はぴテク相談室:スポーツは、上達・楽しさ・健康増進を全部重視すると幸せ
最近、健康のために走り始めたんですけど、なんか義務感があって全然楽しくなくて…。続けた方がいいのは分かってるんですが、気が乗らないんですよね。
それ、すごくよく分かります!「健康のために走らなきゃ」って思うと、どこか辛くなっちゃうんですよね。実は、その「健康のためだけ」というのが、幸せとの関係でとても興味深い調査結果があるんですよ。聞いてみますか?
はい、ぜひ聞きたいです!何か変われるヒントがあれば。
中京大学の伊藤先生たちが、日本で約2万8千人を対象にした大規模な調査をしたんですね。スポーツをしている人を「なんのためにやってるか」で分類したんです。大きく3つのグループに分かれました。①「競技・楽しみ・健康」すべてを重視するグループ、②「楽しみと健康」を重視するグループ、③「健康」だけを重視するグループ、です。
あ、私は完全に③ですね。健康のためだけ、みたいな。
そうなんです。で、この3グループの幸福度を比べると、①が一番高くて、②、③の順になったんです。幸せ感のスコア(0〜10点)で、①が7.41点、②が7.04点、③が6.28点という結果でした。健康だけを目的にしているグループは、他の2グループより幸せ感がかなり低かったんですよ。
えっ、そんなに差があるんですか!じゃあ、楽しみながらやるって大事なんですね。でも「楽しむ」って、どうすればいいんでしょう?
面白いのが、①のグループは「競技志向」、つまり「上達したい」「記録を伸ばしたい」という気持ちも持っているんですね。単に楽しむだけじゃなく、何か目標を持って取り組む、という姿勢が加わると、さらに幸福度が高い傾向が見られたんです。「もう少し速く走れるようになりたい」とか、小さな目標を持つのも一つのヒントかもしれません。
なるほど〜。上達を目指すっていうのがポイントなんですね。でも、競技志向って、なんか大げさな感じがして…。私みたいな初心者でも関係ある話なんですか?
全然大げさじゃないですよ!「先月より1分長く走れた」でも、「近所の公園を止まらず1周できた」でも、それが立派な「上達」ですよね。競技志向というのは、プロを目指すとかそういうことじゃなくて、「スキルや記録の向上を意識する」という姿勢のことです。自分なりの小さな成長を楽しむ、というイメージで十分だと思います。
それなら私にもできそうです!あと、さっき「世界と比べる」みたいな話もされてましたよね?
そうなんです、これが面白くて!この研究での幸福感の質問が、GFSという22カ国を比べた国際調査の質問と似ているので、ざっくり比べてみると…。日本全体の幸福スコアは6.22点で22カ国中下から3番目なんです。ところが、「競技・楽しみ・健康」を全部重視してスポーツしている日本人のグループは7.41点で、スウェーデンやアメリカより高い水準なんですよ!
えーっ!スポーツの関わり方だけで、そんなに差が出るんですか。ちょっと驚きました。
驚きますよね!ただ、ここは大事なポイントで、この調査は「関連がある」ということを示したもので、「スポーツの目的を変えたから幸せになった」という因果関係が証明されたわけではないんです。でも、「楽しさ」「上達」「健康」が揃っている人たちほど、幸福感や充実感が高い傾向があった、というのはしっかりした大規模調査で見えてきた結果ですよ。
分かりました。じゃあ、今の私へのアドバイスとしては、「健康のためだけ」じゃなくて、楽しさや小さな目標も意識してみる、ってことですね。
そうです!たとえば、好きな音楽を聴きながら走るとか、週に1回は「先週より少しだけ長く走れたか」を確認するとか。あるいは近所のランニングサークルや大会に参加してみると、つながりもできて楽しみが広がることもありますよ。「健康のため」という気持ちはそのままに、そこに「楽しさ」と「ちょっとした目標」を乗っけてみる感じです😊
■ 今日のまとめ
- スポーツをする目的に「楽しむこと」「上達・目標を持つこと」「健康増進」の3つが揃っている人は、幸福感・充実感ともに最も高い傾向があった(日本約2万8千人の大規模調査)。
- 「健康のためだけ」にスポーツしているグループは、楽しみや上達も意識しているグループと比べて、幸福感スコアに大きな差が見られた(6.28点 vs 7.41点)。
- 「上達志向」は競技選手だけのものではなく、自分なりの小さな成長を楽しむ意識でOK。楽しさと小さな目標を今のスポーツに加えてみることが、一つのヒントになりそう。
■ 出典・注意事項
- 【出典】伊藤央二・太田明李・中山正剛・河野慎太朗「生涯スポーツとウェルビーイングの関連性を理解するための枠組み:『生涯スポーツキューブ』の開発と応用」中京大学,日本スポーツライフサイエンス学会誌(advpub, 2025)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjls/advpub/0/advpub_2025-9/_pdf
- 【注意事項①:相関と因果】この研究は横断的な調査データを分析したもので、スポーツの目的タイプと幸福感の「関連」を示しています。「目的を変えたから幸福度が上がった」という因果関係が証明されたわけではありません。
- 【注意事項②:対象集団】データはスポーツ庁の2024年全国調査の二次データで、日本の生涯スポーツ実施者を対象としています。スポーツをしていない人は含まれておらず、結果をすべての人に当てはめることには限界があります。
- 【注意事項③:国際比較の限界】GFSとの比較は、質問文が微妙に異なるため厳密な比較ではなく、あくまで参考的な比較です。
研究自体の紹介はこちら😊
スポーツは、上達・楽しさ・健康増進を全部重視すると幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-10-10-1760137207/