はぴテク相談室:ハイリーセンシティブパーソン(HSP)が、幸せに目覚めると・・・
あの…私、すごく些細なことでも傷ついたり、人混みに行くとどっと疲れたり、映画を見て感動しすぎて翌日まで引きずったりするんです。友達には『繊細すぎる』ってよく言われて、正直自分がしんどいです…
それは毎日けっこう消耗しますよね。実はそういった特性、「感覚処理過敏(SPS)」と呼ばれていて、世界人口のだいたい20〜30%くらいの人にみられると研究で示されています。あなただけが特別に弱いわけじゃないんですよ。
え、そんなに多いんですか!でも多くてもしんどいのはしんどくて…なんかこの特性、デメリットしかない気がしちゃって。
その気持ち、すごくよくわかります。実は2024年にイースト・ロンドン大学とハーバード大学の研究者たちが、まさにその点を調べた論文を発表したんです。HSP、つまり感受性がとても高い人たちが、自分のウェルビーイング(心の豊かさ)を広げながら活動している10名に深くインタビューした質的研究なんですよ。
どんなことがわかったんですか?
大きく4つのテーマが浮かび上がりました。①感受性への感謝、②課題、③成長の過程、④周りへの広がり、です。まず②の「課題」として、感情を受け取りすぎて疲れる、社会的な場面での困難、周りに理解されない、自分のアイデンティティで葛藤する…といったことが挙げられていて、あなたが感じているしんどさと重なる部分が多いと思います。
まさにそれです…。でも①に『感謝』って書いてありましたよね。しんどいのに感謝できるんですか?
インタビューに答えた方たちは、最初からそう思えたわけじゃなくて、③の『成長の過程』を経ているんです。自分の感受性をそのまま受け入れること、セルフケアを大事にすること、そしてもっと大きな何かとのつながりを感じること――そういった積み重ねがあって初めて、『①感受性への感謝』に辿り着いているんですよ。
受け入れる…って、具体的にどういうことなんでしょう?
研究の中では、感受性を『弱さ』ではなく『資産になりうるもの』として捉え直していく過程が描かれています。たとえばインタビューに答えた実践者の一人は『人々が私といると安全を感じ、自分らしくいられると感じている』と語っていました。繊細だからこそ、人の微妙な感情や非言語的なサインをキャッチできる、という強みが出てくると言うんですね。
なるほど…。ただ、それって特別なウェルビーイングの仕事をしている人の話じゃないですか?普通に生きている私には関係ないのかな、って思ってしまいます。
そこは正直に言うと、この研究はウェルビーイング系の仕事をしているHSPの方10名を対象にした質的インタビュー研究なので、すべての人に同じことが起きるとは言い切れません。ただ、研究が示す『感受性の受け入れ』と『セルフケア』という方向性は、日常生活にも応用できるヒントを含んでいると思います。
セルフケアって、具体的にどんなことをすればいいんでしょう?
研究では実践者たちが、物理的な環境(光や清潔さなど)に細心の注意を払ったり、呼吸や自分の体の感覚に意識を向けたりすることを大切にしていたと報告されています。HSPの方は外部の刺激に敏感なぶん、自分が安心できる環境や時間をきちんと確保することが、特に意味を持ちやすいようです。
自分が安心できる空間づくり…なんか少し希望が持てた気がします。でも、友達に『繊細すぎる』と言われるのは、やっぱり気になるんですよね。
研究の中で②の課題として『周りに理解されない』『アイデンティティの葛藤』も挙げられていました。それはリアルな難しさとして、研究でもちゃんと認められているんです。一方で、感受性を受け入れたあとに①として出てくる『他者との深いつながり』や『意味のある仕事への喜び』は、まさにその繊細さがあるからこそ生まれるものとして描かれています。しんどさと豊かさが、同じ根っこから来ているという見方ですね。
しんどさと豊かさが同じ根っこ…なんかそう聞くと、自分を少し違う目で見られそうです。まず自分の感受性を『敵』じゃなくて、ちゃんと見てあげることから始めてみます。
それ、すごくいいスタートだと思います。研究でも『感受性の受容』が成長の入り口として描かれていました。焦らず、自分のペースで。自分の感覚を丁寧に扱ってあげることが、まず一番大切なことみたいですよ。
■ 今日のまとめ
- 感覚処理過敏(SPS)は世界人口の約20〜30%にみられる特性で、しんどさと豊かさは同じ根っこから来ていることが研究のインタビューで語られています
- 感受性の高い実践者たちは『課題を受け入れること』と『セルフケア』という成長の過程を経て、感受性を資産として活かせるようになっていく様子が描かれています
- 自分が安心できる環境を整えること・自分の体の感覚に意識を向けることが、感受性の高い人にとって特に意味を持つセルフケアとして紹介されています
■ 出典・注意事項
- 出典:Bray, L. et al. (2024). Embodied superpower: A qualitative study of the experience of highly sensitive wellbeing practitioners. International Journal of Wellbeing, 2024/10/31. https://internationaljournalofwellbeing.org/index.php/ijow/article/view/3455
- 注意①:この研究は、ウェルビーイング関連の仕事をしているHSP10名への質的インタビューをもとにしており、特定の集団を対象にした小規模な研究です。すべてのHSPや一般の人に同じ結果が当てはまるとは限りません
- 注意②:質的研究(インタビュー分析)であるため、感受性がスーパーパワーになるという因果関係を証明したものではなく、当事者の経験として語られた内容を分析したものです
- 注意③:「HSP(ハイリーセンシティブパーソン)」という概念の定義や境界線については、研究者間でも議論が続いており、単一の確立した診断基準があるわけではありません
研究自体の紹介はこちら😊
ハイリーセンシティブパーソン(HSP)が、幸せに目覚めると・・・
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-11-06-1730937082/