2026.07.08

はぴテク相談室:意味を探す旅は、遠回りじゃない

相談者

はぴテクさん、ちょっと聞いてもらえますか。最近ずっと「自分の人生って、これでいいのかな」「何のために働いてるんだろう」って考えてしまって。答えが出ないままモヤモヤしてるんです。まわりの友達はもう自分の道が見えてるみたいで、私だけまだ探してる感じがして、なんだか焦るというか、落ち込むというか…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうだったんですね。まず一つ、お伝えしたいことがあります。あなたが感じているその「探している状態」って、実は幸せから遠ざかっているサインじゃないんですよ。心理学では、人生の意味には二つの側面があると考えられています。一つは「もう意味を持っている状態(意味保有)」、もう一つは「意味を探している状態(意味探求)」です(Steger et al., 2008)。

相談者

探してる状態と、持ってる状態。なんとなく、探してる方がダメで、持ってる方が正解、って気がしちゃいます。

はぴテクさん
はぴテクさん

欧米ではまさにそういう関係なんです。あちらでは「探している人ほど、まだ意味を持てていない」という負の関係が出やすい。ところが、日本人を対象にした研究では逆で、「探しているほど、実は意味も持っている」という正の関係が見られるんです(島井ほか, 2025)。約1800人の日本人成人を調べた最近の研究でも、この二つの相関はとても高いことがわかっています。

相談者

えっ、日本では逆なんですか。じゃあ、私が今「探してる」ことって…。

はぴテクさん
はぴテクさん

探すことと持つことが、切り離されていないんですね。しかも面白いのは、年代が上がるほどこの二つのつながりが強くなること。30〜40代で少し低くなって、60〜70代で明らかに高くなるんです。つまり「探し続ける」というのは、若いうちに終わらせて卒業するものではなくて、人生を通じて深まっていくものかもしれない。

相談者

なんだか、少しホッとします。でも、探し続けるのってやっぱりしんどい時もあって。前向きになれる日もあれば、逆にザワザワして落ち着かない日もあるんです。

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、すごく正直で大事な感覚です。この研究でも、意味探求にはちょっと独特な性質があることが示されているんですよ。意味を探すことは、前向きな感情(ポジティブ感情)を高める一方で、実はモヤモヤした感情(ネガティブ感情)も一緒に高める傾向がある。他の幸せの指標が「安定」に向かうのに対して、意味探求だけは、心を少し揺さぶる方向にはたらくんです。

相談者

あ、それだ。まさに「揺さぶられてる」感じです。だからしんどいのに、やめられない。

はぴテクさん
はぴテクさん

その揺れは、あなたが立ち止まっているんじゃなくて、動いている証拠なんです。そしてもう一つ、この研究で一番注目すべき発見をお伝えしますね。意味を探すことが、はっきりと幸せに結びついていたのは、ある特定の幸福感でした。それが「協調的幸福感」というものです(島井ほか, 2025)。

相談者

協調的幸福感…?

はぴテクさん
はぴテクさん

欧米型の幸せは「自分の能力を最大限に発揮して、個人的な達成を得る」というイメージが強い(内田, 2011)。でも日本人の幸せは、少し違う色合いを持っていて、「人並みでいられる安心感」「まわりとのバランス」「みんなの中で調和して生きている感覚」といったものなんです。それが協調的幸福感。この研究では、意味探求はこの協調的幸福感だけに、はっきり貢献していました。

相談者

つまり…私が「これでいいのかな」って探しているのは、自分だけの成功を探してるんじゃなくて、まわりとの関わりの中での自分の場所を探してる、みたいなことですか。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそういうことなんだと思います。だから焦らなくていい。友達と道が違って見えても、あなたは「みんなとのつながりの中で意味を編み直している」最中なんです。この研究では、意味探求が、倫理観や「今の状況をより良く変えていきたい」という気持ちともつながっていることも示されています。探すことは、より良く生きようとする力そのものなんですよ。

相談者

なんだか、モヤモヤしてた自分を責めなくていいんだ、って思えてきました。探してることを、もう少し肯定してあげようと思います。

はぴテクさん
はぴテクさん

それが一番の解決かもしれません。答えを急いで出すより、「探している自分」と仲良くやっていく。揺れる日があってもいい。その揺れごと、あなたの幸せの一部ですから。

■ 今日のまとめ

  • 日本では「意味を探している状態」と「意味を持っている状態」はつながっていて、探すことは幸せから遠ざかることではない(むしろ年代が上がるほど両者は強く結びつく)
  • 意味を探すことは前向きな感情もモヤモヤした感情も両方高める。揺れるのは自然なことで、動いている証拠
  • 意味探求がはっきり結びつくのは「協調的幸福感」——自分だけの達成ではなく、まわりとの調和の中で自分の場所を見出す幸せ

■ 出典・注意事項

  • 島井哲志・浦田悠・一言英文・大竹恵子 (2025)「人生の意味探求と協調的幸福感」ポジティブ心理学研究会提示資料(千葉大学・小林正弥教授による2024年インターネット調査データを分析、日本人成人1843名)。関連する基礎研究として Steger et al. (2008)、内田由紀子 (2011) を参照。

  • 本対話は研究知見を一般向けにわかりやすく再構成したものであり、個別の悩みへの診断・治療を目的とするものではありません。強い落ち込みや不安が続く場合は、専門機関への相談をご検討ください。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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本編の紹介はこちら😊

人生の意味を探すこと。
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