純なものじゃないかもしれない、というのがこの研究の面白いところです。ちょっとした「モヤっと」も味方にしながら、焦らず取り組んでいきましょう!
■ 今日のまとめ
- 幸せを目指すこと自体は問題ではなく、「どうやって目指すか」が大切。非現実的に高い幸福目標を設定すると、達成できなかったときの失望につながりやすいことが研究で示されています。
- 幸福と成果の関係は「高ければ高いほど良い」という単純な直線ではない可能性があり、「程よく幸せで行動できている状態」が良い結果と関連することが大規模データの分析で示されています。
- ポジティブ感情とネガティブ感情のバランスが重要で、不安や不満は「何かを変えるべき」という情報としての役割も持っています。幸せを「個人の利得」としてだけ追求しすぎず、周りとのつながりも大切にすることが関連しています。
■ 出典・注意事項
- 出典:Biswas-Diener, R., & Wiese, C. W. (2018). The optimal level of happiness. In E. Diener, S. Oishi, & L. Tay (Eds.), Handbook of Well-Being. DEF Publishers.
- 引用研究:Oishi, S., Diener, E., & Lucas, R. E. (2007). The optimum level of well-being: Can people be too happy? Perspectives on Psychological Science, 2(4), 346–360.
- 引用研究:Mauss, I. B., et al. (2011). Can seeking happiness make people unhappy? Paradoxical effects of valuing happiness. Emotion, 11(4), 807–815. / Mauss, I. B., et al. (2012). Don't hide your happiness! Positive emotion dissociation, social connectedness, and psychological functioning. Journal of Personality and Social Psychology, 102(4), 896–912.
- 注意事項①:本研究で紹介されているデータの多くは横断研究(ある時点での関連を見たもの)や相関研究であり、「幸福度が高いから成果が下がる」という因果関係を直接示すものではありません。
- 注意事項②:研究の対象や文化的背景(主に西洋圏のサンプルが多い)によって結果が異なる可能性があります。東洋・西洋で幸福のあり方に違いがある一方、両者の幸福度は相関しているという知見もあわせて紹介されています。
- 注意事項③:「幸せすぎることが有害」という主張については、著者自身も反論を展開しており、幸福の測り方や定義によって解釈が変わる点に留意が必要です。
研究自体の紹介はこちら😊
45幸福の最適レベル〜ほどほどの幸せが、良いのか?〜
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-03-24-1774385219/