はぴテク相談室:楽観的だから幸せなのか、幸せだから楽観的なのか?
最近、何をやっても「どうせうまくいかないな」って思いがちで、楽観的になれなくて困ってるんです。楽観的な人って生まれつきそういう性格なのかなって…。なんとかなりますかね?
それは気持ちがしんどいですね。でも実は、「楽観的かどうか」って固定された性格というより、もう少し動くものみたいなんです。最近おもしろい研究が出ていて、楽観性と幸福感の関係を長期的に調べたものがあるんですよ。
楽観性と幸福感の関係、ですか?どういうことですか?
アメリカで約1万1千人を対象に、2008年から2020年まで4年ごとに追いかけて調べた研究なんです。「楽観的だから幸せになるのか、幸せだから楽観的になるのか、どっちが先なの?」という疑問に答えようとしたものです。
確かに!それってどっちなんでしょう?楽観的になれば幸せになれる、ってよく聞きますよね?
実はどちらの向きも確認されたんです。「楽観的→幸せ」もあるし、「幸せ→楽観的」もある。つまり双方向の関係があった。ただ、細かく見ると少し面白い違いがあって…。
違い、というと?
幸せを3つに分けて調べたんです。「人生への満足感」「ポジティブな感情(楽しい・嬉しいなど)」「ネガティブな感情(不安・悲しみなど)」の3つです。その結果、人生満足度については「楽観性→満足度」の方向の影響が少し大きかった。でも、ポジティブ感情やネガティブ感情については、「感情→楽観性」の方向の影響の方が大きかったんです。
つまり…日々の気分が楽観性に影響している、ってことですか?
そう読める結果ですね。ポジティブな気分が多い・ネガティブな気分が少ない、という状態が、その後の楽観性と関連していた、ということです。数字で言うと、「ネガティブ感情→楽観性」の係数が-0.099で、この研究の中で一番大きな影響だったんです。逆に「楽観性→ネガティブ感情」は-0.029と小さめでした。
じゃあ、「どうせうまくいかない」って思いがちな私は、楽観性を鍛えようとするより、まず日々の気分を少し良くすることの方が近道かもしれない、ってことですか?
この研究の結果はそういった解釈と一致しますね。研究者自身も「楽観性を高めるアプローチだけでなく、気分や幸福感を改善することも重要かもしれない」と述べています。ただし、これはあくまで「関連」の話で、「気分を上げれば必ず楽観的になる」と断言できるものではないので、そこは注意してください。
なるほど。関連はある、ということですね。あと、この研究って年齢層はどんな人たちでしたか?
良い質問です!調査開始時の平均年齢が約62歳のアメリカ人成人が対象でした。なので、若い世代や日本人にそのまま当てはまるかどうかは分からない部分があります。また、自己申告による測定という限界もあります。あくまで参考として見てもらうのが良いですね。
分かりました。じゃあ、今日から何か小さいことでもポジティブな気分を増やしてみようかな、という気持ちになってきました!
■ 今日のまとめ
- 楽観性と幸福感は「楽観→幸せ」だけでなく「幸せ→楽観」の双方向の関連が確認された
- 特に日々のポジティブ感情・ネガティブ感情は、その後の楽観性との関連が強く、感情が楽観性に先行している可能性がある
- 楽観性を高めることだけでなく、日々の気分や幸福感に目を向けることも、楽観性と関連している可能性がある
■ 出典・注意事項
- Joshanloo, M. (2024). Re-Examining the Direction of the Relationship Between Optimism and Subjective Well-Being. Social Indicators Research. https://doi.org/10.1007/s11205-024-03402-y
- 【注意事項】本研究は相関・関連の分析であり、因果関係を直接証明するものではありません
- 【対象の限界】調査開始時の平均年齢約62歳のアメリカ人成人が対象であり、若年層・他国への一般化には慎重さが必要です
- 【測定の限界】楽観性・幸福感はいずれも自己申告によるものであり、客観的指標とは異なります
- 【分析手法】Random Intercept Cross-Lagged Panel Model(RI-CLPM)を用いており、個人内の変動を捉えることができますが、長期的な関連性の分析にとどまります
研究自体の紹介はこちら😊
楽観的だから幸せなのか、幸せだから楽観的なのか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-07-29-1722290407/