2026.06.01

はぴテクさんのウェルビーイング相談室 〜「正しさ」と「見られたさ」の話〜

相談者

はぴテクさん、聞いてください。最近モヤモヤしてて…。職場に、ルーズな同僚がいるんですよ。締め切り守らないし、ちょっとズルいこともする。それを見るたびにイライラして、つい心の中で「ありえない」って責めちゃうんです。私、自分では割と道徳的なつもりなんですけど、こんなにイライラする自分もなんか嫌で。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど、それは疲れますね。まず大前提として、人の良くない行動にモヤッとするのは、あなたに「こうあるべき」という基準がちゃんとある証拠なんですよ。悪いことじゃない。
ただ、ちょっと面白い研究があってですね。「自分は道徳的だ」と自己申告する人ほど、他人の利己的な行動を厳しく裁きがちだ、という結果が出ているんです。

相談者

えっ。じゃあ私が道徳的なつもりだから、よけいに人に厳しくなってるってことですか…?

はぴテクさん
はぴテクさん

可能性としてはありますね。でも、ここが大事なところで。その「厳しさ」が強く出るのは、ある条件を持った人なんです。それが「良い人に見られたい」という欲求の強さ。

相談者

良い人に見られたい…。うーん、正直、あります。職場で「ちゃんとした人」と思われたい気持ちは。

はぴテクさん
はぴテクさん

正直でいいですね。その研究では、こう分かれたんです。
「良く見られたい欲求」が低い人は、自分は道徳的だと言いつつ、実際に自分にもちゃんと厳しい。言行一致なんですね。
でも、その欲求が高い人は、自分は道徳的だと言いつつ、他人の利己的な行動には厳しいのに、自分の利己的な行動には甘くなる。つまり二重基準が出やすかったんです。

相談者

…耳が痛いです。確かに私、同僚のズルには腹が立つのに、自分が締め切りちょっと遅れたときは「今回は仕方なかった」って流してたかも。

はぴテクさん
はぴテクさん

あはは、人間みんなそうですよ。しかも研究の考察がまた興味深くて。なぜ人は「他人を褒める」より「他人を責める」方を選びやすいのか。それは、他人を責めるのって報復のリスクもある、ちょっとコストの高い行為なんです。コストが高いぶん「この人は本気で正しさを大事にしてるんだな」と周りに伝わりやすい。だから無意識に、非難が「自分の正しさアピール」の手段になりやすいんですね。

相談者

うわ、まさに。「私はちゃんとしてます」って言いたくて責めてた部分、ある気がします…。

はぴテクさん
はぴテクさん

気づけたのがすごいことですよ。しかも補足すると、この研究、自己申告が全部ウソだと言ってるわけじゃないんです。実際の行動を見ると、道徳的だと答えた人はちゃんと公正に振る舞ってもいた。ただ「人を評価する」段になると二重基準が顔を出しやすい、という話なんですね。

相談者

じゃあ私、自分が悪い人ってわけじゃ…?

はぴテクさん
はぴテクさん

全然。あなたはちゃんと基準を持っている良い人です。ただ、その良さが「他人を裁く方向」に偏りすぎると、自分がしんどくなる。だから、同僚にイラッとしたときに一回だけ立ち止まってみてほしいんです。「これは本当に正しさのため? それとも、ちゃんとした人に見られたいから?」って。

相談者

…その問いかけ、すごくいいですね。たぶん半々くらいな気がします、私の場合。

はぴテクさん
はぴテクさん

半々って気づけるだけで上等ですよ。あと、できれば同じ目線を自分にも向けてあげてください。他人に厳しいぶん、自分にも少し正直に。逆に、自分に甘いぶん、他人にも少し優しく。その「自他のバランス」が取れると、不思議とイライラも減っていきますから。

相談者

やってみます。なんか、同僚を「敵」だと思わなくて済みそうな気がしてきました。ありがとうございます、はぴテクさん!

■ 今日のまとめ

  • 「自分は道徳的」と思う人ほど、他人の利己的行動に厳しく、自分には甘くなりがち(特に「良く見られたい」欲求が強い人)。
  • 人を責める行為は「正しさアピール」になりやすい。誰かを強く責めたくなったら「正しさのため? 見られたいため?」と一度問い直してみる。
  • 自己申告が全部ウソなわけではない。行動はそこそこ公正でも、「評価」の段で二重基準が出やすい、という話。自他にバランスよく目を向けるのがコツ。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Dong, M., Kupfer, T. R., Yuan, S., & van Prooijen, J.-W. (2023). Being good to look good: Self-reported moral character predicts moral double standards among reputation-seeking individuals. British Journal of Psychology, 114, 244–261.

  • この研究は「自己申告の道徳性」と「評判管理動機」の関係を扱ったもので、評判管理動機は実験で操作したのではなく個人差として測定しています。そのため因果の解釈には慎重さが必要です。

  • 「人を責めたくなる=必ず評判目的」というわけではありません。あくまで傾向の話で、本当に誠実な怒りもたくさんあります。自分や他人を断定的にラベリングする材料にはしないでくださいね😊

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

論文自体の紹介はこちら😊
道徳的だ!と自己報告する人は、他者に厳しく自分に甘い。(可能性がある)
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-06-01-1780332316/

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