2024.08.07

はぴテク相談室:組織におけるチームワークの影響過程に関する統合モデル

相談者

最近、チームのまとまりがなくて困っています。リーダーとして何をすべきか迷っていて…。仕事の目標はちゃんと伝えているつもりなんですが、メンバー同士の雰囲気がギスギスしていて、なかなかうまくいきません。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは悩みますよね。実は、まさにそのテーマを大規模に研究した論文があるんです!日本心理学会の2024年度優秀論文賞を受賞した研究で、21の企業組織・812チーム・5,728人というすごく大きなデータを使って、「チームがうまくいくしくみ」を分析しています。聞いてみますか?

相談者

ぜひ聞きたいです!5,000人以上のデータって、かなり信頼できそうですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。この研究では、リーダーシップには大きく2種類あることが示されています。ひとつが「課題志向リーダーシップ」──チームのミッションや目標を明確に示すタイプ。もうひとつが「関係志向リーダーシップ」──メンバーに公正に接したり、人間関係を大切にするタイプです。今おっしゃっていた状況、どちらかというと課題志向は意識されている感じですか?

相談者

はい、目標はちゃんと伝えているつもりです。でも、メンバー同士がコミュニケーションを取らないし、なんか殺伐としているんですよね…。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど。この研究によると、「課題志向リーダーシップ」は、メンバー同士の協力や目標共有・フィードバックと正の相関があり、それがチームパフォーマンスの向上と関連していました。一方で「関係志向リーダーシップ」は、日常的なコミュニケーションの活発さと正の相関があることが示されています。ギスギスした雰囲気や会話の少なさは、関係志向のアプローチが手薄になっているサインかもしれませんね。

相談者

関係志向…具体的にはどういうことをすればいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の中では、たとえば「メンバーに対して好き嫌いに関係なく公正に接する」という行動が関係志向リーダーシップの例として挙げられています。えこひいきをせず、誰にでも平等に接する姿勢が、日常的なコミュニケーションを生み出すきっかけになるようです。ちょっとした声かけや、話しやすい空気づくりもそこに含まれると思いますよ。

相談者

なるほど。目標を伝えるだけじゃなくて、人間関係の面も同時にやらないといけないということですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそこがこの研究の一番大事なポイントです!課題志向と関係志向、両方が高いリーダーのチームでは、チームのプロセスもパフォーマンスも「特に高まる」という相乗効果が確認されました。どちらか一方だけより、両方そろったときに効果が最大化される、という結果です。これはPM理論という古典的なリーダーシップ論の考え方と一致していて、今回の大規模データで改めて実証されたんです。

相談者

両方必要なんですね。でも、目標を伝えながら人間関係も…って、正直大変そうで。どっちかに絞った方が楽じゃないのかなとも思ってしまいます。

はぴテクさん
はぴテクさん

正直なお気持ちですよね(笑)。研究のデータで見ると、片方だけでもチームプロセスやパフォーマンスとの正の相関は見られるんです。ただ、両方そろったときの効果はそれらを上回る。「完璧にやろう」ではなく、今足りていない方を少し意識して足してみる、くらいの感覚でも変化があるかもしれませんよ。

相談者

たしかに!今は課題志向はやっているから、関係志向をちょっと意識して足してみる、ということですね。具体的にまず何から始めるといいでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究が示しているのは「日常的なコミュニケーション」との関連なので、特別なことをしなくても、毎日の短い会話や声かけが鍵になりそうです。たとえば、朝のちょっとした一言や、業務以外の話を少し混ぜてみるだけでも、雰囲気が変わるきっかけになるかもしれません。そして、えこひいきせず誰にも公平に接することを意識するだけでも、メンバーが話しやすくなる土台ができてくると思いますよ。

相談者

なんかちょっと気が楽になりました!目標を伝えつつ、公平に・日常的に話しかけることを意識してみます。ありがとうございます!

はぴテクさん
はぴテクさん

ぜひ試してみてください!「課題志向」で方向性を示しながら、「関係志向」で人間関係の土台をつくる。この両輪が、チームをいい方向に動かすことと関連しているというのが、大規模データで確認されたメッセージです。焦らず、少しずつ関係志向を足していきましょう。応援しています!

■ 今日のまとめ

  • チームリーダーシップには「課題志向(目標・協力)」と「関係志向(公正・コミュニケーション)」の2種類があり、どちらもチームプロセスやパフォーマンスと正の相関が確認されています。
  • 特に重要なのは、両方が高い場合に相乗効果が生まれるという点。片方だけより、両方そろったときにチームの状態がより良くなる傾向が示されました。
  • 今すぐできることは、日常的な声かけや公平な接し方など「関係志向」の行動を少し意識して足すこと。大きな変革よりも、小さな習慣の積み重ねが鍵です。

■ 出典・注意事項

  • 【出典】縄田健悟・池田浩・青島未佳・山口裕幸(2024)「組織におけるチームワークの影響過程に関する統合モデル──チームレベルの分析による検討──」『心理学研究』94(6). https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/94/6/94_94.21064/_article/-char/ja/

  • 【注意①:相関について】本研究はアンケート調査による相関分析(マルチレベル分析)です。リーダーシップとチームパフォーマンスの間に関連があることは示されていますが、因果関係(リーダーシップを変えれば必ずパフォーマンスが上がる)が証明されたわけではありません。

  • 【注意②:対象集団の限界】データは日本国内の21企業・812チームを対象としており、業種や組織文化の偏りがある可能性があります。すべての職場環境に同様の結果が当てはまるとは限りません。

  • 【注意③:測定について】チームパフォーマンスなどの指標はメンバーの自己報告によるものが含まれており、客観的な業績指標とは異なる場合があります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
組織におけるチームワークの影響過程に関する統合モデル
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-08-07-1723068008/

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