2023.12.23

はぴテク相談室:職場では互いを思いやることが大切

相談者

最近、職場に行くのがしんどくて…。上司に何を報告しても反応が薄いし、評価されてる感じも全然しないんです。チームの雰囲気も淡々としてて、なんか自分だけ浮いてるみたいで。これって私の気の持ちようの問題なんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それはつらいですね。でも、気の持ちようの問題では全然ないと思いますよ。ハーバード大学の研究チームが、職場の「雰囲気」そのものが、働く人の健康や幸福感に関係していることを縦断的な調査で示しているんです。あなたが感じているモヤモヤ、実はとても理にかなっているかもしれません。

相談者

えっ、職場の雰囲気が健康にも関係するんですか?どういうことなんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では「職場の思いやり風土(PCC)」という概念を使っています。難しそうな名前ですが、中身はシンプルで、①職場で尊重されていると感じられるか、②年齢・性別・民族に関わらず公平に扱われているか、③上のリーダーを信頼できるか、④自分の仕事が認められていると感じるか、この4つです。あなたの話を聞いていると、特に「認められている感」と「信頼」のあたりが薄い状況に聞こえます。

相談者

まさにそれです!認められてる感も信頼もほとんどない気がします。それがあると、何か変わるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では、この思いやり風土の得点が高い人は、1年後の時点で、心の健康・体の健康・社会的なつながり・経済的な安定・総合的な幸福感、どれも高い傾向があることが分かっています。しかも、心と体の健康については健康保険の請求データ、つまりアンケートではなく実際の医療記録からも裏付けられているので、より客観的な結果なんです。

相談者

保険の記録まで使った研究なんですね。それは説得力がありますね。うつとかにも関係するんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、関係が見られました。思いやり風土が高い職場にいる人は、1年後にうつ病と診断される確率が低い傾向があったんです。さらに、仕事中に集中できなくなる(注意散漫になる)ことも少なく、仕事への関与度=ワークエンゲージメントも高かった。逆に言えば、思いやりが薄い職場では、じわじわと消耗していきやすい、ということが示唆されています。

相談者

じわじわ消耗…まさに今の私の状態かもしれません。でも、私一人がそう感じてても、職場全体の風土を変えるなんてできないですよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

確かに、風土全体を一人で変えるのは難しいですよね。ただ、この研究から見えてくるのは、「尊重・公平・信頼・承認」という4つが鍵だということです。たとえば自分の周りの小さな範囲でも、同僚の仕事を一言ねぎらう、意見をちゃんと聞く、といった行動の積み重ねが風土の一部になり得ます。もしあなたがチームの中で少しでも影響を持てる立場なら、そこから始めることには意味があるかもしれません。

相談者

なるほど。自分から小さく始めることはできるかもしれない。でも、上司や会社側が変わらないと限界もありますよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

おっしゃる通りで、この研究でも「リーダーへの信頼」が思いやり風土の重要な要素の一つとして挙げられています。組織やリーダーの関わりが大きいのは確かです。研究者たちも、PCCを改善することに焦点を当てた労働政策が、従業員の健康を促進する有望な方向性だと述べています。個人の努力だけで全部解決できる話ではなく、組織の仕組みや文化の問題でもある、ということがこの研究からも読み取れます。

相談者

会社全体の問題でもあるって分かると、少し気が楽になりました。リーダーが1日3回承認するといいって書いてありましたが、それって効果あるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究で直接「1日3回」という数字が検証されたわけではないので、その点は正確にお伝えしておきますね。ただ、「承認される」こと自体が思いやり風土の大切な柱の一つであることは、この研究でしっかり示されています。日常的に承認の機会を意識的に増やすというアプローチは、その考え方に沿ったものと言えます。

相談者

正直に教えてくれてありがとうございます。今日話を聞いて、自分がしんどいのは気のせいじゃなかったんだなと思えて、ちょっとホッとしました。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは良かったです。あなたが感じていることは、研究でも裏付けられているくらい、職場環境と深くつながっているんです。気のせいでも弱さでもありません。まず「尊重・公平・信頼・承認」という言葉を自分の職場を見るモノサシとして持っておくだけでも、状況を整理するヒントになると思いますよ。

■ 今日のまとめ

  • 職場の「思いやり風土(尊重・公平・信頼・承認)」は、1年後の心身の健康・幸福感・生産性と関連していることが、縦断的研究と健康保険データによって示されています。
  • 思いやり風土が高い職場の人は、うつ病と診断される確率が低く、仕事への集中度やエンゲージメントも高い傾向がありました。
  • 職場のしんどさは個人の気の持ちようではなく、組織の風土という構造的な要因と深く関わっています。個人の小さな行動と組織レベルの取り組みの両方が重要です。

■ 出典・注意事項

  • 【論文】Weziak-Bialowolska, D. et al. 'Psychological caring climate at work, mental health, well-being, and work-related outcomes: Evidence from a longitudinal study and health insurance data.' Social Science & Medicine, 2023年4月. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277953623001983

  • 【紹介元】Greater Good Magazine (UCバークレー), 'The Top 10 Insights from the Science of a Meaningful Life in 2023,' 2023年12月14日. https://greatergood.berkeley.edu/article/item/the_top_10_insights_from_the_science_of_a_meaningful_life_in_2023

  • 【注意事項①】本研究は縦断的デザイン(1年後を追跡)を用いており、単純な横断研究より因果関係の根拠として強い設計ですが、無作為化比較試験ではないため、完全な因果関係の証明ではありません。

  • 【注意事項②】対象は米国の労働者福祉プログラムを持つ1つの組織の従業員1,200人以上であり、他の国・業種・組織規模への一般化には限界があります。

  • 【注意事項③】不安症の診断や、仕事と家庭の葛藤との関連については、この研究ではほとんど証拠が得られませんでした。思いやり風土がすべての問題に効くわけではありません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
職場では互いを思いやることが大切
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-12-23-1703322007/

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