2025.03.29

自分はできる!と思える人ほど、人にも優しい

アストン大学のロベルタ・フィダ先生らの最新研究。

自己効力感(セルフエフィカシー)は、自分はできる!と思える感覚のこと。

ちゃんと言うと、

特定の成果を生み出すために必要な行動を組織化し実行する自分の能力に対する信念。(Bandura,1997)

(最近だと、組織効力感なんかも注目されています。)

そして、自己効力感は幸せにもつながります😍

(一方で、15歳の幸福度を見ると、東アジアは自己効力感が低く、それが幸福度低下の原因とも言われています。)

ーー

この自己効力感が高いと、業務のパフォーマンスが高まる。と言われているんですが、

職務のパフォーマンス以外にもつながってくるのでは?

特に、非業務パフォーマンスと言われる、

組織市民活動(同僚の支援や役割外の行動など)、反生産的パフォーマンス(同僚への失礼、窃盗、妨害行為など)

にもつながってくるのでは?

という研究をまとめた研究。(メタ論文)

ーー

結果としては、やっぱり

自己効力感が高い人は、

周りを助ける組織市民活動が多い

周りを妨害する反生産的パフォーマンスが低い

との事でした。

ーー

他にも、

・全般的な自己効力感でも、特定仕事領域に対する自己効力感でも同じような効果があった。

・集団主義でも個人主義でも、同様の効果があった。

・組織市民活動の中の「意見を言う(ボイス行動)」について、

 自己効力感が高いと、改善のための積極的な提案(促進的ボイス)は増やすが、対案のない現状の問題点の指摘(禁止的ボイス)は増やさなかった。

という傾向もみられました。

ーー

チームの幸せにも、一人一人の自己効力感が大切ですね😊

なお、自己効力感の高め方は、↓。

①達成経験:自分で目標を決めて、達成した経験。★最も大事

②代理経験:誰かの達成や成功を見ること。ロールモデル。自分と似た境遇からの成功を見るとさらに効果的

③言語的説得:周りからの励まし。君ならできるって!松岡修造さんの励まし動画が個人的にオススメ。

https://www.shuzo.co.jp/message/

④生理的情緒的高揚:元気だ!ということ。元気があれば、なんでもできる!

丸井さんの手挙げ制とかにも、繋がってくる話ですね。

ーーー

職場における自己効力感と非タスクパフォーマンス-メタ分析による要約-

Self-efficacy and nontask performance at work. A meta-analytic summary

Personality and Individual Differences,2025/3

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886925001412?dgcid=rss_sd_all

自己効力感は、タスク固有のパフォーマンスを向上させる組織環境を含む、さまざまな生活領域で行動を導き、維持する上で重要な役割を果たします。この論文では、市民性と非生産的なパフォーマンスに焦点を当て、非タスクまたは文脈的パフォーマンスに自己効力感の役割を拡張します。系統的レビューとメタ分析を通じて、先行要因と調整要因の両方としての役割を検討します。11,877 件の記録のうち、176 件の論文 (194 件の独立した研究) が系統的レビューに含まれ、158 件の論文 (172 件の独立した研究) がメタ分析に含まれました。調査結果は私たちの仮説を裏付けています。市民性パフォーマンス ( N = 49,464) に関連して、結果は、自己効力感の高い個人は役割外の活動に従事する可能性が高いことを示し、個人、集団、組織の発展を促進します(ρ=0.45)。彼らは、懸念を表明したり、優れた顧客サービスを提供したり、援助行動をとったりするなど、積極的な行動を示します。さらに、自己効力感は、組織や利害関係者に悪影響を及ぼす非生産的かつ反社会的パフォーマンスに対する保護要因として機能します(N = 12,498、ρ=-0.24)

自己効力感の緩和に関する研究は限られているが、私たちの体系的なレビューは、不利な労働条件が非生産的なパフォーマンスに与える影響を緩和する役割を確認している。

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■研究の概要
この研究論文についてより詳細にご説明します:

研究背景と目的

この論文は、職場における自己効力感(SE: Self-efficacy)がタスク以外のパフォーマンス、特に組織市民行動(OCB)と反生産的行動(CWB)にどのように影響するかを探求しています。従来の研究では自己効力感とタスクパフォーマンスの関係は確立されていましたが、非タスクパフォーマンスへの影響については包括的な分析が不足していました。

研究方法

  • システマティックレビューとメタ分析を組み合わせたアプローチ
  • PsychInfoとWeb of Scienceから11,877件の記録を収集
  • 最終的に176論文(194独立研究)をシステマティックレビューに、158論文(172独立研究)をメタ分析に含めた
  • 出版期間は1995年~2022年で、83%が過去10年以内に出版された研究
  • 研究の質は44%が中程度、31%が高品質と評価

主要な発見

1. 自己効力感と組織市民行動の関係

  • 強い正の相関が確認された(ρ = .45、95%CI: [0.42, 0.48])
  • 自己効力感が高い従業員は、以下の行動を取る傾向が強い:
    • 積極的な行動(プロアクティブビヘイビア)
    • 業務方法や手順の改善
    • 同僚との知識共有
    • サービス指向のOCB
    • 同僚のメンタルヘルス支援
    • 組織内の意見表明(ボイス行動)

2. 自己効力感と反生産的行動の関係

  • 有意な負の相関が見られた(ρ = -0.24、95%CI: [-0.30, -0.18])
  • 自己効力感が高い従業員は以下の行動をしにくい:
    • 対人逸脱行動
    • 職場での逸脱行動
    • 上司に対する否定的行動
    • 知識隠蔽
    • 生徒に対する身体的・感情的暴力(教師の研究)

3. 自己効力感の理論的アプローチに関する知見

  • ドメイン特異的自己効力感(特定の領域における効力感)と一般的自己効力感(全般的な効力感)の両方が組織市民行動と反生産的行動に同様の影響を与えることが判明
  • これは両アプローチが相互排他的ではなく補完的であることを示唆

4. 自己効力感の調整効果

  • 自己効力感は不利な職場特性(言語的排斥、職務不安定性など)と組織市民行動の間の関係を緩和する傾向がある
  • 自己効力感は不利な要因と反生産的行動の間の関係を緩和する強いエビデンスがある
  • 自己効力感は好ましい職場要因(ソーシャルサポート、権限付与型監督など)が反生産的行動を減らす効果を増幅する

研究の限界と今後の方向性

  • 効果サイズの高い異質性は、未知の調整変数の存在を示唆している
  • 文化的背景の影響に関する更なる研究が必要
  • 多くの研究が自己報告測定に依存しており、共通方法バイアスの可能性がある
  • 実験的研究や縦断的研究の不足
  • 自己効力感の調整効果を定量化するには研究数が十分でない

結論と実践的意義

  • 自己効力感は職場での非タスクパフォーマンスにおいて重要な役割を果たす
  • 自己効力感の高い個人は、組織の効果的な機能に貢献する積極的行動を取りやすく、有害な行動を避ける傾向がある
  • ストレスの多い状況や困難な状況において、自己効力感は個人の回復力と関連し、調整効果をもたらす
  • 組織において自己効力感を高めるような介入が、組織市民行動を促進し反生産的行動を抑制する可能性がある

この研究は、職場における自己効力感の包括的な影響力と、個人および組織の発展に対するその重要性を明確に示しています。

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■研究の背景

研究の前提となる既存研究について

この論文は、自己効力感が職場での非タスク(職務外)パフォーマンスに与える影響を調査しています。ここでは、研究の基盤となる既存研究について、論理的な流れに沿って説明します。

自己効力感(Self-efficacy: SE)の理論的基盤

この研究は、Bandura(1997, p. 3)が定義した自己効力感の概念から始まります。自己効力感とは「特定の成果を生み出すために必要な行動を組織化し実行する自分の能力に対する信念」を指します。Banduraの社会的認知理論(1986, 1997, 2001)によれば、自己効力感は様々な生活領域における行動の方向付けと維持に不可欠であると考えられています。

職場における自己効力感に関する先行研究

職場における自己効力感の研究は主にタスク(職務)パフォーマンスに焦点を当ててきました。複数のメタ分析(Judge et al., 2007; Stajkovic & Luthans, 1997; Sitzmann & Yeo, 2013)は、自己効力感がタスクパフォーマンスに肯定的な役割を果たすことを示しています。具体的には、自己効力感の高い個人は、自信を持って作業タスクや課題に取り組み、より良いタスクパフォーマンスを示す傾向があるとされています(Alessandri et al., 2025; Haddad & Taleb, 2016)。

パフォーマンス研究における理論的枠組み

この論文の著者たちは、パフォーマンスに関する既存文献(Borman & Motowidlo, 1997; Campbell, 1990; Campbell & Wiernik, 2015; Lievens et al., 2008; Rotundo & Sackett, 2002)に基づいて、パフォーマンスはタスクパフォーマンスだけでなく、非タスク(または文脈的)パフォーマンスも含む多次元的概念であると主張しています。

非タスクパフォーマンスの概念

非タスクパフォーマンスは、次の2つの主要な側面に分類されます:

  1. 組織市民行動(Citizenship performance)

    • 直接的に職務に関連していないが、組織に肯定的に貢献する行動の範囲を指します(Rotundo & Sackett, 2002)
    • これには向社会的行動や市民権行動が含まれ、例えば提案(ボイス)、同僚の支援、役割外行動などがあります(Bateman & Organ, 1983; Gonzalez-Mulé et al., 2014; Morrison, 2023; Organ, 1977; Smith et al., 1983; Van Dyne & LePine, 1998)
  2. 反生産的パフォーマンス(Counterproductive performance)

    • 組織とそのステークホルダーに有害な行動を指し、攻撃性や逸脱行動などが含まれます(Robinson & Bennett, 1995; Rotundo & Sackett, 2002; Sackett & DeVore, 2002; Spector et al., 2006)

自己効力感と非タスクパフォーマンス間の関係に関する理論的根拠

著者らは、自己効力感が非タスクパフォーマンスに影響を与える仕組みについて、2つの主要なメカニズムを提案しています:

  1. 先行要因としての自己効力感

    • 自己効力感の高い従業員は、行動の自己調整と自己反省が得意です。
    • より高い目標を設定し、課題に直面しても忍耐強く、「生産的」行動を反生産的行動よりも選ぶ傾向があります(Bandura, 1997; Fida et al., 2015; Fida, Tramontano et al., 2018; Paciello et al., 2023)
  2. 調整要因としての自己効力感

    • 自己効力感は個人的資源として機能し、従業員が職場のストレッサーをより良く管理し、適応的で建設的な解決策を見つけることを可能にします(Fida et al., 2015)
    • 職場の有害要因・好ましい特性と(1)反生産的パフォーマンス(Fida et al., 2015)および(2)組織市民行動(Abdullah & Wider, 2022)の関係において境界条件として機能すると予想されます

自己効力感の概念化に関する異なるアプローチ

研究では、自己効力感に関する2つの主要な理論的アプローチが検討されています:

  1. 領域特異的アプローチ(Bandura, 1986)

    • 自己効力感は特定の生活領域における個人の自己調整能力に関する信念として定義されます
    • 職場では、仕事タスク管理(Barbaranelli et al., 2018; Parker, 1998)、創造性と革新(Tierney & Farmer, 2002)、感情調整(Barbaranelli et al., 2018; Deng et al., 2017)など、様々な能力に関連付けられてきました
  2. 一般的アプローチ(Chen et al., 2001; Schwarzer, 1992)

    • 自己効力感を特性的なパーソナリティ変数として概念化します
    • 様々な生活領域で幅広い状況に効果的に対処する全体的な能力への信念を反映します(Judge et al., 1998)

これらの理論的枠組みに基づいて、著者らは以下の仮説を立てています:

  1. 自己効力感は組織市民行動と正の関連がある
  2. 自己効力感は反生産的パフォーマンスと負の関連がある
  3. 自己効力感は、個人/組織の特性と組織市民行動の関係を調整する
  4. 自己効力感は、個人/組織の特性と反生産的パフォーマンスの関係を調整する

この研究の独自性は、タスクパフォーマンスに焦点を当てた既存研究の枠を超えて、自己効力感が職場での非タスク的側面、特に組織市民行動と反生産的行動に与える影響を体系的に検討した点にあります。

これらの既存研究を基に、著者らはシステマティックレビューとメタ分析を実施し、自己効力感が非タスクパフォーマンスに与える影響の包括的な理解を提供しています。

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