幸せだと、周りとの関係性が良くなる
ウェルビーイングハンドブック_第七章:結果
毎日読めばウェルビーイングの基礎が分かる、ウェルビーイング・ハンドブック紹介シリーズ、第七章😊
七章は幸せだと、どんな影響や効果があるのか。今回は関係性😊
周りとの関係性が良いと、幸福度が高まりますが、
幸福度が高いと、周りとの関係性がよくなるという流れもあります😊
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・幸せな人は他者から「一緒にいて楽しい」と評価される(Harker & Keltner, 2001; r = .70)
⇒幸せな人は周りからの好感度も高い。なんと脅威の相関0.7です。
周りからの好感度 ほぼイコール 本人の幸福度。と言っても、少ししか過言ではありません。
(ただ、ここでの幸せかどうかは、卒業アルバムの笑顔からの評価ですが。)
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・最も幸せな学生上位10%は恋愛関係も良好だった(Diener & Seligman, 2002)
⇒幸せな人は、恋愛関係も上手く行く😍
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■ ポジティブ感情が社会的関係性を強化する― 複数の研究手法から因果関係を読み解く ―(Moore, Diener, & Tan, 2018)
▼ この論文が問うこと
「幸せな人は人間関係もうまくいく」というのはよく言われることです。しかし問題は、その矢印の向きです。「良い関係があるから幸せになる」のか、「幸せだから良い関係が生まれる」のか――この論文は後者、つまりポジティブ感情(以下PA)が社会的関係性を改善する方向の因果を、複数の研究手法を組み合わせることで検証しています。
・PAとは:喜び・満足・愛情など、主観的に心地よいと感じる感情・気分の総称
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▼ 質の高い社会的関係性とは何か
論文ではまず、「質の高い関係性」を3つの側面で定義しています。
・① 楽しく充実している関係(否定的な感情が慢性的に生じない)
・② 親密で支え合える関係(情緒的・実際的サポートが得られる)
・③ 長続きする関係(予測可能性と安心感をもたらす)
この3点を軸に、PAがそれぞれにどう関わるかが検討されていきます。
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▼ なぜPAが良い関係を生むのか:理論的背景
3つの理論が背景として紹介されています。
・機能的感情論(Keltner & Haidt, 1999):感情は行動を導くガイドであり、ポジティブ感情は社交的行動を「報酬」として強化し、繰り返しを促す
・接近-回避動機づけ理論(Gable, 2006):PAは「接近システム」を活性化し、他者に近づこうとする動機を高める。接近目標が高い人ほど人生満足度も高かった(r = .28〜.30)
・拡張-形成理論(Fredrickson, 1998, 2001):ポジティブ感情は思考と行動の幅を広げ(拡張)、社会的サポートなどの資源を長期的に蓄積させる(形成)。※rは相関係数。1に近いほど強い正の関連を示す
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▼ 複数手法による因果分析
この論文の核心は、因果関係を「1つの研究手法だけで断言しない」点にあります。各手法の強みと限界を踏まえて組み合わせています。
・横断研究(相関研究):変数間の関連の広がりを確認できるが、因果の方向は決定できない
・縦断研究:原因が結果より時間的に先行するかを確認できる。日常場面での因果を検証できるが、実験ほどの内的妥当性(※因果の確実さ)はない
・経験サンプリング法:日常生活の中でランダムに気分や行動を記録する手法。短期的なPAと社交行動の連動を捉えられる
・実験研究:ランダム割り当てにより因果を最も厳密に検証できる(内的妥当性が高い)。ただし日常場面への一般化(外的妥当性)には限界がある
・媒介・調整変数の分析:なぜ(媒介)・いつ(調整)PAが関係性に影響するかを解明する
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▼ ① 楽しく充実した関係とPAの関連
まず「楽しく充実している関係」へのPAの影響をみていきます。
▼▼ 相関研究
・社交性はポジティブ感情傾向と相関(r = .27〜.57)(Eid et al., 2003)
・PAが高い人は他者から「一緒にいて楽しい」と評価される(Harker & Keltner, 2001; r = .70)
・最も幸せな学生上位10%は恋愛関係も良好だった(Diener & Seligman, 2002)
・交渉場面でPAが高い人は相手にも有利な結果をもたらす(Lawler et al., 2000; β = .58)
一方で、低PAに関しては、うつ病の特徴が「高い否定感情」ではなく「低いポジティブ感情」にあることが指摘されており(Watson et al., 1988; r = −.41〜−.37)、低PAが対人スキルの低下と関連することも示されています(Segrin, 2000)。
▼▼ 縦断研究
・社会的スキルが低い場合でも、PAが高いと婚姻満足度の低下が緩和される(Johnson et al., 2005)
▼▼ 経験サンプリング研究
・日常的にPAが高いとき、同時に社交性も高い。42名を42日間・1日2回測定した研究では、PAと社交性の個人内相関は平均r = .48、42名中41名で有意に正の相関(Diener & Larsen, 1984の再分析)
▼▼ 実験研究(短期的気分誘導)
・ポジティブ気分を誘導すると、社会的場面への関心が増し(Whelan & Zelenski, 2012)、社会的スキルも向上する(Kazdin et al., 1982)
▼▼ 実験研究(長期的PA向上介入)
・慈悲の瞑想(ラビング・カインドネス瞑想)の実施により、他者へのポジティブな感情が増加(Hutcherson et al., 2008)
・8週間の瞑想・感情調整訓練を受けた女性教師は、訓練後5ヶ月経過後も抑うつが減少し(d = .90)、他者への思いやりや感情認識が向上(Kemeny et al., 2012)
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▼ ② 親密で支え合える関係とPAの関連
▼▼ 相関研究
・PAは親密さの価値観(r = .27)、友人への好意(r = .31)と正の相関(Kunzmann et al., 2005; Cheng & Furnham, 2002)
・ポジティブな出来事を他者と共有する「キャピタライゼーション」の場面で、パートナーが喜んでいると認識するほど、より応答的に感じられる(r = .41〜.31)(Gable et al., 2006)
▼▼ 縦断研究
・14歳時のPAが、25歳時の孤独感の低さ(r = −.29)や社交性(r = .30)、友人からの愛着評価(r = .17)を予測(Kansky, Allen, & Diener, 2016)
・韓国の10代を対象とした研究では、PAが数ヶ月後の向社会的行動を予測(Shin et al., 2013)
▼▼ 実験研究(短期的気分誘導)
・ポジティブ気分では自己開示が増加し(Cunningham, 1988)、向社会的行動も増加(Aknin et al., 2012)
・協力的な交渉行動が増え、対立的な戦略が減少(Carnevale & Isen, 1986)
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▼ ③ 長続きする関係とPAの関連
縦断研究が主な証拠となります。
・卒業アルバム写真における笑顔の強さが、30年後の婚姻状況の良さを予測(Harker & Keltner, 2001; r = .20)
・写真の笑顔の強度が離婚率の低さと関連(Hertenstein et al., 2009; r = −.10〜−.28)
・Facebook写真の笑顔の強度が将来の生活満足度を予測(Seder & Oishi, 2012; r = .25〜.44)
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▼ PAから良い関係性を生む「媒介メカニズム」
媒介変数とは、原因(PA)が結果(良好な関係)に至るまでの経路・プロセスのことです。
・社交性の向上:PAは「社交したい」という動機を高め、実際の社交行動も増やす。その結果、良い関係の形成につながる
・相互報酬の高い交流:PAが高い人との交流は、相手にとっても楽しい。「感情の伝染」により、周囲もポジティブになりやすい(Fowler & Christakis, 2008:直接つながっている人が幸せだと、自分が幸せである確率が15.3%高い)
・協力性と向社会的行動:PAが高いほど交渉での譲歩が多く(Carnevale, 2007)、職場での援助行動も増える(George, 1991; r = .24〜.26)
・共感・思いやり・視点取得:ポジティブ気分が他者への共感・思いやりを高め、相手の行動を無意識に模倣しやすくなる(Kuhbandner et al., 2010; d = .64)
・信頼と尊重:ギャラップ世界調査でPAと他者信頼(r = .06)・敬意の感覚(r = .36)が関連。またポジティブ気分の人はより適切なレベルの信頼を相手に向けられる(Lount, 2010)
・充実した交流の質:PAが高いほど初対面での交流の質が高く(Berry & Hansen, 1996; r = .27〜.38)、会話が深い(Mehl et al., 2010)
・ストレスへの緩衝効果:PAを通じて日常的にポジティブな瞬間を蓄積することで、ストレス時に関係を守る「クッション」が形成される。安定した婚姻関係では、対立時のポジティブ対ネガティブな交流比率が5:1であるのに対し、不安定な婚姻では0.8:1(Gottman, 1994)
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▼ 調整変数:PAが常に有効とは限らない
調整変数とは、「どんなときにその効果が強まるか・弱まるか・消えるか」を規定する条件のことです。
・ネガティブな気分のほうが、効果的な説得メッセージを生み出す場合がある(Forgas, 2007)
・ポジティブ気分は資源配分をより利己的にする場合もある(Tan & Forgas, 2010)
・PAと外向性の相関は、集団主義的な文化圏(アジアなど)ではやや弱い(Lucas et al., 2000; r = .59 vs. .77)
・物質主義的な価値観がある場合、PAと良好な対人関係の関連が弱まる可能性がある(Li et al., 2015)
・攻撃的な関係にいる場合、PAがその関係に留まらせる方向に働くこともある(Arriaga et al., 2013)
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▼ 結論
・PAは良い関係の「結果」であるだけでなく、良い関係の「原因」にもなりうる
・最も強い証拠は実験研究と縦断研究から得られており、PAを変化させると社会的結果が変化し、時点1のPAが時点2の関係の質を予測する
・状態PAも特性PA(※一時的な気分と、その人の安定した傾向、いずれも)も、良好な関係に関連している
・ただし、媒介プロセス・調整条件の解明にはまだ多くの研究が必要であり、特に長期的PAを高める介入研究や、調整変数の体系的検討が求められている
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▼ 実践的示唆
・うつや否定的な感情状態を改善することは、PAの向上を通じて社会的関係の改善にもつながる
・職場においても、従業員のPAを高めることは、同僚・顧客・上司との関係を改善する可能性がある
・「良い関係があるからPAが高い」という従来の解釈だけでなく、「PAを高めることが良い関係をつくる」という逆方向の視点を持つことが重要
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43_因果関係をより深く理解するための複数手法の活用:ポジティブ感情が社会的関係性を強化する
ウェルビーイングハンドブック_第七章:結果
Using Multiple Methods to More Fully Understand Causal Relations: Positive Affect Enhances Social Relationships
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By Shannon M. Moore*, University of Utah; Ed Diener, University of Utah, University of Virginia, and The Gallup Organization; Kenneth Tan, Singapore Management University *Now at the U.S. Army Research Lab
本稿では、ポジティブな感情のレベルが高いほど、本人および周囲の人々との社会的関係が良好になることを示す研究を概説する。ここでいう「良好な関係」とは、より快適で不快感が少なく、親密で支え合いがあり、かつ長期にわたる関係を指す。我々は、良好な関係がポジティブな感情を生み出すだけでなく、ポジティブな感情が良好な関係をもたらす可能性も示唆する、縦断的研究、実験的研究、体験サンプリング研究、異文化間研究、およびその他の種類の証拠を検証する。また、ポジティブ・アフェクトから社交性や質の高い人間関係へと至る関連性を形成する媒介変数にも焦点を当てる。最後に、この分野における未解明な点と、今後依然として必要とされる研究の種類について概説する。
キーワード:ポジティブ・アフェクト、主観的幸福感、人間関係、人間関係の質