はぴテク相談室:営業の方のワークライフバランスと幸せ
最近、仕事が忙しすぎて、家に帰っても仕事のことが頭から離れないんです。プライベートの時間も全然楽しめなくて、なんか気力もわかなくて…。これって改善できるものなんでしょうか?
それはしんどいですね…。仕事のことが頭から離れない感覚、すごくよくわかります。実はそういった「仕事とプライベートの間の影響のしあい」について、拓殖大学の北中先生が営業職の方を対象に研究されていて、とても興味深い結果が出ているんですよ。少し聞いてみますか?
ぜひ聞かせてください!営業職じゃないんですが、関係ありますか?
北中先生自身も「営業職以外でも同様の結果が出そう」とおっしゃっています😊 研究では、「ワークライフバランス(WLB)」→「幸福度」→「仕事へのやる気(動機づけ)」という流れが確認されました。つまり、仕事とプライベートのバランスが整うと幸福度が上がり、それが仕事へのモチベーションにもつながりやすい、という関係が見えてきたんです。
へえ!でも「ワークライフバランスが整う」って、具体的にどういうことなんでしょう?残業を減らすとかですか?
もちろんそれも含まれますが、この研究では「スピルオーバー」という考え方がポイントになっています。スピルオーバーとは、仕事とプライベートがお互いに「にじみ出て」影響しあうことです。たとえば仕事のストレスが家庭に持ち込まれると「仕事→家庭への負のスピルオーバー」、逆に仕事で得た活力が家庭でも活かされると「仕事→家庭への正のスピルオーバー」になります。
あ、まさに私は「仕事→家庭への負のスピルオーバー」状態ですね…。それが幸福度を下げているということ?
そうなんです。研究の結果、仕事から家庭、または家庭から仕事への「負のスピルオーバー」は幸福度を低下させる要因と確認されました。一方で、逆に「正のスピルオーバー」、たとえば仕事での充実感が家庭での気分を上げたり、家庭での休息が仕事への活力につながったりすることは、幸福度を高める効果が示されたんです。
正のスピルオーバーって、意識的に作ることはできるんでしょうか?
この研究は「どうすれば正のスピルオーバーが増えるか」という方法まで踏み込んではいないんですが、まずは「負のスピルオーバーを減らすこと」と「正のスピルオーバーに気づくこと」が出発点になりそうですね。たとえば、仕事で小さくても「うまくいった!」と感じた瞬間を家に持ち帰って家族に話したり、家庭でゆっくり休めた翌朝「今日は調子いいな」と感じたりすること、こういった正の流れを意識して見つけていくことが、ひとつのヒントになるかもしれません。
言われてみると、仕事がうまくいった日は家でも楽しく過ごせてる気がします。でも逆はあまり意識したことなかったなあ。家庭での充実が仕事にも影響するんですね。
そうなんです!この研究では「家庭→仕事」の方向でも正・負どちらのスピルオーバーも確認されています。家でしっかり休んだり、好きなことをする時間を持つことが、翌日の仕事への気持ちにも関わってくる可能性があるということですね。プライベートの時間を「仕事のための充電」と捉え直してみると、少し罪悪感なく休めたりしませんか?😊
確かに…!「休んでいいのかな」って思っちゃうんですよね。でも休むことが仕事にもつながるかもと思うと、少しラクになる気がします。幸福度が上がると、やる気も増すんでしたっけ?
そうです!研究では「幸福度が高い営業員は職務への動機づけが強まりやすい」という関係も示されました。ただ、これは「幸福度を上げれば必ずやる気が出る」という一方向の因果関係と断言できるわけではなく、あくまでそういった関連が見られたという研究結果です。でも、自分の幸せを大切にすることが、仕事にも良い影響をもたらす可能性がある、というのはとても心強いメッセージだと思いませんか?
はい、なんか「自分を大切にすることは仕事をサボることじゃないんだ」って感じられました。ワークライフバランスって、もっとちゃんと考えてみようと思います!
■ 今日のまとめ
- 仕事とプライベートが互いに影響しあう「スピルオーバー」には正と負があり、負のスピルオーバー(仕事のストレスをプライベートに持ち込む等)は幸福度を下げる要因と確認されています。
- 仕事↔プライベート間の正のスピルオーバー(充実感や活力が双方向に流れること)は幸福度を高める効果が示されており、プライベートを充実させることも大切なポイントです。
- 幸福度が高い人は仕事へのやる気(動機づけ)が強まりやすいという関連が示されており、自分のウェルビーイングを大切にすることが仕事にも良い影響をもたらす可能性があります。
■ 出典・注意事項
- 【出典】北中英明(2025)「営業員のワークライフバランス・幸福度・職務への動機付けの関係についての研究」拓殖大学経営経理研究, 2025年3月25日 https://takushoku-u.repo.nii.ac.jp/record/2000275/files/kk0127_01.pdf
- 【参考尺度】日本語版ワーク・ライフ・バランス尺度(SWING-J)慶應義塾大学総合政策学部 島津先生の研究室 https://hp3.jp/tool/swing-j
- 【注意事項①】本研究はパス解析による関連性の分析であり、変数間の因果関係を証明するものではありません。
- 【注意事項②】対象は営業職の方であり、他の職種・環境への一般化には限界があります(ただし研究者自身は他職種でも同様の結果が出る可能性を示唆しています)。
- 【注意事項③】研究で示された関係はあくまで統計的な傾向であり、個人によって状況は異なります。
研究自体の紹介はこちら😊
営業の方のワークライフバランスと幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-05-19-1747692020/