2025.07.02

はぴテク相談室:子供の造形活動とウェルビーイングに関する考察

相談者

最近、子どもの図工や造形の授業って本当に意味があるのかな?って思っちゃって。うちの子、粘土とか絵とかすごく好きなんですけど、受験とか将来のことを考えると、もっと勉強時間にあてた方がいいのかなって悩んでるんです。

はぴテクさん
はぴテクさん

お気持ちよくわかります!でも、ちょっと面白い研究をご紹介しますね。東京学芸大学附属小金井小学校の守屋先生が2025年に発表した研究によると、造形活動って実は子どものウェルビーイング、つまり「よりよく生きる力」にとってとても重要な役割を持っている可能性が示されているんです。

相談者

えっ、そうなんですか?でも造形活動とウェルビーイングって、どうつながるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究で注目されているのが「情動(じょうどう)」というキーワードです。情動というのは、喜び・驚き・夢中になる感覚など、体や心に生まれる感情の動きのことです。造形活動をしているとき、子どもたちはこの情動がとても豊かに働くんですね。そして研究では、この情動の働きと、学ぶ力・表現する力などの「資質・能力」との間に相関がある、ということが示されています。

相談者

情動が働くと、学ぶ力が高まる、ということですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そう読み取れる部分があります。研究では「快情動」、つまり楽しい・気持ちいい・嬉しいといったポジティブな感情が働くことで、質の高い学習が生まれやすいという考え方が紹介されています。お子さんが粘土で夢中になっているとき、まさにその快情動が働いている状態かもしれませんね。

相談者

確かに、うちの子が粘土やってるとき、すごく集中してるし目が輝いてる気がします。あれって大事なことだったんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

その「目の輝き」、とても大事なサインかもしれません!研究では「体性感覚」、特に粘土などを触るときの触覚にも注目しています。触ることで働く情動があって、それがウェルビーイングと結びついている可能性があるとされています。100〜200kgもの粘土を子どもたちが全身で触れて遊ぶような実践も紹介されているんですよ。

相談者

すごいスケール!でも、それってただ楽しいだけじゃなくて、学習としても意味があるってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。研究では「対話」もウェルビーイングにとって重要な要素として挙げられています。造形活動の中で子どもたちが「これはどういう意味?」「もっとこうしたい」と話し合うことで、納得できる答えを自分で探したり、より良い表現を追求したりする姿が見られる、と分析されています。これは造形に限らず、生きていく上でとても大切な力にもつながりそうですよね。

相談者

なるほど…。じゃあ、先生や親はどうサポートすればいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では「ゆとりある緩やかな環境設定」が大切だと述べられています。子どもが自分のペースで試行錯誤できる場を作ること、そして活動を振り返る「省察」の時間を設けることが、ウェルビーイングを育てる学習環境の主要素として挙げられています。焦らせたり、結果だけを求めたりしない環境が、情動を豊かに働かせる上で重要なようです。

相談者

受験のことを焦って考えすぎていたかも…。造形活動にはそういう深い意味があったんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

もう一つ面白いのが、「コンピテンスに捉われない価値」という視点です。コンピテンスとは「できる・できない」というスキルの話なんですが、研究ではその枠にはまらない価値も大切にしようと述べられています。上手に作れたかどうかよりも、活動の中でどんな感情が動いたか、どんな気づきがあったか、そちらに目を向けることがウェルビーイングにつながるという考え方です。

相談者

「上手にできたか」より「どう感じたか」を大事にするってことですね。視点がガラッと変わった気がします。ありがとうございます!

はぴテクさん
はぴテクさん

お子さんが粘土で目を輝かせている瞬間、それ自体がとても豊かな体験だということが、研究からも裏付けられそうですよね。ぜひその時間を大切にしてあげてください。ただ、この研究は文献調査と具体的な授業場面の分析によるもので、「造形活動をすれば必ずウェルビーイングが高まる」と断言できるものではありません。あくまでも情動と資質・能力の働きに相関が見られる、という段階の知見として受け取っていただけると正確です。

■ 今日のまとめ

  • 造形活動中に働く「快情動(楽しい・嬉しいなどのポジティブな感情)」は、質の高い学習と相関がある可能性が研究で示されています。
  • 粘土などの触覚体験や、活動中の対話(納得解を求める・より良い表現を追求する)が、ウェルビーイングを育む学習環境の重要な要素とされています。
  • 「上手にできたか」というスキル評価にとらわれず、子どもがゆとりある環境で活動を振り返れることが、ウェルビーイング実現につながると考えられています。

■ 出典・注意事項

  • 守屋建(2025)「ウェルビーイング実現のための情動の働きについての一考察」美術教育学(美術科教育学会誌)第46号,東京学芸大学附属小金井小学校.https://www.jstage.jst.go.jp/article/aaej/46/0/46_225/_pdf

  • 【注意事項】本研究は先行文献の調査と造形活動場面の分析による考察研究であり、実験的な介入研究ではありません。情動と資質・能力の働きに「相関がある」という知見であり、造形活動がウェルビーイングを直接引き起こすという因果関係を示すものではありません。

  • 【注意事項】研究の対象は主に学校教育場面(小学校の造形活動)であり、知見を他の年齢層や環境に直接当てはめる際は慎重さが必要です。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
子供の造形活動とウェルビーイングに関する考察
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-07-02-1751423046/

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