2023.08.25

部活動におけるウェルビーイングを起点としたチームビルディング

甲子園では、ウェルビーイング委員会のある土浦日大高校が、全国BEST4と大躍進を遂げていました。

そんなウェルビーイング×部活動の取り組み例の論文。

全体のフレームワークと、評価指標におけるSelf-as-We尺度が面白かったです。

<論文>部活動におけるウェルビーイングを起点としたチームビルディングの検討 --富良野市の中学校野球部における取り組み--

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/284739/1/Prospectus_22_19.pdf

横山 実紀; 渡邊 淳司; 佐々木 耕佑

京都大学文学部哲学研究室紀要 2023, 22: 19-41

2023/8/25

■フレームワーク

1.3 部活動におけるフレームワークのまとめ

以上の観点を踏まえ、本研究が提案する部活動におけるチームビルディングの取り組みについて、フレームワークを整理する。

①まず、部活動における各自の目標を考えるとともに、部としてどのような目標や価値観を大事にして取り組むかについて生徒たちが決定する。例えば、部活動に取り組むにあたり、どのようなこと(地域とのつながりや自分の成長など)が重要なのかについて考え、共有し合う。その際、自己理解と他者理解を深めること、すなわち、自己への気づきを得つつ、それを共有し合いながら、対話を通じて他者に対する理解も深めることが重要となるだろう。

②そして、チーム全体として大事にしたいことについても、顧問が決めるのではなく、生徒自ら議論して設定することが重要となる。チームメンバーとの対話を通じて共通した目標などを決定することは、自己決定や動機づけとして重要なだけでなく、ある一定の考えについてメンバー間で合意できるという点でも重要と考えられる。

③次に、チームの共通目標に対して、各人が個別具体的な行動のアイデアを考え、実行に移してみる。さらに、それが実行に移せたならばどう感じたか、例えば、自分がチームにできることがあると感じられるか、達成できたかについて内省する。実行に移せなかったとしても、どのようなことができそうだとかんじたか、また、行動しようとして気づいた自己の課題を言語化して理解を深められるようなフォローアップが重要となる。

④次に、各個人の具体的な取り組みについて共有する。そして、各個人の目標だけではなく、チームとして共通して取り組む具体的な行動アイデアについて共通の認識を形成する。最初に行った価値観の共有や大きな目標の設定から、より具体化した成果目標や行動のアイデアに落とし込んだ論点で議論し、メンバー間で合意する。

このように、集団における目標や行動についてメンバー間で議論し、共通の認識を形成することと、そこから各個人の具体的な行動に落とし込んでその内省を行うこと、さらに、各個人の取り組みを集団で共有して目標や行動のアイデアをブラッシュアップすることを繰り返していくことが重要だと考える。

■評価指標

1.2.1 取り組み前後の指標として検討する要素:Self-as-We と集団に対する満足度

部活動のように、一つの目的のもと複数人が集まって共に活動する集団における、集団と自己との関わりを検討する概念として、「われわれとしての自己(Self-as-We)」を取り上げる。Self-as-We とは、京都大学の哲学者である出口康夫が提唱する概念であり、「個人は一人ではいかなる身体行為も行うことができない」という前提に立ち、通常は単独行為とされる行為も含めて、すべての行為が、「複数のエージェントの参加によってはじめて可能になる」共同行為と考えられている。このように、「われわれ」と考えられる範囲の「わたし」も「あなた」も行為を「われわれ」から委ねられて同じ行為に参加しているエージェントであるといった認知を測るものとして、場面や目的に合わせたいくつかの Self-as-We尺度が開発され、共同行為やウェルビーイングとの関連が実験やアンケート調査で検討されてきた。

例えば、Self-as-We 自己観という個人の特性を測る尺度を用いた研究では、人々の短期的なコミュニケーションの認知(中谷ら, 2022)や、ウェルビーイングに関連すると考えられる抑うつ傾向(村田ら,2020)とも関係があることが報告されており、人々の社会生活の様々な側面に大きな影響を及ぼす可能性があることが示されている。

また、職場といった日常の共同行為を行う場に対する各人の主観的な評価を測定する尺度も開発・活用が検討されている(戸田ら, 2023)。共同行為を行う集団に対する評価項目では、一体感・両動感・被委譲感・開放性・全体性・脱中心性・仲間性の 7 つのカテゴリーを測定する。

部活動という共同行為の場において、「われわれ」として取り組める場だという認識が醸成されることは、部活動のチームビルディングにおいて重要な要素となりうると考えられる。なぜならば、Self-as-We は、集団の同調圧力に支配された集団を指すのではなく、集団から委譲された自律的なエージェントによって構成されている「われわれ」であるため、生徒が部活動という教室以外の場において集団に自律的に関わる態度や行動に密接に関係すると考えられるためである。

さらに、包括的な満足度として、子供のウェルビーイング計測では、具体的な場面を想定して質問することが必要だと考えられている(上坂, 2020)。そこで集団に対する主観的な満足度についても測定する。

以上の観点から、部活動という共同行為を行う場に対する主観的な評価を行う一つの概念として Self-as-We の 7 つの要素を取り上げ、集団に対する満足度と合わせた 8 つを評価指標として提案する。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

大石先生の
1.心の豊かさ
は、私も参加していたので、メモあります↓。
https://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/1494216744722352/

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