はぴテク相談室:幸せをつくるのは、内面の心か、外部の環境(状況)か?
最近、幸せになりたいと思っていろいろ試しているんですが、感謝日記とかポジティブ思考の練習をしても、なんかあまり変わった気がしなくて。でも友達は「環境を変えるより心を鍛えるべきだ」って言うんです。どちらが正しいんでしょうか?
その悩み、すごくよく分かります!「心を磨けば幸せになれる」vs「環境や状況を良くすれば幸せになれる」って、実は研究者の間でも長年議論されてきたテーマなんですよ。2025年に発表されたカリフォルニア大学のベック先生たちの大規模研究が、この問いにとても興味深い答えを出してくれています。
へえ、どんな研究なんですか?
ドイツ、イギリス、スイス、オーストラリア、オランダの5カ国で、4万人以上を最大33年間追跡した大規模な調査なんです。「人生全体の満足感」と「仕事や健康、人間関係などの各分野の満足感」がどう影響し合っているかを、長い時間をかけて丁寧に調べたものです。
33年間も!それで、どっちが正しいって結論が出たんですか?
実はどちらが正しい、という答えではなかったんです。面白いことに、「人によって違う」という結果だったんですよ。大きく4つのパターンに分かれていて、それぞれがだいたい25%ずつくらいいた。①環境や状況が幸せをつくる人、②心や内面が幸せをつくる人、③両方が効く人、④どちらもあまり関係しない人、という4タイプです。
④の「どちらも関係しない」って、どういうことですか?なんか不思議な感じがして…
研究でもそこは難しいところで、「幸福感って何だろう?」と測定自体がうまくかみ合っていない可能性もあります。研究者たちも「個人レベルのパターンとランダムな誤差を区別するのが難しい」と認めていて、今後さらなる研究が必要な部分です。まだ謎が残っているゾーンですね。
なるほど。じゃあ感謝日記が効かなかった私は、「状況が幸せをつくるタイプ」なのかもしれないですね?
そうかもしれません!この研究が示唆するのは、「全員に同じアプローチで幸せになれる」とは限らない、ということです。感謝日記などの心を鍛えるワークは②のタイプには合っているかもしれませんが、①のタイプの人には、仕事環境や人間関係、収入などの生活状況を改善するアプローチの方が合っている可能性があります。
自分がどのタイプか分かれば、もっと効率よく幸せになれそうですね。でも自分がどのタイプか、どうやって分かるんでしょう?
残念ながら、今の段階では「あなたはこのタイプです」と簡単に診断できる方法はまだないんです。この研究自体も、個人レベルで判定することの難しさを課題として挙げています。ただ、振り返りのヒントとして、「生活の状況が良くなった時期に気持ちが上向いた経験が多いか」「考え方や気持ちの持ち方を変えた時に満足感が増した経験が多いか」を自分で振り返ってみることが、一つの手がかりになるかもしれません。
確かに、転職して仕事環境が良くなった時はすごく気持ちが楽になったな、という記憶があります。
それはとても大事な自己観察ですね。状況の変化が気持ちに影響しやすいと感じるなら、心のワークだけに集中するより、生活環境や状況の改善にもエネルギーを向けてみるのも一つの方向性かもしれません。もちろん両方試してみながら、「自分にはこちらが響くな」と観察していくのが現実的なアプローチだと思いますよ。
「心か環境か」の二択じゃなくて、「自分には何が合っているか」を探す視点が大事なんですね。なんか気が楽になりました!
まさにそうです!友達の「心を鍛えるべきだ」という意見も、その友達には本当に合っているアプローチなのかもしれません。でもあなたに同じことが当てはまるとは限らない。この研究が教えてくれる一番大事なことは、「幸せの作り方は人それぞれ」という視点を持つことかもしれませんね。自分自身をちょっとずつ観察しながら、自分に合うものを探していきましょう!
■ 今日のまとめ
- 幸せをつくるのは「心(内面)」か「状況(環境)」かは人によって異なり、5カ国・4万人・33年の追跡研究では、①状況が効く人、②心が効く人、③両方効く人、④どちらも効かない人の4タイプがほぼ同じ割合で存在することが示された。
- 感謝日記などの心理的ワークが全員に効くわけではなく、状況改善が効果的なタイプの人もいるため、「全員に同じアプローチ」は合わない可能性がある。
- 自分がどのタイプかを簡単に判定する方法はまだなく、過去に状況の変化と気持ちの変化がどう連動していたかを振り返ることが、自分に合うアプローチを探る手がかりになりうる。
■ 出典・注意事項
- 出典:Emorie D. Beck, Felix Cheung, Stuti Thapa & Joshua J. Jackson, 'Towards a personalized happiness approach to capturing change in satisfaction', Nature Human Behaviour, 2025年5月. https://www.nature.com/articles/s41562-025-02171-z
- 注意事項①:本研究は相関・関連性の分析であり、「状況を改善すれば幸せになれる」「心を鍛えれば幸せになれる」という因果関係を直接証明したものではありません。
- 注意事項②:対象はドイツ・イギリス・スイス・オーストラリア・オランダの5カ国であり、文化的背景が異なる国や地域にそのまま当てはまるかは不明です。
- 注意事項③:研究者自身が「個人レベルのパターンとランダムな誤差を区別することは難しい」と認めており、4タイプの判定精度には限界があることが示されています。
研究自体の紹介はこちら😊
幸せをつくるのは、内面の心か、外部の環境(状況)か?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-05-02-1777762137/