2023.08.23

はぴテク相談室:幸せな認知症高齢者の行動パターン

相談者

最近、認知症の祖母のことが気になっていて…。施設に入っているんですが、祖母がいつも楽しそうにしているのかどうか、外から見ていてもなかなか分からなくて。認知症の方って、幸せに過ごせているかどうか、何か違いがあるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

大切なおばあさまのことを気にかけているんですね。実は、認知症の方の「幸せそうな状態」と「そうでない状態」の違いを行動パターンから読み解こうとした研究があるんです。日本の作業療法の専門誌に2023年に掲載された研究で、アルツハイマー型認知症の高齢者16名を対象にしています。

相談者

へえ、行動パターンで分かるんですか?どうやって調べたんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

ウェアラブルセンサー、つまり身につけるタイプの小型機器で位置情報を記録したんです。そのデータを「グラフ理論」という数学的な手法でネットワーク図のように可視化しました。誰がどこへ、誰のところへ動いたかを地図みたいに描いて、行動の「かたち」を分析したイメージです。

相談者

なるほど。で、幸せそうな人とそうでない人って、どんな違いがあったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

大きな違いは「行動の中心(ハブ)があるかどうか」でした。心理的なウェルビーイング、つまり幸せ度が高い傾向の方は、自分が行動の中心となって動き回るパターンが見られました。具体的には、友人を自分から誘いに行って、一緒に行動するという動き方をしていたんです。

相談者

自分から誘いに行く、というのがポイントなんですね。逆に幸せ度が低い傾向の人は?

はぴテクさん
はぴテクさん

そちらは「行動の中心がない」パターンでした。特定のハブになるような動きが見られず、行動がばらばらというか、まとまりのない形になっていたんです。研究でははっきりと「誘いに行く人=幸せ」という因果関係を証明しているわけではなく、あくまで両者に違いが見られた、という関連性の話です。

相談者

そうか…。でも、誘う側は幸せそうでも、誘われる側はどうなんでしょう?誘われてばかりだと逆に疲れそうな気もして。

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭い視点ですね!実はこの研究でも、誘われる側の幸せ度については詳しく分析されていないんです。あくまで「誘う側(ハブになる人)」の行動特性に注目した研究なので、誘われる側への影響は今後の研究に期待したいところです。

相談者

16人って少ない気もしますが、それでも意味がある結果なんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

正直に言うと、16名という少ない人数は研究の限界のひとつです。この研究自身もそれを踏まえた上での探索的な分析です。なので「絶対にこうだ」と断言できるものではなく、「こういう傾向が見えてきた、もっと大きな規模で調べる価値がある」というメッセージとして受け取るのが適切だと思います。

相談者

なるほど。では、祖母のいる施設を訪問するときに、何か参考にできることはありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究から直接「こうすれば幸せになる」とは言い切れないのですが、ひとつ言えることがあります。幸せ度が高い傾向の方は、自分から人を誘うという「能動的な動き」がある行動パターンと関連していました。おばあさまが自分から「一緒にやろう」と声をかけられる場面や機会があるかどうかを、施設のスタッフさんと話し合ってみるのもいいかもしれませんね。

相談者

なるほど、「誘う側に立てる場面」を作ることが大事かもしれないんですね。なんか見方が変わった気がします。ありがとうございます!

はぴテクさん
はぴテクさん

こちらこそ、とても大切な視点を一緒に考えられてよかったです。認知症があっても、どんな行動をしているかでその人のウェルビーイングが見えてくる可能性がある、という研究です。おばあさまが生き生きと過ごせる環境を、周りの方みんなで考えていけるといいですね。

■ 今日のまとめ

  • 幸せ度が高い傾向のアルツハイマー型認知症高齢者は、自分が「行動のハブ(中心)」となって友人を誘い、一緒に動くパターンが見られた
  • 幸せ度が低い傾向の方は行動の中心がなく、まとまりのないパターンだった。ただし、これは関連性の観察であり、どちらが原因でどちらが結果かは分からない
  • 研究対象が16名と少なく、誘われる側のウェルビーイングへの影響も未検討のため、結果は探索的・参考情報として受け取ることが大切

■ 出典・注意事項

  • 出典:「認知症高齢者の心理的ウェルビーイングの高低傾向の違いは行動パターンに反映するか?─グラフ理論に基づくネットワーク解析を用いた行動パターンの解析─」作業療法 42巻4号 491頁 2023年8月 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/42/4/42_491/_article/-char/ja

  • 注意事項①:対象者が16名と少数であり、結果を一般化するには限界がある。探索的な研究として位置づけることが適切

  • 注意事項②:幸せ度の高低と行動パターンの違いは『関連』として観察されたものであり、どちらが原因かという因果関係は本研究では示されていない

  • 注意事項③:誘われる側のウェルビーイングへの影響については本研究の分析対象外であり、言及されていない

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
幸せな認知症高齢者の行動パターン
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-08-23-1692828004/

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