2025.02.11

はぴテク相談室:畏敬の念(AWE)では、自分を取るに足らない存在だと感じてしまうのか?

相談者

最近、山登りをしていて、山頂から広大な景色を見た時に、すごく感動したんですけど、同時に「自分って本当に小さい存在だな…」って感じてしまって。なんか自信を無くしてしまったというか、自分ってどうでもいい存在なのかな、って思えてきてしまって。あの感動って、実は自分にとってよくないことだったんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

わあ、山頂からの景色、素晴らしかったんですね!その体験について、実はとても興味深い研究があるんです。ミズーリ大学のエドワーズ先生たちが2025年に発表したばかりの研究なんですが、まさにその「自分が小さく感じること」と「自分がどうでもいい存在に感じること」って、実は別々のことだと調べているんですよ。

相談者

え、違うんですか?私は「小さい=どうでもいい存在」だと思っていたんですが…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そう感じるのはすごく自然なことなんです。実はこれまでの研究者たちも、その2つをごっちゃにしてきた、という問題があったんです。「自分が小さく感じる」という感覚と、「自分は取るに足らない存在だ」という感覚は、似ているようで違う。エドワーズ先生たちはそこをきちんと分けて調べました。

相談者

どんな結果だったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

美しい自然の風景などを見た時に感じる、いわゆる「ポジティブなAWE(畏敬の念)」では、確かに「自分が小さく感じる」という感覚は生まれるんですが、「自分は重要じゃない・どうでもいい存在だ」という感覚にはならなかった、という結果が出ています。山頂で感動しながら「宇宙の中の小さな自分」を感じつつも、自分の重要性や意義は失われないんです。

相談者

じゃあ私が感じた「自分は小さいな」っていう気持ちは、必ずしも「自分はどうでもいい」にはつながらないということですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです!研究では、畏敬の念を感じた後、むしろ参加者たちは全体的により大きな「意義・意味」を感じていたという結果も出ています。「自分が小さい=どうでもいい」ではなく、「大きなものとつながっている自分」という感覚に近いのかもしれません。

相談者

でも、自然の怖い面、たとえば雷や嵐とかを見た時はどうなんですか?あれも畏敬の念ですよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭い質問ですね!実はその「ネガティブなAWE」、つまり自然災害や雷のような恐怖を伴う体験の場合は、少し結果が違っていました。恐怖を強く感じることで、「自分は取るに足らない存在だ」という感覚が生まれやすいことが分かっています。ポジティブなAWEとは異なる動きをしているんですね。

相談者

なるほど。じゃあ怖いと感じるかどうかが鍵なんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そう言えそうです。同じ「大きなものを感じる体験」でも、そこに恐怖が伴うかどうかで、自己の重要感への影響が変わってくるようです。美しい夕焼けや壮大な山の景色のように、感動や驚きが中心にある体験は、自分の重要感を下げるとは言いにくい、というのがこの研究の示していることです。

相談者

そう聞くと、山頂での感動体験って、むしろポジティブなものだったんですね。でも、なぜあの時「自分って小さいな」って感じたのに落ち込んでしまったんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

それは、おっしゃったように「小さい=どうでもいい」という思い込みが先にあったからかもしれませんね。研究が示しているのは、その2つは必ずしもイコールではないということ。山頂で感じた「小ささ」は、広大な世界とつながった感覚の表れでもあるんです。その体験自体は、ウェルビーイングにとってもむしろ良い影響があると多くの研究で示されています。

相談者

そう聞くと、あの体験をもっと大切にしてもいいんだという気がしてきました。また山に行きたくなってきました!

はぴテクさん
はぴテクさん

ぜひ行ってみてください!美しい自然の中で感じる畏敬の念は、ストレスを和らげたり、人生の満足感を高めたりすることとも関連が示されています。「自分が小さく感じる」その瞬間を、「自分は取るに足らない」と結びつけずに、ただ感じるままに受け取ってみるのも、一つの楽しみ方かもしれませんよ。

■ 今日のまとめ

  • 美しい自然などを見て感じる「ポジティブな畏敬の念(AWE)」は、自分が小さく感じられるものの、「自分は重要でない・どうでもいい存在だ」という感覚にはつながらないことが研究で示されています。
  • 「自分が小さく感じる」ことと「自分は取るに足らない存在だ」という感覚は、似ているようで別のものです。この2つを混同してしまうことが、畏敬体験を否定的に捉えてしまう原因になりえます。
  • 恐怖を伴うネガティブなAWEでは、自己重要感が低下しやすいことが示されています。感動・驚き中心のポジティブなAWEと区別して捉えることが大切です。

■ 出典・注意事項

  • 【出典】Edwards, M. et al. (2025). Small but still significant: Awe and the Self. Personality and Social Psychology Bulletin. https://sites.duke.edu/bablab/files/2025/01/Small-but-still-Significant_Edwards-et-al-in-press.pdf

  • 【注意事項①】本研究は実験的手法(個人内実験)を用いていますが、AWEの体験や自己重要感の変化には個人差があります。すべての人に同じ結果が当てはまるとは限りません。

  • 【注意事項②】研究の結果は「相関・関連」を示すものであり、ポジティブなAWEが自己重要感を必ず高める・守るという因果関係を断言するものではありません。

  • 【注意事項③】フォレストガンプのダン中尉のエピソードは映画作品からの引用であり、研究上のエビデンスではありません。あくまで参考的な例として紹介されています。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
畏敬の念(AWE)では、自分を取るに足らない存在だと感じてしまうのか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-02-11-1739309599/

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