2024.10.18

はぴテク相談室:看護師さんのウェルビーイング

相談者

最近、職場の人間関係がしんどくて…。同僚ともギクシャクしてるし、上司とも距離感あるし、なんか仕事自体も楽しくなくなってきた気がするんですよね。こういうのってやっぱり関係あるんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

それはつらいですね。実は、看護師さんを対象にした研究で、まさにそのことを調べたものがあるんです。職場の人間関係がウェルビーイング、つまり「心の豊かさや幸福感」にどう影響するかを分析した研究です。結論から言うと、同僚・上司・医師との関係が、ウェルビーイングにかなり関わっているという結果が出ていましたよ。

相談者

やっぱりそうなんですね。でも、ウェルビーイングって具体的にどういうことを指してるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では、ウェルビーイングを4つの要素で捉えています。①「環境制御力」=身の回りの問題に柔軟に対処できる感覚、②「人生における目的」=自分の人生に意味を感じられること、③「人格的成長」=自分が成長していると感じられること、④「積極的な他者関係」=人と温かくつながれていること、の4つです。人間関係がしっくりこないと、こういった感覚が全体的に揺らいでくることがある、ということですね。

相談者

なるほど。じゃあ、人間関係さえ良くなれば自動的にウェルビーイングが上がる、という感じですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

少し補足が必要で、この研究はあくまで「関連がある」という相関の話です。人間関係が良くなれば必ずウェルビーイングが上がる、という因果関係が証明されたわけではないんですね。ただ、研究では「良い人間関係 → 仕事や組織への愛着 → ウェルビーイング」という流れが見えてきた、とされています。直接だけじゃなく、間接的なルートもあるのが面白いところです。

相談者

「仕事への愛着」って何ですか?それも関係あるんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、この研究では「コミットメント」という言葉で表現されています。たとえば「この仕事が自分にとって一番大切」という職務への関与や、「この病院は自分にとって大切」という組織への愛着、「看護師であることを誇りに思っている」という職業への誇り、これらがウェルビーイングにプラスに関連していました。要は、仕事や職場に「自分ごと」として向き合えている感覚が大事、ということですね。

相談者

じゃあ逆に「辞めたら生活が成り立たないから続けてる」っていうのは?それもある意味コミットメントですよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

実はここが研究の中で一番面白いポイントで、「辞めたら生活が崩れてしまうから仕方なく続けている」という気持ち、これは研究では「存続的職業コミットメント」と呼ばれていて、なんとウェルビーイングにマイナスに関連していたんです。つまり、「辞められないから続けている」という感覚は、むしろ心の豊かさを下げる方向に働く可能性があるということです。

相談者

えっ、それは意外です。なんでそうなるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の中で直接の理由は断言されていませんが、「選択肢がないから仕方なく」という感覚は、自分の意志で仕事をしている感覚を薄めてしまうからではないか、と考えられています。逆に、「他の仕事もできるけど、好きだからこの仕事をしている」という自己選択の感覚が、ウェルビーイングを支えるうえで重要なのかもしれません。

相談者

なんか、今の自分の状態を振り返ると、ちょっと「仕方なくやってる」感が出てきてるかもしれないです…。人間関係がしんどいと、そこにも影響してくるんですかね。

はぴテクさん
はぴテクさん

おっしゃる通り、人間関係のしんどさが積み重なると、仕事への誇りや意味が感じにくくなってくることは、この研究の流れからも自然な話だと思います。ただ、これは看護師さんを対象にした特定の研究なので、すべての職種や状況に当てはまるとは限らないことは頭に置いておいてほしいです。でも、「誰かとのつながり」と「自分の意志でやっている感覚」、この2つは仕事のウェルビーイングを考えるうえで参考になる視点だと思いますよ。

相談者

なんか、解決策を求めてたというより、自分がしんどい理由が少し言語化できた気がします。人間関係のこともそうだし、「なんとなく続けてる」感覚も、ちゃんと向き合ってみようと思えました。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは大きな気づきですね!「なぜしんどいのか」が見えてくると、次に何を大切にしたいかも少し整理しやすくなります。この研究は看護師さんのデータですが、著者も「学校の先生など対人援助職でも似た傾向が出る可能性がある」と示唆しています。職場の人間関係と、自分が主体的に仕事を選んでいる感覚、この2つをちょっと意識してみるだけでも、日々の見え方が変わってくるかもしれませんね。

■ 今日のまとめ

  • 職場の同僚・上司・医師との人間関係は、看護師のウェルビーイング(心の豊かさ)と関連しており、良い関係が仕事・組織への愛着を通じてウェルビーイングにつながる流れが研究で見られた
  • 「誇りを持ってこの職業を選んでいる」という自己選択の感覚はウェルビーイングにプラスに関連する一方、「辞めたら生活が崩れるから仕方なく続けている」という感覚はむしろマイナスに関連していた
  • これらは相関関係であり因果関係ではないが、「つながりの質」と「主体的に働いている感覚」の2つが仕事上のウェルビーイングを考えるヒントになる

■ 出典・注意事項

  • 出典:田中あさひ・外山みどり・新井邦二郎「看護師のウェルビーイングとコミットメント・職場の人間関係との関連性」『心理学研究』84巻5号, 2013年, pp.468–476. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/84/5/84_468/_pdf

  • 注意①:本研究は相関分析であり、「人間関係を改善すればウェルビーイングが上がる」という因果関係を示したものではありません

  • 注意②:対象は看護師に限定されており、他の職種への一般化には慎重さが必要です

  • 注意③:10年以上前の研究であり、現在の職場環境や働き方の変化を反映していない可能性があります

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
看護師さんのウェルビーイング
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-18-1729291527/

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