はぴテク相談室:取り入れる情報によって幸福度が下がったり、上がったりする
最近、SNSを見るたびになんか気分が落ち込むんですよね。特に政治的な話題とか、過激な意見がタイムラインに流れてきて、見た後にぐったりする感じがあって…。どうにかならないですかね?
それ、すごくよくわかります。タイムラインって、気づかないうちにじわじわ気分に影響してるんですよね。実はそれを正面から調べた研究があって、とても興味深い結果が出ているんです。
え、SNSと気分の関係を研究したんですか?どんな内容ですか?
NY大学やケンブリッジ大学などの研究チームが、Twitter(現X)で行った実験なんです。「過激な政治的発言をするインフルエンサーをフォロー解除したら、どうなるか」を実際に試したんですね。その結果、フォロー解除したグループは、しなかったグループと比べて、対立する政党や意見への否定的な感情が約23.5%改善したんです。
23.5%も!それって気分とか幸福度にも影響があったんですか?
ありました。ネガティブな感情が低下して、幸福度が高まるという結果も出ています。しかも、その効果が少なくとも6か月間続いたというのがポイントで、過激なアカウントを再フォローしなければ1年間持続したという報告もあります。一時的なものじゃないんですよね。
それはすごい。じゃあ、フォロー解除するだけでいいんですか?
フォロー解除はひとつの有効なアプローチとして示されていますね。さらに面白いのが、ネガティブなものを減らすだけじゃなくて、『ポジティブなものを増やす』ことも調べていた点です。NASAやナショナルジオグラフィックなど、科学系のアカウントをフォローしたグループでは、幸福度がさらに高まって、好奇心や喜び、「すごい!」という感動の気持ち(畏敬の念)も高まったという結果が出ています。
科学系のアカウントって意外ですね。なんで科学系なんでしょう?
研究の中で明確にそのメカニズムまで解明されているわけではないのですが、科学系コンテンツは新しい発見や宇宙・自然の壮大さに触れられるので、「知りたい」「すごいな」という気持ちが刺激されやすいのかもしれませんね。研究では信頼性の高いメディアアカウントが使われていたことも関係していると思います。ちなみにこの研究で使われたのはNewsGuardという評価サイトで信頼度100のアカウントだったそうです。
なるほど。でも、過激なアカウントをフォローしてるかどうか、自分では気づきにくいですよね。どうやって見分けたらいいんでしょう?
難しいですよね。ひとつの目安は「見た後に、ぐったりする・怒りが湧く・誰かを憎む気持ちになる」かどうかだと思います。そういう感情を繰り返し引き起こすアカウントは、この研究でいう『過激な党派的インフルエンサー』に近い可能性があります。逆に「へえ、知らなかった!」「おもしろい!」という気持ちになれるアカウントは、幸福度を高める方向に働きやすいかもしれません。
確かに、見た後の気分で判断するのはわかりやすいですね。さっそくタイムラインを見直してみようかな。でも、情報を偏らせすぎるのも怖い気がして…
その感覚、とても大事だと思います。研究紹介の中でも「ウェルビーイング情報も含めて偏ってはいけない」という視点が触れられていました。いろんな見方を持ち続けるメタ認知、つまり「自分はどんな情報を取り込んでいるか」を時々振り返る習慣が、バランスを保つのに役立つかもしれません。過激なものを減らしつつ、質の高い多様な情報には触れ続ける、というイメージですね。
情報って食事みたいなものですね。身体に入れるものを気にするように、頭に入れるものも気にした方がいいってことか。
まさにそのたとえがぴったりだと思います。毎日の食事が身体をつくるように、毎日触れる情報が気分や思考のベースをつくっている可能性があります。この研究はあくまで相関や実験の結果で、すべての人に同じ効果が出るとは限りませんが、「フォローリストを一度見直してみる」という小さなアクションから始めてみるのは、試しやすいですよね。
■ 今日のまとめ
- 過激な政治的インフルエンサーをフォロー解除すると、対立意見への否定的感情が約23.5%改善し、その効果が6か月〜1年持続するという実験結果が出ています。
- ネガティブな情報を減らすだけでなく、科学系など好奇心や感動を引き出す質の高いアカウントをフォローすることで、幸福度がさらに高まる可能性があります。
- 「見た後にどんな気分になるか」を自分で振り返り、タイムラインを意識的に整えていくことが、情報環境を整える第一歩になるかもしれません。
■ 出典・注意事項
- 出典:Bankert et al. (2024) 'Unfollowing hyperpartisan social media influencers durably reduces out-party animosity' (NY大学・ケンブリッジ大学ほか、2024年10月8日公開) https://www.researchgate.net/publication/384601678_Unfollowing_hyperpartisan_social_media_influencers_durably_reduces_out-party_animosity
- この研究はデジタルフィールド実験(n=494、n=1,133)と相関研究(n=1,447)を組み合わせたものです。因果関係を示す実験デザインが含まれていますが、対象はTwitter(X)ユーザーに限定されており、他のSNSや異なる文化・地域への一般化には限界があります。
- 幸福度や感情の改善は自己報告によるもので、個人差があります。すべての人に同じ効果が生じるとは限りません。
- 科学系アカウントのフォローによる幸福度向上は研究で示されていますが、なぜその効果が生じるかのメカニズムは本研究では十分に解明されていません。
研究自体の紹介はこちら😊
取り入れる情報によって幸福度が下がったり、上がったりする
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-17-1729201644/