はぴテク相談室:迷ったら、コイン投げで決めると幸せ
最近、転職しようか迷っていて…もう何ヶ月も悩んでいるんです。やりたい気持ちはあるんですけど、なかなか踏み出せなくて。どうしたらいいと思いますか?
それは悩みますよね。何ヶ月も頭の中でぐるぐるしているのは、本当につらいと思います。実は、そういう「迷っている状態」について、おもしろい研究があるんですよ。聞いてみますか?
はい、ぜひ聞かせてください!
シカゴ大学のスティーブン・レビット先生が2016年に発表した研究なんですが、「人生の大きな決断で迷ったとき、コイン投げで決めると幸福度が高まる」という結果が出ているんです。転職や関係を終わらせるといった、まさに人生を変えるような選択で迷っている人たちを対象にした、大規模な実験です。
えっ、コイン投げですか?それって適当に決めるってことですよね?なんか不安な感じがするんですが…
そう感じますよね(笑)。でも、ちゃんと仕組みがあるんです。実験では、迷っている人にコインを投げてもらって「表が出たらやってみよう、裏が出たら現状維持」というルールにしました。結果として、「やってみよう」と出た人のうち63%が実際に行動に移した一方で、「現状維持」と出た人で実際に行動した人は37%だったんです。つまりコイン投げが、行動への後押しになったということですね。
なるほど、25%も差があるんですね。でも、行動した人は結局どうなったんですか?幸せになれたんですか?
それがポイントで、変化を起こした人は2ヶ月後・6ヶ月後の時点で幸福度が高いと報告しています。特に転職など「重要な決断」をした人は、幸福度が10〜20%ほど向上していたという結果でした。ただし、これはあくまでも「変化した人が幸福度が高かった」という関係であり、「変化したから必ず幸せになる」と断言できるものではない点は大切なところです。
なるほど、必ずしも因果関係とは言えないんですね。でも、なんで「悩んでいる人」に限るとそういう結果になるんでしょう?
いい質問です!研究者のレビット先生はこう考えています。人間にはもともと「現状維持バイアス」というものがあって、変化を避けがちな心理的な傾きがあります。そして「悩んでいる」ということは、やりたい気持ちとやりたくない気持ちがほぼ同じくらいある状態ですよね。その「やりたくない気持ち」の中には、この現状維持バイアスも混じっている可能性がある。だとすると、バイアスの分を除けば、実は「やりたい気持ち」の方がやや強いのかもしれない、ということです。
ああ、なるほど!悩んでいるということ自体、すでにやりたい気持ちがあるってことでもあるんですね。でもコイン投げって、結果に従わないといけないんですか?
実はそこが面白いところで、コイン投げの結果に必ずしも従う義務はありません。コイン投げの本当の価値は「結果を見た瞬間、自分がどう感じたか」を確認することにもあると思います。「あ、現状維持って出たけどちょっと残念だな」と感じたなら、本当はやりたかったんだ、というサインかもしれません。コインは決断を外注するというより、自分の気持ちを整理するツールとして使えるんです。
それは使いやすそう!実際にレビット先生も実践しているんですか?
はい、レビット先生自身も手元に10円玉を置いて、迷ったらコイン投げをするようにしているとおっしゃっています。研究者本人が日常で使っているというのは、なんだか親しみが持てますよね(笑)。転職で悩んでいるあなたも、一度やってみる価値はあるかもしれませんよ。
なんか、気が楽になってきました!コイン投げ、試してみようと思います。ありがとうございました!
よかったです!「迷っている」という状態は、すでに変化への気持ちが芽生えているサインかもしれません。コイン投げを使って、自分の気持ちを確かめてみてくださいね。応援しています!
■ 今日のまとめ
- 人生の大きな決断で迷っているとき、コイン投げを活用した人は行動に移す割合が高く、2〜6ヶ月後の幸福度も高い傾向があることが大規模な実験で示されています。
- 人間には「現状維持バイアス」があり、変化を避けがちな心理的な傾きがあります。悩んでいる状態はやりたい気持ちとやりたくない気持ちがほぼ同じであることを意味し、そのバイアスを差し引くと「やってみる」方に気持ちが傾いている可能性があります。
- コイン投げは決断を丸投げするためではなく、結果を見た瞬間の自分の感情を確認し、本当の気持ちを整理するツールとしても活用できます。
■ 出典・注意事項
- Steven D. Levitt (2016), Heads or Tails: The Impact of a Coin Toss on Major Life Decisions and Subsequent Happiness, NBER Working Paper No.22487 https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2819892
- 【注意事項】本研究は変化を起こした人の幸福度が高かったという相関関係を示しており、「変化すれば必ず幸福度が上がる」という因果関係を直接証明するものではありません。
- 【注意事項】実験の対象は「人生の重大な選択に直面し、意思決定に困難を抱えている人」に限定されており、すべての状況や人に同じ結果が当てはまるとは限りません。
- 【注意事項】幸福度の測定は自己報告に基づいており、測定の精度については研究者間でも議論があります。
研究自体の紹介はこちら😊
迷ったら、コイン投げで決めると幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-04-20-1745134939/