はぴテク相談室:「仕事が好き」な人がいると、なぜ職場が良くなるの?
はぴテクさん、聞いてください!うちのチームに、いつも「この仕事ほんと好きなんだよね」って楽しそうに言う先輩がいるんです。その人がいると、なんだかチーム全体が明るくなるというか、私まで前向きになれて。これって気のせいですかね?なんでこんなに空気が変わるんだろうって、ずっと不思議だったんです。
いい観察ですね!それ、気のせいじゃないんですよ。まさにそのことを調べた、2026年のアメリカの研究(Kwon & Bae)があるんです。「仕事が好き」と表に出す行動を、言った本人215人に直接聞いてみた研究でしてね。
本人に聞いたんですね。なんて言ってました?
一番多かった理由がね、「自分のため」じゃなかったんです。相手を励ましたい、支えたい、つながりたい。そういう誰かのための気持ち、専門的には向社会的動機と呼ぶんですが、それが最多でした。あなたの先輩も、たぶんチームを元気づけたくて楽しそうにしているんですよ。
わあ、やっぱり!じゃあ私が前向きになれるのも…?
そこがこの研究のいいところでね。やる気って、感情みたいに"伝染"するんです。研究の中でも、自分が楽しそうにしていると周りも楽しくなって、それが返ってくる、という話が何度も出てきます。ある人はこう言っていました。「自分がこれ面白い!と思って話すと、相手にも面白く伝わる」って。あなたが感じている前向きさは、まさにその伝染なんです。
なるほど、伝染!言われてみれば、あの先輩と話した日は仕事がはかどる気がします。
それも研究とぴったり合うんですよ。この行動が生む結果を調べたら、「同僚が心を開いてくれた」「チームの雰囲気が意欲的になった」「会議が生産的になった」といった、周りに広がる良い効果がたくさん挙がったんです。しかも、そういう他者に向いた良い結果のほうが、自分に返ってくる結果より多かった。
自分のことより、周りへの効果のほうが多いんですね。すてき…。
もう一つ面白いのが、「仕事が好き」と一番よく言う相手は、上司じゃなくて同僚だったんです。評価を握ってるのは上司なのに、見返りのない同僚にこそよく言っていた。つまりこれは打算じゃなくて、純粋に隣の人を元気づけたいっていう表れなんですよね。
だからあんなに自然で、気持ちよく受け取れるんだ。
そういうことです。しかもこの表現、はっきり「好きです」と宣言しなくてもいいんですよ。研究では、笑顔や前向きな態度、楽しそうに仕事の話をする、といった"それとなく"の伝え方のほうが2倍以上多かった。だからあなたも、今日感じたその前向きさを、あなたなりの形で隣の人に返してみたらどうでしょう。
やってみます!先輩からもらった元気を、今度は私が後輩に回してみますね。職場って、こうやって良くなっていくんだ…。なんだかワクワクしてきました。ありがとうございます!
その連鎖こそ、この研究がいちばん伝えたかったことだと思いますよ。いってらっしゃい!
■ 今日のまとめ
- 「仕事が好き」と楽しそうにする人がいると職場が良くなるのは、気のせいじゃない。その表現の最も多い動機は、周りを励まし支えたいという「誰かのための気持ち」だった
- やる気は感情のように伝染する。生まれる効果も「同僚が心を開く」「チームが意欲的になる」など、自分より周りに広がるものが多かった
- 伝え方は宣言じゃなくていい。笑顔や前向きな態度で"それとなく"が多数派。もらった前向きさを隣の人に回すと、良い連鎖が広がっていく
■ 出典・注意事項
- Kwon, M., & Bae, K. K. (2026). I Love My Job! Exploring Employees' Intentional Display of Intrinsic Motivation to Others. Academy of Management Discoveries, 12(2), 195-218.
- アメリカのフルタイム従業員215人への自由記述調査を、NLP(AIによる言葉の解析)で分析した探索的研究です。相談内容や登場人物はこの記事のための創作で、論文中の事例ではありません。
- 結果は本人の自己報告に基づくもので、望ましく見せようとするバイアスの可能性は原典でも指摘されています。因果関係ではなく、見出されたパターンとしてお読みください。
研究紹介はこちら。
コメント欄には、背景、研究内容と、
仕事が好きだ!を表現したのは、なぜ、どのように、どうなったか。のリストも。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-07-03-1783055220/