はぴテク相談室:凡事徹底がウェルビーイングにつながる
最近、会社でウェルビーイング向上に取り組もうとしているんですが、何か特別なプログラムや難しいスキルが必要なのかなって思って、なかなか踏み出せないんです。どこから始めたらいいのか…。
なるほど、「何か大きなことをしなければ」というプレッシャーを感じているんですね。実は、そのハードルをぐっと下げてくれる興味深い研究があるんですよ。1989年にダニエル・チャンブリス氏がオリンピック水泳選手を対象に行った調査なんですが、聞いてみますか?
ぜひ!オリンピック選手とウェルビーイングがどうつながるのか、気になります。
この研究では「オリンピック選手と普通の選手を分けるものは何か?」を調べたんです。才能?特別なトレーニング法?…実は違いました。卓越した選手たちに共通していたのは、『平凡なことを、当たり前のように積み重ねている』ことだったんです。これを研究のタイトルでは『卓越性の平凡性』と表現しています。
平凡なことを当たり前に…ですか。なんだか拍子抜けするような、でも深い話ですね。具体的にはどういうことでしょう?
たとえば水泳なら、毎日のストロークのフォームをきちんと確認する、決まった時間に練習する、小さな工夫を毎回続けるといった、地味だけど基本的なことですね。特別な秘密の練習法があるわけじゃなく、『やるべき普通のことを、やり続けて、少しずつ工夫する』という積み重ねが差を生む、ということが観察されました。
なるほど。でも、それって職場のウェルビーイングにどうつながるんでしょう?
まさにそこが大事なポイントで!ウェルビーイングを職場に広げていく場合にも、同じ考え方が当てはまると言われています。たとえば、笑顔で挨拶する、周りに親切にする、感謝の言葉を伝える、一緒に何かに挑戦する…といった『当たり前のような行動』を、当たり前にやり続けることが、場の幸福度を着実に高めていく土台になる、という考え方です。
特別なプログラムがなくてもいいんですね。でも、「当たり前のことを続ける」って言うは易く行うは難し、ではないですか?
鋭いですね!だからこそ『凡事徹底(ぼんじてってい)』という言葉がポイントになるんです。『凡事』つまり平凡なことを、『徹底』してやり続けること。これが難しい。でも逆に言えば、難しいスキルを習得しなくていい分、今日からでも始められる、ということでもあるんです。
たしかに…。「今日から感謝の言葉を一言増やす」くらいなら今すぐできますね。でもそれって本当に効果があるんでしょうか?
実際に企業でウェルビーイングの取り組みを観察していると、こういった基本的なことを徹底しているところほど、幸福度の伸びが大きい傾向が報告されています。また、幸せな学校の事例を見ても同じパターンが見られるそうです。ただし、これはあくまで観察や事例から見えてきた傾向で、「やれば必ず効果が出る」と断言できるものではない点は正直にお伝えしておきますね。
正直に教えてくれてありがとうございます。では、職場で凡事徹底を実践するとしたら、まず何から始めるのがいいでしょう?
一番のおすすめは、チームの中で『すでにできている小さな良いこと』に気づいて言葉にすることです。たとえば「今日の会議で◯◯さんが気を遣ってくれたね」と一言添えるだけ。感謝や気づきを言語化することから始めると、特別な準備もいらないし、継続しやすいですよ。そこに少しずつ工夫を加えていく、水泳選手と同じサイクルですね。
なんか肩の荷が下りた感じがします。「大それたことをしなきゃ」って思い込んでいたかもしれません。小さなことを丁寧にやり続けることに、もっと自信を持っていいんですね。
そうです!研究が示してくれているのは、「卓越性は特別な才能や複雑な方法からではなく、平凡なことの積み重ねの中にある」ということ。ウェルビーイングも同じで、笑顔・感謝・親切・挑戦といった日常の基本を、丁寧に続けることが大きな変化につながっていく可能性があります。ぜひ焦らず、一歩ずつ試してみてください!
■ 今日のまとめ
- オリンピック水泳選手の研究から、卓越したパフォーマンスを生むのは特別な才能ではなく『平凡なことを当たり前に積み重ねること』であることが観察された。
- 職場のウェルビーイングを高めるうえでも同じ考え方が当てはまり、笑顔・感謝・親切・挑戦といった日常の基本的な行動を徹底すること(凡事徹底)が土台になると考えられている。
- 難しいスキルや大きなプログラムは必須ではなく、『今日からできる小さな一歩』を継続し少しずつ工夫していくことが、ウェルビーイングな場づくりへの現実的なアプローチである。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Daniel F. Chambliss,『THE MUNDANITY OF EXCELLENCE: AN ETHNOGRAPHIC REPORT ON STRATIFICATION AND OLYMPIC SWIMMERS』, Sociological Theory, 1989年1月21日 https://www.gwern.net/docs/psychology/1989-chambliss.pdf
- 【注意事項①】この研究は競泳選手を対象とした民族誌的・観察的研究です。統計的な因果関係を証明したものではなく、「凡事徹底が卓越性を引き起こす」と断定できるものではありません。
- 【注意事項②】ウェルビーイングへの応用は、元の研究の直接の対象ではなく、研究知見からの示唆・応用事例として紹介されています。職場や学校への効果については別途の検証が必要です。
- 【注意事項③】観察された事例や傾向はあくまで参考であり、すべての個人・組織に同様の結果が出ることを保証するものではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
凡事徹底がウェルビーイングにつながる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-12-07-1765106026/