2026.08.01
10代の幸せ 〜20カ国55万人を追いかけた調査結果〜
10代の幸せ
〜20カ国55万人を追いかけた調査結果〜
という最新研究😊
10代の幸福度を調査した研究は多くありますが、
今回は、同じ人を追いかけて調査した研究を集めて整理頂いた最新研究です😍(縦断研究)
※ただしまだプレプリント(出版前)です。
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主な結果は下の3つ。世界共通での結果です。
①年齢による変化(幸福度)
⇒10-19歳で幸福度は少しずつ低下していく
ちなみにどこかでガクッと下がるわけでは無く、毎年同じくらい下がる。
差は大きくないが、10年分集めると、かなりの低下。
※我々で取っている調査でも同じ傾向がありますね。。。
6→10歳は上がってくるのですが、そこからは下がっていく。
ただし、それは何もしなかった場合で、色々取り組んでいると上がってきます😊
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②年齢による変化(順位)
⇒幸福度の順位はあまり変わらない。
10代前半はまだ順位も変わるが、後半になると順位が固定化していく。
→特に、10代前半へのアプローチが大事そう。
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③時代による変化
⇒2000年以降生まれで、幸福度が大きく低下している。
ポジティブな側面は低下し、ネガティブな感情も増加している。
これが原因だ!とまでは言えないのですが、
デジタル全盛になってきていることが原因では?とのこと。
→最近若い人の幸福度が低下してきていることは世界的にも課題になっています。
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とのこと。
「下がるのが普通、でも順位は固まっていく」からこそ、何もしないのはもったいない。
あくまで今回の調査は、青少年の幸福度を高める取り組みを行っていない結果。
実際、取り組み次第で上がってくることも我々の調査や数々の実践や研究で見えています。
10代の幸せは、測って、見守って、働きかける。これをセットで広げていきたいですね😊
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青年期における幸福感の変化と安定性:20年以上にわたる縦断研究の系統的レビューとメタ分析
Changes in and Stability of Well-Being During Adolescence: A Systematic Review and Meta-Analysis of Longitudinal Studies Over Two Decades
https://osf.io/preprints/psyarxiv/yhm96_v1
思春期の「幸福度」は どう変化するのか? 50万人規模のデータが明かす、心が揺れ動く時期の 科学的真実と大人が知るべきこと 過去20年にわたる縦断研究のシステマティック・レビューとメタ分析に基づく統合的アプローチ Notebooklm 荒れ狂う海への船出 思春期 幼少期 成人期 思春期は身体的、認知的、そして社会的に劇的な変化が起こる時期です。 親や教育者は、この時期の子どもたちが不安定になることを知っています。しかし、彼らの「幸福感(Well-being)」全体には、実際にはどのような変化が起きているのでしょうか? 私たちは、単なる推測ではなく、過去20年にわたる膨大な統計研究のデータからその答えを紐解きます。 50万人の軌跡が語る真実 多国籍 20年間 551,009人 このデータは、一時的な感情のアンケートではありません。 同じ子どもたちを長期間にわたって追跡した「縦断研究」を集約した、 これまでで最も信頼できるメタ分析の一つです。 「幸福度」を構成する3つの柱 幸福度(Well-Being) 心地よさ (Hedonic) ポジティブな 感情と生活の満足感 自己実現 (Eudaimonic) 自律性、有能 感、他者との つながり 生活の質 (Quality of Life) 健康と環境の 総合的な評価 科学的な「幸福度」とは、単に笑顔でいることではありません。 感情、成長の実感、そして環境との調和という、3つの次元から成り立っています。 AI Notebook LLM なぜ思春期に幸福度は揺らぐのか? 研究者は、思春期の幸福度に影響を与える3つの主要な要因を指摘しています。 体(Body)-生物学的変化 思春期の身体発達と、周囲や仲間への反応を敏感にする脳構造の変化。 環境(Environment)-学校への適応 競争が激化する中学校環境と、個人の心理的欲求(自律性や有能感)とのミスマッチ。 心(Mind)-性格の揺らぎ 成長過程において一時的に生じる、協調性や誠実性の低下(混乱仮説)。 発見①:幸福度は「全員で少しずつ」階段を降りる 毎年わずかな低下 (d = -.03 / year) データが示す最初の事実は シンプルです。思春期の 間、全体的な幸福度の平 均値は毎年確実に低下して いきます。 これは、一時的な気分の落 ち込みではなく、思春期を 通じて蓄積される明確な傾 向です。 思春期全体での累積低下 (d = -.27 cumulative) 発見②:しかし、「相対的な順位」は驚くほど変わらない 相対的な安定性 (r = .62 Rank-Order Stability) ここが最も興味深いパラドックスです。全体の幸福度は下がりすが、集団内で「個人相対的な位置」は非常に安定しています。 高い安定性(r = .62)は、幸福度が個人の「特性」に近いことを示しています。 潮の満ち引きと船:数字が意味すること 平均値の低下(The Drop) 潮が引くと、すべての船の位置がかじずっ下がります。 順位の安定(The Stability) しかし、一番高い船は依然として一番高い船のままです。 中学1年生で最も幸福度が高かった子どもは、中学3年生になって全体的な幸福度が下がったとしても、同級生の中では依然として最も幸福度が高い傾向にあります。 これは「特定の誰か」ではなく「思春期そのもの」の現象 性別 人種・民族 国の経済水準 普遍的な発達段階 (思春期の低下) 男の子でも女の子でも、どの国に住んでいても、この幸福度の低下傾向と安定性は一貫しています。 つまり、幸福度の低下は個人の異常や失敗ではなく、人間の普遍的な「発達段階」の一部なのです。 世代のねじれ:現代の子どもたちが背負う追加の重圧 1999年以前生まれ(Born Before 2000) 2000年以降生まれ(Born After 2000) 普遍的な発達段階とはいえ、例外がつだけありました。2000年以降に生まれた若い世代は、幸福度の低下が前の世代よりも「より急激」であることが判明しました。 パンデミックや急速なデジタル化・スクリーンタイムの増加が、本来の思春期の揺らぎに拍車をかけている可能性があります。 全体像:必然的な「潮の引き」と、 現代社会の「重り」 現代持有のプレッシャー (Modern Pressures) 普遍的な発達の波 (Universal Developmental Wave) 思春期における幸福度の低下は、大人への階段を 登るための正常なプロセス(特性のようなもの) です。 しかし、私たち大人が注意すべきは、デジタル社会 などの「現代特有の要因」が、その正常な低下を 危険なレベルまで押し下げていることです。 🔶 NotebookLM 大人ができる3つのサポート 1. 正常な低下にパニックを起こさない 幸福度が下がるのは成長の証です。無理に「いつもハッピーでいること」を強要せず、揺らぎを受け入れましょう。 2. 他人と比べず、その子の「ベースライン」を見る 個人の相対的な順位は変動しています。他の子と比べるのではなく、その子自身の過去の状態を基準に見守りましょう。 3. 「3つの欲求」を満たす環境を作る 学校や家庭で、有能感、自律性、他者とのつながり(自己実現的幸福度)を感じられる安全な居場所を確保しましょう。
【背景】
▼1. なぜ青年期のウェルビーイングに注目するのか
・青年期は不安定な時期として特徴づけられる。身体・認知・心理社会・環境の急激な変化が同時に起こるため(Eccles et al., 2013; Steinberg, 1999)
・特に小学校から中等学校への移行は大きな試練となりうる。学業上の困難や、内在化問題(不安・抑うつなど内側に向かう問題)・外在化問題(攻撃性など外側に向かう問題)の増加が報告されている(Benner, 2011; Jindal-Snape et al., 2020)
・コロナ禍と急速な技術発展を機に、青年のウェルビーイングへの関心はさらに高まった(Ravens-Sieberer et al., 2022; Vasconcellos et al., 2025)
・ウェルビーイングが高いことは、学業への取り組み、教育達成、社会的関係、健康を促進することが示されている(Hawkins et al., 2012; Upadyaya & Salmela-Aro, 2013)
・一方で、過度のスクリーンタイムが青年のウェルビーイングを害するのではという懸念もある(Vasconcellos et al., 2025)
・ところが「青年期にウェルビーイングがどう発達するのか」自体は、実はよく分かっていない。増加を報告する研究も減少を報告する研究もあり、結果がバラバラだった(Henkens et al., 2022; Wu & Becker, 2023)
・既存のレビューやメタ分析は生涯発達(人生全体)を対象にしたものが中心で、青年期に特化した知見が埋もれてしまっていた(Buecker et al., 2023; Galambos et al., 2020; López et al., 2013)
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▼2. ウェルビーイングの3つの概念と測定
実証研究では主に3つの理論的枠組みが使われてきた(Cooke et al., 2016)。いずれも、抑うつや不安といった病理症状を扱う従来のメンタルヘルス概念とは区別される。
・ヘドニック(快楽主義的)ウェルビーイング
感情反応と人生への認知的評価に注目する立場(Diener, 1984)。ポジティブ感情(喜び・ワクワクなど)、ネガティブ感情(動揺・恐れなど)、人生満足度(自分の人生にどれくらい満足しているか)の3要素からなる
測定尺度: 人生満足尺度(Diener et al., 1985)、PANAS(ポジティブ・ネガティブ感情尺度; Watson et al., 1988)、主観的幸福感尺度(Lyubomirsky & Lepper, 1999)
・ユーダイモニック(自己実現的)ウェルビーイング
自己実現と人格的成長に注目する立場(Ryan & Deci, 2001)。有能感(課題をうまくこなせる感覚)、自律性(自分で選択・行動を決められる感覚)、関係性(他者とつながっている感覚)という3つの基本的心理欲求と対応する
これはRyff & Keyes (1995)の心理的ウェルビーイングモデル(自己受容、環境制御、積極的な他者関係、人生の目的、人格的成長、自律性の6次元)とも整合する
測定尺度: 心理的ウェルビーイング尺度(Ryff & Keyes, 1995)、フラリッシング尺度(Diener et al., 2010)
・QOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)
心理学と医学で広く使われる統合的な見方。ヘドニックとユーダイモニックの主要素に加え、健康や環境の側面も含む(WHO, 2012)
測定尺度: WHOQOL(青年版への適応: Chen et al., 2006)、WHO-5(WHO, 2024)
・3つの概念は重なりつつも、それぞれ異なる側面を捉えている。ヘドニックは人生の全体評価に、ユーダイモニックとQOLは社会的関係や環境など生活の各側面に焦点がある。単一の概念で人の生活のすべての次元を捉えることはできないため、本研究は3概念すべてを含む多次元的視点を採用した
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▼3. ウェルビーイングは青年期にどう発達するのか——4つの理論的視点
論文は、発達心理学・教育心理学・パーソナリティ研究・ポジティブ心理学から4つの視点を整理しています。
・(1) 発達的視点: 生物学・神経科学の側面
青年期は思春期の開始と重なり、急激な身体成長や第二次性徴など大きな生物学的・認知的変化が起こる(Steinberg, 1999)。これらの変化は自己や他者からの見られ方に影響し、社会情動的発達を左右する(Steinberg & Morris, 2001)
思春期の進行度を直接測定した研究では、思春期が進んでいるほど自己イメージが低く、メンタルヘルス問題が多く、視点取得(相手の立場で考える力)は高いことが示された(Ahmed et al., 2024)
認知制御・情動・社会性を担う脳領域は青年期に活性化が高まり(Casey et al., 2008; Dumontheil, 2016)、仲間とのやり取りや情動反応への感受性が増す(Dumontheil, 2016)
→ 予測: ウェルビーイングは「変化する」
・(2) 文脈的視点: 小学校から中等学校への移行
「段階-環境適合理論」(Stage-Environment Fit theory)によれば、中等学校はしばしば青年の基本的心理欲求(有能感・自律性・関係性)を満たせない(Eccles et al., 2013; Ryan & Deci, 2000)
資格取得が主目標となる中等学校は競争的になり、学習の選択肢は減り、仲間や教師と良い関係を築く時間も減る。このミスマッチが「人-環境の不適合」を生む
実際、この理論と整合的に、中等教育期には学習動機、学業的自己概念、自己管理、人間関係の質の低下が報告されている(Rimm-Kaufman et al., 2025; Ross et al., 2019; Scherrer & Preckel, 2019)
→ 予測: ウェルビーイングは「低下する」
・(3) パーソナリティ視点: ディスラプション(一時的混乱)仮説
パーソナリティ特性とウェルビーイングには強い関連がある(Anglim et al., 2020)ため、パーソナリティ発達の理論から推論できる
ビッグファイブ(開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向の5特性)研究では、青年は生物学的・社会情動的変化と「大人らしさへの期待」への適応困難により、特性が一時的に落ち込む(disruption)とされる(Denissen et al., 2013; Soto & Tackett, 2015)
具体的には、協調性と誠実性は青年期前期に低下し後期に回復(Denissen et al., 2013; Soto et al., 2008; Van den Akker et al., 2014)、外向性は青年期を通じて低下傾向。神経症傾向はより複雑で、性差も関与する(Soto et al., 2008; Van den Akker et al., 2014)
→ 予測: ウェルビーイングは「青年期前期に一時的に低下する」
・(4) ポジティブ心理学視点: セットポイント理論と改訂セットポイント理論
セットポイント理論は、失業や結婚など重大なライフイベント後のヘドニック・ウェルビーイングの変動を説明する理論(Brickman & Campbell, 1971; Diener et al., 2006)。ウェルビーイングは一時的に変化するが、心理的適応により元の水準(セットポイント=設定値)に戻るとする
ただし実証結果は混在している(Diener et al., 2006)。失業経験者のウェルビーイングは徐々に回復するものの元の水準までは戻らず(Lucas et al., 2004)、大学を中退した人でも同様の長期的低下が観察された(Neugebauer et al., 2025)
そこで登場したのが改訂セットポイント理論。ベースライン水準や対処プロセスの個人差により、元に戻るかどうかは人によって異なると考える
青年期は複雑な社会的関係やアイデンティティ形成(自分は何者かの確立; Erikson, 1968)といった困難なライフイベントに直面する重要な時期である(Bond et al., 2007)
→ 予測: ウェルビーイングは「変化し、元の水準に戻るとは限らない」
・理論のまとめ
視点は異なるが、いずれも「ウェルビーイングは変化しうる」という共通の仮説に行き着く。文脈的視点は低下を、ディスラプション仮説は前期の一時的低下を、改訂セットポイント理論は非回復の可能性を示唆する
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▼4. 実証研究の現状——2つの指標で見る
発達を包括的に理解するため、論文は2つの指標を区別します。
・平均値変化(mean-level change): 集団全体としてウェルビーイングの平均が上がるか下がるか(発達パターン)
・順位安定性(rank-order stability): 集団内での相対的な位置(順位)がどれくらい保たれるか。2時点間の相関(テスト-再テスト相関)で表される
▼4-1. 平均値変化に関する既存研究
・横断研究(異なる年齢集団を同時に比較する研究デザイン)では、例えば8歳と10歳を比較する(Casa & González-Carrasco, 2019)が、同じ個人を追跡していないため正確な「変化」を反映しない。年齢差は各世代が育った社会的・歴史的条件とも交絡する(区別できずに混ざってしまう)
・縦断研究(同じ個人を追跡する研究デザイン)でも結果は一貫しない
- 代表性のあるサンプルで10〜16歳の人生満足度の低下を報告(Wu & Becker, 2023)
- 青年期中期から後期にかけての人生満足度の上昇を報告(Henkens et al., 2022; Salmela-Aro & Tuominen-Soini, 2010)
- 9〜17歳を追った研究では、ポジティブ感情は直線的に低下、ネガティブ感情は9〜11歳で低下した後12〜16歳で徐々に増加(Griffith et al., 2021)
- ユーダイモニック・ウェルビーイングは約2年後にわずかに上昇(Duncan et al., 2022)
・メタ分析(複数研究の結果を統計的に統合する手法)は、青年期から成人後期までの平均値変化を扱ったものが1件のみ。Buecker et al. (2023)は、人生満足度が9〜14歳で低下し14〜18歳では変化なし、ポジティブ・ネガティブ感情は9〜18歳で変化なしと報告した。ただしヘドニック・ウェルビーイングのみを対象とし、生涯発達という広い視野を取ったため、青年期の明確な像は得られていない
▼4-2. 順位安定性に関する既存研究
・ウェルビーイングはパーソナリティ特性や自尊感情と同時的にも予測的にも強く関連する(Anglim et al., 2020; Orth & Robin, 2022)ため、まず隣接分野のメタ分析知見が参照される
・パーソナリティ特性と自尊感情は児童期から成人期にかけて中程度に安定しており、中年期まで安定性が増し続ける(r > .75)ことが示されている(Bleidorn et al., 2022; Orth et al., 2018; Roberts & DelVecchio, 2000)。これは「累積的継続性原理」(年齢とともに特性がより安定していくという原理; Roberts & DelVecchio, 2000)と整合する
・ウェルビーイング自体の縦断研究では、テスト-再テスト相関はおおむね.40〜.60
- イタリアの青年のユーダイモニック・ウェルビーイング4時点: 平均約.62 (De Lise et al., 2024)
- ドイツの代表性サンプル4波: 12〜16歳で.51から.56へ上昇(Wu & Becker, 2023)
- 11〜15歳のネガティブ感情: 平均約.40で、時点間で増減あり(Burris et al., 2017)
・つまりウェルビーイングは青年期でも少なくともある程度安定しており、加齢とともに安定性が増す可能性がある。ただし概念やサンプルがバラバラで、包括的な証拠はまだない
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▼5. 既存のレビュー・メタ分析の限界(リサーチギャップ)
・これまでの研究は主に文献レビューという方法で、生涯にわたるヘドニック・ウェルビーイングの発達を検討してきた(Galambos et al., 2020; López Ulloa et al., 2013)。系統的レビュー+メタ分析はBuecker et al. (2023)の1件のみ。近縁の構成概念である自尊感情については別のメタ分析がある(Orth et al., 2018)
・この2つのメタ分析には5つの限界がある
(1) 検索データベースが1〜2個(APA PsycINFOとMEDLINE)に限られ、青年対象研究の網羅性が不十分
(2) Buecker et al. (2023)はヘドニック・ウェルビーイングのみ。ユーダイモニックやQOLを含めた一般化可能性が検証されていない
(3) 効果量を狭い年齢区分(例: 9-12歳、13-15歳)で提示したが、区分の理論的根拠が不明確で、研究間で区分方法も不統一。有意な変化がない年齢の効果量まで累積したため、青年期の累積効果量が過大推定された可能性がある。またウェルビーイングの軌跡が直線的か非直線的かを、年齢の効果として直接検証していない
(4) Buecker et al. (2023)は平均値変化が中心で、順位安定性を検討していない。順位安定性の証拠は、ウェルビーイングがどの程度「特性的(trait-like、性格特性のように安定した性質)」かを明らかにするうえで重要
(5) 縦断研究では同一サンプルから複数の効果量が出るため、効果量同士が相関する。既存研究はマルチレベルランダム効果モデルやロバスト分散推定で対処したが、効果量間の依存構造を表す真の標本共分散行列は通常不明なため、推定にバイアスが生じうる(Pustejovsky & Tipton, 2022)。また研究の質が効果量に与える影響も検証されていない
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▼6. モデレーター(結果を左右しうる要因)に関する既存研究
結果のばらつきを説明するため、サンプル特性と方法論的特性が検討されます。
▼6-1. サンプル特性
・性別: 生物学的・社会的差異が自己認識・情動・社会的関係・ウェルビーイングの差につながりうる(Burger et al., 2024; Hyde, 2014)。ただし実証・メタ分析研究では、性別とヘドニック・ウェルビーイングの関連は弱い(Batz-Barbarich et al., 2018; Matud et al., 2022; Wu & Lee, 2022)
・出生コホート(生まれた年代の集団): 育った社会経済環境の違いが人生経験の受け止め方を形づくる(Twenge & Campbell, 2001)。2000年代生まれはスマホとSNSのデジタル環境で育った(OECD, 2026)。最近のメタ分析はスクリーンタイムと社会情動的機能の負の関連を報告しており(Vasconcellos et al., 2025)、「デジタルネイティブ世代はウェルビーイングが低くなりやすいのか」という論争に関わる
・エスニシティ(民族的背景): 多数派と少数派ではアイデンティティ形成や社会的ネットワークの形成が異なる(Flores et al., 2020)。ただしBuecker et al. (2023)では生涯にわたるヘドニック・ウェルビーイングの発達に対する効果はなかった
・国の経済発展度: 経済発展は資源の分配と密接に関わる(Diener et al., 2009)。先進国は生活水準や社会福祉が手厚く、所得格差も小さい傾向があり、ウェルビーイングが高くなりうる(Alesina et al., 2004; Oishi et al., 2011)。ただし国の所得増加が人生満足度を高めるのは途上国での短期に限られ、効果は時間とともに薄れるという有名な知見もある(Easterlin et al., 2010)
▼6-2. 方法論的特性
・時間間隔: 測定間隔が長いほどテスト-再テスト相関は低下する(Fraley & Roberts, 2005)。メタ分析では、人生満足度と感情の相関は15年で約.20まで漸減する(Anusic & Schimmack, 2016; Fraley & Roberts, 2005)。平均値変化にも影響しうる(重大イベント後に変化したウェルビーイングが元に戻るとは限らないため; Diener et al., 2006)
・ウェルビーイング測定の概念: 研究によって、人生満足度(Diener et al., 1985)、PANAS(Watson et al., 1988)、複数指標の合成得点(Mikkelsen et al., 2022)、WHO-5(WHO, 2024)、フラリッシング尺度(Diener et al., 2010)、6因子心理的ウェルビーイング(Ryff & Keyes, 1995)など様々。概念の違いが発達に影響するかはあまり検討されてこなかったが、ネガティブ感情は人生満足度・ポジティブ感情とは異なる発達軌跡を示すことが知られている(Hudson et al., 2016)
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▼7. 以上を踏まえた本研究の問い
・RQ1: 青年期にウェルビーイングはどの程度変化するか(平均値変化)。また、その変化はサンプル特性・方法論的特性・研究の質によってどう変わるか
仮説: ウェルビーイングは低下する(年齢の関数の形については仮説なし)
・RQ2: 青年期にウェルビーイングはどの程度順位安定性を示すか。また、その安定性は各特性によってどう変わるか
仮説: ウェルビーイングは安定している(年齢の関数の形については仮説なし)
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■補足
・本論文はプレプリント(査読前の公開版)である点に注意が必要です
・既存研究の整理として特に重要なのは、(1) 理論はどれも「変化する」方向を予測するのに実証結果は増減バラバラだったこと、(2) 唯一のメタ分析(Buecker et al., 2023)がヘドニック限定・生涯視点・順位安定性なしという3つの穴を残していたこと、の2点です。本研究はまさにこの穴を埋める設計になっています
【研究内容】
▼1. 方法
▼1-1. 系統的文献検索
・3つのアプローチで文献を収集
(1) データベース検索: EBSCOプラットフォーム上のAPA PsycInfo、APA PsycArticles、Education Source、ERIC、MEDLINE、およびWeb of Scienceを、2000年〜2024年3月の範囲で検索(その後2025年12月まで更新検索)。既存メタ分析より大幅に広いカバレッジ
(2) グレー文献(学位論文・報告書・学会発表など、通常の学術誌以外の文献)の検索: EBSCOとGoogle Scholarで実施
(3) 既存メタ分析(Buecker et al., 2023; van Heijst & Geurts, 2015)の引用文献リストの確認
・検索語は、司書への相談、先行研究のキーワード、APA・医学件名標目表(MeSH)の参照、ChatGPTによる同義語生成で開発。「青年サンプル」「縦断研究」「ウェルビーイング構成概念」の3領域で構成
・重複除去後、11,655件の記録+グレー文献871件+引用文献から95件
▼1-2. 採択基準とスクリーニング
・主な採択基準
- 英語で入手可能な量的研究
- 介入研究は除外(通常の発達=規範的発達に焦点を当てるため)
- 縦断デザイン(同一サンプルを2時点以上追跡)で、測定間隔3ヶ月以上
- 年齢はWHOの定義に基づきおおむね10〜19歳
- サンプルサイズ30以上
- ヘドニック・ユーダイモニック・QOLのいずれかを青年自身が回答(自己報告)
- 全時点で同一の測定尺度を使用
- 効果量計算に必要な情報(サンプルサイズ、平均、標準偏差、時間間隔)を報告
・測定間隔を3ヶ月以上とした理由: 先行メタ分析は6ヶ月以上を採用していたが(Buecker et al., 2023; Orth et al., 2024)、青年期は変化が急速でウェルビーイングが短期間で変動しうること、学校の学期が通常3ヶ月以上であることから、青年に適した間隔として設定
・スクリーニングには機械学習支援ツールASReviewを使用(ASReview LAB developers, 2025)。2名の評価者が独立して実施し、評価者間一致率は良好(90%)。最終的に160研究がコーディング対象に
▼1-3. コーディングと研究の質評価
・各研究について、研究特性、サンプル特性、ウェルビーイング測定、効果量計算情報、質評価の5項目をコーディング。約30%を2名が独立してコーディングし、一致率は91〜97%と良好
・モデレーターのコーディング
- 性別: 第1時点の女性比率で代理
- 出生コホート: 2000年より前生まれ/2000年以降生まれの2区分(スマホ・SNSへの曝露の世代差を近似する目的; OECD, 2026)
- エスニシティ: サンプルの多数派で分類
- 国の経済発展度: 世界銀行の2025年所得分類
- ウェルビーイング概念: ヘドニック/ユーダイモニック/QOLの3分類に加え、ポジティブ側面(人生満足度・ポジティブ感情・ユーダイモニック・QOL)かネガティブ側面(ネガティブ感情)かも分類
・研究の質評価: 縦断研究向けの既存の適切な評価ツールがなかったため、先行研究(APA, n.d.; Downs & Black, 1998; Tooth et al., 2005)に基づき独自開発。(a)報告の質(目的・サンプル・結果の報告)、(b)データの質(代表性のある抽出、収集方法、尺度の妥当性・信頼性)、(c)分析の質(交絡要因の統制、脱落情報、欠測データ処理)の3領域
▼1-4. 効果量の計算
・平均値変化: Cohen's d(標準化平均変化量)を使用。「(後の時点の平均 − 前の時点の平均) ÷ 前の時点の標準偏差」で計算し、これを時間間隔(年単位)で割ることで「1年あたりの変化量(d per year)」に統一(Morris & DeShon, 2002; Buecker et al., 2023の方法を踏襲)。正の値は増加、負の値は減少を意味する
・順位安定性: テスト-再テスト相関を使用。ただし測定誤差(尺度の不完全さによるブレ)の影響で相関が本来より低く見積もられるため、尺度の信頼性で割って補正(deattenuation=希薄化修正; Cohen et al., 2003)。分析にはFisherのz変換(相関係数を統計処理しやすい形に変換する手法)を適用
▼1-5. 統計モデル——既存メタ分析の弱点への対処
・縦断研究のメタ分析では、同一サンプルから複数の効果量が出るため効果量同士が相関し、さらにサブサンプル(男女別など)による階層構造もある。この「相関+階層」構造に対応するため、CHEモデル(Correlated and Hierarchical Effectsモデル、相関・階層効果モデル; Pustejovsky & Tipton, 2022)を採用。これは既存メタ分析(Buecker et al., 2023等)の手法的限界として指摘されていた点への直接の対処
・レベル構成の異なる3つのCHEモデルを推定し、AIC・BIC(モデルの良さを比較する情報量規準。小さいほど良い)などで最適モデルを選択
・さらにクラスターロバスト標準誤差(依存構造の仮定のズレに頑健な誤差推定)を適用し、年齢の1次(直線)・2次・3次関数を順に投入して軌跡の形を直接検証。その後モデレーターを投入
▼1-6. 出版バイアスと感度分析
・出版バイアス(有意な結果ほど出版されやすい偏り)の検討に4手法を使用: ファンネルプロット(効果量と標準誤差の散布図。偏りがあると非対称になる)、Eggerの回帰検定、p-curve分析(p値の分布から選択的報告を検出する手法)、PET-PEESE(小規模研究効果を補正した効果量を推定する手法)
・感度分析(結果の頑健性の確認)として、(1)Cookの距離による影響力の大きい効果量の特定、(2)研究の質をモデレーターに追加、(3)ポジティブ側面とネガティブ側面のサブグループ分析を実施
・PRISMA(系統的レビューの報告基準)に準拠し、事前登録済み
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▼2. 結果
▼2-1. データの概要
・平均値変化: 160研究、284サンプル、502効果量、551,009名
・順位安定性: 152サンプル、427効果量、515,081名
・第1時点の平均年齢は13.69歳(SD=1.78)。99.2%が非臨床サンプル
・地域はアジア32.1%、ヨーロッパ31.7%、北米22.3%が中心で、73.1%が高所得国
・平均測定間隔は11.5ヶ月
・測定概念はヘドニックが91.2%と大半(ユーダイモニック5.4%、QOL3.4%)。81.3%がポジティブ側面の測定
・研究の質は全体に良好(83%が無作為・代表性のある抽出、84%が交絡要因を統制)
▼2-2. 平均値変化(RQ1)
・全体の結果: ウェルビーイングは毎年少しずつ低下する
- 年間変化量 d = -.03/年(95%信頼区間 [-.06, -.01])
- 3つのモデルすべてで同じ推定値となり、頑健
- 年齢の1次・2次・3次関数はいずれも非有意 → 低下ペースは年齢によらず一定(直線的)
- したがって10〜19歳の累積では d = -.27(-.03×9年)の低下。小〜中程度の効果量(Cohen, 1992)
・モデレーター分析: 性別、エスニシティ、出生コホート、国の経済発展度、時間間隔、ウェルビーイング概念、ポジティブ/ネガティブ側面のいずれも非有意。研究の質も非有意 → 低下パターンは条件を問わず頑健
・サブグループ分析(ここが本研究の目玉の一つ)
- ポジティブ側面: d = -.04/年の低下(累積 d = -.36)。さらに2000年以降生まれは2000年より前生まれと比べて有意に低下が大きい(B = -.09)
- ネガティブ側面: 全体では変化なし(d = .00)。ただし2000年以降生まれは2000年より前生まれと比べてネガティブ側面が有意に増加(B = .29)。研究の質を統制しても維持
→ つまり「2000年以降生まれの世代は、良い側面がより下がり、悪い側面がより上がる」
・出版バイアス: ファンネルプロットにやや非対称性があり、Eggerの検定は非有意だが、p-curveは真の効果を支持、PEESE補正値は d = -.06/年とやや大きめの低下を示した。著者らは「出版バイアスの影響が完全にないとは言えない」と慎重に記述
▼2-3. 順位安定性(RQ2)
・全体の結果: 順位安定性は高い
- 平均テスト-再テスト相関 r = .62(95%信頼区間 [.60, .65])
- 年齢の1次関数が有意に正(B = .05) → 年齢が上がるほど安定性が増す。2次・3次関数は非有意
・モデレーター分析: 時間間隔のみ有意に負(B = -.13) → 測定間隔が長いほど順位安定性は低下する。ただし本データの間隔は大半が2年以内のため、低下は大きくないと考えられる。他のモデレーター(性別、エスニシティ、出生コホート、経済発展度、概念、側面)と研究の質はすべて非有意
・サブグループ分析
- ポジティブ側面: r = .64。年齢の1次関数は有意に正。2000年以降生まれは安定性がやや低い(B = -.17)
- ネガティブ側面: r = .56。年齢効果もモデレーターも実質的に非有意
・出版バイアス: Eggerの検定が有意で偏りの兆候あり。ただしp-curveは真の効果を支持。PET補正値は r = .55で、補正後もなお高い安定性
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▼3. 考察
▼3-1. 平均値変化について——理論との照合
・「ウェルビーイングは青年期に低下する」という結果は、発達的視点、段階-環境適合理論(Eccles et al., 2013)、ディスラプション仮説(Soto & Tackett, 2015)と整合的
・累積低下量(d = -.27)は、Buecker et al. (2023)の報告(9〜16歳で d = -.56)より小さい。この差は、Buecker et al.が年齢区分(age-grid)ごとに年間変化を計算し、9〜14歳の大きい変化を累積した方法によると考えられる。本研究は10〜19歳全体の平均年間変化を推定したため、より控えめな値になった
・年齢の非線形効果が見られなかったことは、改訂セットポイント理論(一時的に落ちて戻る、という曲線的パターン)を支持しない。ただし本研究のサンプルはほぼ非臨床で、重大なライフイベントを経験した人が少ない可能性がある。いじめ被害のような環境要因が発達パターンを分岐させるかは今後の課題(Malamut & Salmivalli, 2023; Cheng et al., 2025)
・ポジティブ側面は下がるがネガティブ側面は増えない、という非対称性は重要。学業的要求やアイデンティティ形成といった発達課題は、人生の「良い側面」を削る一方で、「悪い側面」を必ずしも増やさないのかもしれない。ポジティブ感情とネガティブ感情が異なる軌跡を持つという先行知見(Griffith et al., 2021; Kaplan et al., 2009)とも整合的
・出生コホート効果(2000年以降生まれの悪化)は、スクリーンタイムと社会情動的問題の関連(Vasconcellos et al., 2025)を間接的に支持する。ただし本研究はスクリーンタイムを直接測定しておらず、SNS制限が有効かどうかの実証的証拠もまだ明確でない(Barnes et al., 2026)ため、慎重な解釈が必要と著者ら自身が明記している
・性別の非有意についても注意書きあり。性別は「女性比率」という研究レベルの代理変数で扱われており、男女で発達パターンが異なるという先行知見(Griffith et al., 2021; Soto et al., 2008)を考えると、特にネガティブ感情については個人レベルの性差を検出できていない可能性がある
▼3-2. 順位安定性について
・r = .62という安定性は、ビッグファイブの同年齢帯の安定性(およそ.50〜.75未満; Bleidorn et al., 2022)と同水準。つまりウェルビーイングは青年期においても「特性的(trait-like)」な構成概念とみなせる
・「ウェルビーイングが高い青年は、後の時点でも相対的に高い位置を保ちやすい」ことを意味する
・年齢とともに安定性が増すことは、累積的継続性原理(Roberts & DelVecchio, 2000)と整合的
・ただしパーソナリティ研究の知見では安定性は成人期前期まで増加し続けるため、青年期の安定性はまだ「固まりきっていない」。著者らはここに介入の余地があると指摘している——安定性が完全に固定される前の青年期は、ポジティブな軌跡へ導く介入のチャンスかもしれない
▼3-3. 概念間の一般化可能性
・平均値変化も順位安定性も、ヘドニック/ユーダイモニック/QOLの概念間で差がなかった → 発達パターンは概念を超えて一般化できる可能性
・国際調査では人生満足度1項目での測定が多い(Twenge et al., 2026)が、単一項目では社会的関係や人生の意味といった重要次元を見落とすという指摘もある(VanderWeele & Johnson, 2025)。著者らは、各概念は競合ではなく補完関係にあり、多次元的アプローチが有効だと論じている
▼3-4. 限界と今後の方向性
・サンプルの偏り: ヨーロッパ・アジア・北米、高所得国が中心。南米・中東・アフリカ・低所得国への一般化には限界(児童発達研究全般の課題でもある; Singh, 2023)
・年齢の偏り: 大半のデータが16歳未満の前期・中期青年期。教育・職業移行が起こる後期青年期への一般化は慎重に
・モデレーター情報の欠損: エスニシティは57%、出生コホートは40.8%の効果量で情報なし。性別・エスニシティの「効果なし」という結果の精度には限界がある
・概念の偏り: 91%がヘドニック測定。ユーダイモニックとQOLの縦断研究自体が少なく、今後の蓄積が必要
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▼4. 結論(著者らのまとめ)
・ウェルビーイングは青年期を通じて毎年一定ペースで低下し、10〜19歳の累積で小〜中程度(d = -.27)の低下となる
・この低下は性別・エスニシティ・国・概念・研究の質によらず頑健
・2000年以降生まれの世代は、ポジティブ側面の低下もネガティブ側面の増加も大きい → 若い世代のウェルビーイングを定期的にモニタリングする必要性
・一方で順位安定性は高く(r = .62)、ウェルビーイングは特性的な構成概念と考えられる。安定性は年齢とともに増すが、青年期にはまだ固まりきっていない → 介入の余地
・発達パターンは3つのウェルビーイング概念で共通しており、多次元的アプローチの有効性を支持
・学校内外での青年ウェルビーイング促進の重要性を強調
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■補足(読み手として押さえたい点)
・本論文はプレプリント(2026年7月31日版、査読前)であり、数値や記述は今後修正される可能性があります。実際、本文中に細かな不一致(考察でのネガティブ側面の安定性の数値表記など)も見られます
・「毎年 d = -.03」は1年単位で見ればごく小さい変化ですが、9年間積み重なると無視できない大きさになる、というのがこの研究の描く青年期像です
・「低下するが、順位は保たれる」という2つの知見の組み合わせが本研究の核心です。集団全体としては下がっていくが、個人間の相対的な位置関係は安定している——だからこそ、低い位置にいる青年は放っておくと低いままになりやすい、という含意が介入の必要性につながっています
【人生満足度を測る質問例】
■論文本文に載っている唯一の質問例
・1項目の人生満足度(国際調査でよく使われる形式として考察で引用)
「全体として、最近のあなたの人生全体にどのくらい満足していますか?」
(Twenge et al., 2026より引用されている例)
■代表的な尺度の実際の質問内容(原典より)
▼人生満足尺度(SWLS; Diener et al., 1985)——5項目、7件法
大人用ですが中高生にもよく使われます。内容は:
・ほとんどの面で、私の人生は理想に近い
・私の人生の状態は素晴らしい
・私は自分の人生に満足している
・これまで人生で欲しいと思った大切なものを得てきた
・もう一度人生をやり直せるとしても、ほとんど何も変えないだろう
最後の項目は「過去の振り返り」を含むため、青年には答えにくいという批判が昔からあります。
▼生徒用人生満足度尺度(SLSS; Huebner, 1991)——7項目
子供向けに文言を平易にしたもの。内容は:
・私の人生はうまくいっている
・私の人生はちょうどいい感じだ
・自分の人生を変えたいと思う(逆転項目=同意するほど満足度が低いと採点する項目)
・別の人生だったらいいのにと思う(逆転項目)
・私は良い人生を送っている
・人生で欲しいものを持っている
・私の人生は多くの子より良い
特徴は「人生全体」だけを聞き、家族や学校など特定領域を聞かない点です。領域別に聞きたい場合は多次元版のMSLSS(家族・友人・学校・住環境・自己の5領域)を使います。
▼Cantrilラダー(はしご尺度)
「ここに梯子があります。一番上(10)はあなたにとって最高の人生、一番下(0)は最悪の人生です。今、あなたは何段目に立っていると感じますか?」
HBSC(WHOの学齢期児童健康行動調査)など国際調査の定番で、11歳から使われます。UNICEFレポートカードの生活満足度もこの系統。
▼PANAS(感情測定; Watson et al., 1988)
「わくわくした」「誇らしい」などポジティブ感情10語、「動揺した」「イライラした」などネガティブ感情10語を示し、最近どのくらい感じたかを5件法で回答。子供版(PANAS-C)は語彙をさらに易しくしています。
会話形式での紹介はこちら😊
はぴテク相談室:思春期の子の「幸せ」は、じわじわ下がる。でも——
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-08-01-1785574500/
動画解説はこちら😊
https://youtu.be/0KZJw5Pdo6U