2026.05.30

人生の調和は、幸せにつながるか?

GFSを元にした調和(ライフバランス)とウェルビーイングの最新研究😍

一般に、あなたの人生の様々な側面が調和していることがどのくらいありますか。

という質問があるのですが、

これとウェルビーイングの関係性を調査頂いています😍

一言で言えば、

調和が取れている人は、2年後に幸福度が高まっている。

幸福感、人生への満足、精神的健康、人生の意義、希望、感謝、

関係の満足度、関係の充足感、孤独感の無さ、

主観的な健康度、

などが高まる。

一方で、

雇用状態や持ち家、所得などには影響なし。

そして、面白い事に、

日本や香港は、この調和がかなり幸せに効いていました😍調和を大切にする東洋らしい結果ですね。

なのに、中国では、調和がむしろ不幸せに効いていました。(唯一)

本文の考察では、

中国では成功(高学歴・高収入など)を得る為には、

バランスを崩して過剰労働や激しい競争を行うことが必要になるので、

バランスの取れた生活はむしろ幸福度を下げるのでは?とのこと。

人生には、仕事、家庭、趣味、遊び、などなどありますが、

バランスを取って、調和した生活を送ることは大切そうです😊

ただ、個人によって、望むバランスはあると思いますが。

(たしか以前もGFSの調和と幸せを紹介しましたが、今回は2回目の調査を含めて因果も追って頂いています。)

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ライフバランスとフローリッシングとの関連性に関する縦断的・アウトカム横断的評価:グローバル・フローリッシング・スタディにおける22カ国を対象とした2年間の国際比較分析

A longitudinal outcome-wide assessment of theassociation of life balance with flourishing: a2-year cross-national analysis of 22 countries inthe global flourishing study

preprint,2026/4

Tim Lomas, R. Noah Padgett, James L. Ritchie-Dunham, James O. Pawelski, Byron R.Johnson & Tyler J. VanderWeele

https://www.nature.com/articles/s41598-026-47553-z_reference.pdf

幸福に関する縦断的研究は数多くありますが、そのほとんどは幸福の予測因子に焦点を当てており、幸福そのものを予測因子として考慮している研究は少なく、考慮している研究も特定の結果のみに焦点を当てています。本論文では、22の多様な国で繁栄の無数の予測因子と結果を調査するパネル調査であるグローバル繁栄研究(GFS)を分析することで、より広範な視点を提供します。第1波(207,919人の参加者)の幸福が、第2波(124,776人、保持率62%)の56の繁栄関連結果に与える影響を探ります。各結果について、各国内で多変量回帰分析を実施し(ランダム効果メタ分析を使用して国間で推定値を統合)、第2波の各結果を第1波の幸福に回帰させ、2つのモデルを使用しました。モデル1は保守的ではなく、人口統計学的変数と幼少期の変数のみを制御し、モデル2は同時期の第1波のすべての変数から抽出された7つの主成分を制御します。後者の過剰制御のリスクがある場合でも、幸福は繁栄のほとんどの側面と強い関連性があり、6つの領域からなる繁栄指数では効果量が0.16で、これは第1波の68の曝露すべての中で最も高かった(生活満足度と有意義な活動と並んで)。GFSのもう1つの強みは、縦断的性質に加えて、多国籍設計であることであり、効果量にかなりのばらつきがあることが明らかになった。繁栄指数では、香港(0.30)、オーストラリア(0.26)、米国(0.26)が最高で、中国、ケニア、タンザニア(0.04)、エジプト(0.03)が最低だった。幸福が繁栄に因果的に重要であるという証拠はいくつかあるかもしれないが、このような効果は結果と国の両方で不均等に分布しているように見えるが、なぜこのようなばらつきが見られるのかを掘り下げるには、さらなる研究が必要である。

投稿者によるコメント・補足(2件)
コメント 1

この論文が前提としている既存研究を、話の流れに沿ってまとめました。
■ この研究の位置づけ
この論文は、GFS(Global Flourishing Study/世界繁栄研究:22カ国・約20万人を複数年追跡する大規模パネル調査)における「人生のバランス(Life Balance, LB)」を扱った3本目の論文にあたります。
▼ 先行する2本のGFS論文
・子ども期の要因に注目した論文(Lomas et al., 2025, Sci. Rep./文献2):子ども期の13要因すべてがLBと関連し、最も強かったのは「子ども時代の自己評価による健康状態」だった
・現在の要因に注目した論文(Lomas et al., 2025, Appl. Res. Qual. Life/文献3):7要因すべてがLBと関連し、最も強かったのは「就業状況」だった
これら2本はいずれもWave 1の横断データ(ある一時点での調査データ)を使ったもの。横断研究では「時間の前後関係」が分からないため、本論文は初の縦断研究(複数時点を追跡する研究)として価値があると位置づけています。
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■ そもそも「人生のバランス」とは何か
LBは研究蓄積がほとんどないため、まず近い概念から説明されています。
▼ ワークライフバランス(WLB)
・LBより狭い概念で、「仕事」を中心に据えるため、子どもや退職者には当てはまりにくい
・Sirgy & Lee (2018/文献5) の統合的レビューが、WLBの定義を「複数役割への関与」と「役割間の葛藤の少なさ」という2軸で整理している
▼ ライフスタイルバランス
・「健康的で意味があり持続可能な日々の活動パターン」(Christiansen & Matuska, 2006/文献6,7)
・WLBより少し広いが、「活動」中心でLBより狭い
▼ LBそのものを扱った数少ない研究
・Sheldon et al. (2010/文献8):最適なLBを「時間配分の均等さ」と「理想と現実の時間配分の一致」で定義
・Thomson & De Bruin (2007/文献9):各役割への時間・感情の関与と満足についての知覚で定義
→ いずれも「役割・活動」に偏り、人生の全側面はカバーしていない、と著者は指摘
▼ 本論文が採用する広いLB観
・Lomas (2021/文献10):バランスの原理はウェルビーイングのあらゆる側面に関わるとし、(1)感情面、(2)認知面、(3)行動面、(4)自己と他者の関係、の4領域に整理。本論文のLB観はこれに基づく
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■ 文献量で見たLB研究の手薄さ
著者はGoogle Scholar検索(2026年2月)の件数を示し、LBがいかに研究されていないかを強調しています。特に「longitudinal(縦断的)」と組み合わせると、関連語句の論文はごくわずかで、縦断研究はほぼWLBに限られる(34本)状況だと述べています。
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■ 東西文化とバランス(重要な背景)
・Global Wellbeing Initiative(ギャラップと日本の財団「Well-Being for Planet Earth」の協働、2019年開始)が、東洋で重視されるとされる視点をギャラップ世界調査(GWP)に導入
・World Happiness Report 2022の章(Lomas et al., 2022/文献27)で、LBは生活評価との相関が.25と、検討された変数の中で最高水準だった
・「バランスや調和は東洋でより重視される」という通説に反し、データ上はLBを感じる人の割合は西洋(81.0%)の方が東アジア(71.2%)より高かった
・Delle Fave et al. (2016/文献28):12カ国の幸福観研究で、最も顕著な定義が「内なる調和」だった
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■ WLBの縦断研究から得られる手がかり
LB自体の縦断研究がないため、WLBの縦断研究34本を参考にしています。2系統に分かれます。
▼ WLBの「予測要因」を探る研究
・ドイツの警察官のシフト改革がWLB等を改善(文献32)
・台湾の看護師のWLBは業務量・経験等に影響される(文献33)
・コロナ禍でWLB満足度が低下、特に介護責任のある人で(文献34)など
▼ WLBを「予測変数」として扱う研究(本論文と同じアプローチ)
・韓国:仕事と家庭の負の波及が2年後の抑うつと関連(文献41)
・豪・NZ:WLBが後の職務満足・離職意図等を予測(文献42)
・スウェーデン:不良なWLBが2年後の労働能力低下を予測(文献43,44)
→ ただし効果が出ない研究もあり(スイスの健康満足、UKの環境行動など/文献46,47)、因果は確定していないものの、早期のWLBが後のウェルビーイングと意味ある関連を示す傾向
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■ 先行WLB縦断研究の限界(=本論文の意義)
著者は4つの限界を挙げ、本論文がそれを克服すると主張します。
・(1) WLBに限られLB全体ではない
・(2) 変数が少なく、多くが仕事関連に偏る(繁栄は多次元的)
・(3) 単一国の研究が多い
・(4) その多くが「WEIRD」(Western=西洋、Educated=高学歴、Industrialized=工業化、Rich=豊か、Democratic=民主的、な偏った集団)に偏る(Henrich et al., 2010/文献51)
これに対しGFSは、22カ国・縦断・56もの繁栄指標を扱える点で優れている、というのが本論文の論立てです。
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■ 繁栄の枠組み(測定の土台)
本論文の繁栄概念は、VanderWeele (2017/文献50) の枠組みに基づきます。
・5つの主要領域:①幸福と生活満足、②心身の健康、③意味と目的、④人格と美徳、⑤親密な人間関係
・加えて第6領域「経済的・物質的安定」を「安全な繁栄(secure flourishing)」の手段として追加
→ これが本論文の主要指標である Secure Flourish Index(SFI/12項目の繁栄指標)の構成
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以上が、本研究が「初のLB縦断研究」として立つための前提となる既存研究の全体像です。要するに、「バランスは大事と言われながら実証研究が乏しく、特に縦断・多国間の研究が皆無だった」という空白を埋める、という流れになっています。

コメント 2

この研究の方法・結果・考察を、流れに沿ってまとめました。
■ 研究の目的と全体像
Wave 1(1回目調査)時点の「人生のバランス(LB)」が、Wave 2(約1〜2年後の調査)時点の55の繁栄関連アウトカム(結果指標)とどう関連するかを、22カ国(中国本土と香港を分けて23集団)で調べた縦断研究です。
・LBの設問:「全般的に、あなたの人生の様々な側面はどのくらいの頻度でバランスが取れていますか?」(いつも/よく/まれに/ない)
・分析では「いつも・よく」を1、「まれに・ない」を0として2分割
・Wave 1参加者:207,919人、Wave 2:128,868人(追跡率62%)
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■ 方法(分析の枠組み)
▼ アウトカムワイド分析
・1つの要因(ここではLB)が多数のアウトカムにどう関わるかを、同じ手順で一斉に調べる手法
・利点:研究者の恣意性が減り、都合の良い結果だけ報告する「出版バイアス」も避けられ、良い・悪い・関連なしの全結果が見える
▼ 2つのモデル(効果の上限と下限を示す)
・モデル1(M1/緩め):人口統計学的変数(年齢・性別・学歴など)と子ども期の変数のみで調整。調整が足りず効果を過大評価する恐れ
・モデル2(M2/厳しめ):上記に加え、Wave 1の全変数から抽出した7つの主成分(多数の変数を少数に圧縮した合成変数)も調整。調整しすぎてLBから結果への経路を遮断し、効果を過小評価する恐れ
→ 真の効果はM1とM2の間にあると想定
▼ 各国別→メタ分析
・国ごとに回帰分析を行い、ランダム効果メタ分析(各国の推定値を統合しつつばらつきも評価する手法)で全体を統合
▼ E値(感度分析)
・観測されていない交絡因子(隠れた共通原因)が、どれくらい強ければ関連を説明し尽くせるかを示す指標。E値が高いほど結果が頑健
▼ 欠測データ対応
・主分析は多重代入法(欠測を統計的に複数パターンで補完する手法)。脱落者を考慮する補完分析も実施し、結果はほぼ変わらず
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■ 主な結果
▼ 「見出し」となる発見
・SFI(Secure Flourish Index/経済安定を含む12項目の繁栄指標)に対するLBの効果量は、M2で0.04、M1で0.24
・M1の0.24は「いつも・よく」と答えた人がそうでない人より約24%スコアが高いことを意味
・E値はSFIでM1が1.81、M2が1.25
・全68のWave 1要因の中でLBは効果量で並んで25位 → ただし著者は「分析上の人為的結果かもしれず、序列として解釈すべきでない」と注意
▼ アウトカム別の傾向(M2基準)
・心理・社会面で関連が比較的強い:幸福・生活満足(0.04)、意味・目的、自己評価メンタルヘルス、人間関係の充足・満足(0.03)
・人格・向社会的行動、身体健康・健康行動、経済面はおおむねごく小さい(0.00〜0.01)
・ただし「希望」(M1=0.16)や「感謝」(M1=0.14)など心理的性格の強い項目はやや高め
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■ 考察
▼ データの解釈の前提
・LB自体が時間とともに変化。約3分の2の国でLBスコアが低下し、最大は南アフリカで16.1ポイント減
・イスラエルはWave 1が2023年10月7日のテロ前、Wave 2が後に集中し、LBが7.6ポイント低下 → 地域の状況・出来事に左右されることを示す例
・著者は慎重を期し、主にM2(下限)を強調しつつ「真の効果はもっと高い可能性が高い」とする
▼ 心理社会的な繁栄
・LBは心理・社会的アウトカムと最も強く関連
・M2で値が小さくても、それはLBが幸福や人間関係を「経由して」効いている可能性があるため(その経路上の変数まで調整してしまうから)
・GWPでLBが生活評価と.25の相関を示した先行知見と整合。ただしGWPは横断データで、因果の向き(LB→評価か評価→LBか)は不明と注記
▼ その他の領域
・性格・経済面の効果が小さいのは直感に合う(バランスが人格や収入を直接変えるとは考えにくい)
・ただし「向社会的に他者を助けすぎてバランスを崩す」例(共感疲労・介護疲労)もあり、一方向とは限らない
・経済面もM2で0.01だがM1では0.12と12倍 → 希望や楽観などを経由して効く可能性。Wave 3データ(2026年公開予定)で検証予定
▼ 国による違い(重要)
・SFIへの効果が最強は香港・日本(0.11)、最弱は中国(-0.03)
・「東洋はバランス重視」という通説には合わず、東洋の中に最強(香港・日本)と最弱(中国)が同居
・香港:社会的混乱(抗議運動・国家安全法)の中でLBがより重要になった可能性を推測
・中国:超競争的な社会(教育・労働)では、成功者ほどLBが悪く、LBが良い人は成功しにくい→LBと繁栄が負に関連した可能性を推測。ただし香港・日本も競争的なので、これだけでは説明しきれないとも認める
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■ 限界
・(1) LBが1項目だけの測定で、複雑さを捉えきれない。回答者が「人生の様々な側面」をどう解釈したか不明確
・(2) 国際比較ゆえ翻訳・文化による意味のずれ(「翻訳者は裏切り者」というイタリアの諺を引用)。「グローバルp値」は「いずれかの国で関連あり」を検定するもので、メタ分析値の有意性検定ではない点に注意
・(3) 測定誤差。単一項目の項目機能差(国によって設問の働き方が違うこと)を統計的に排除できない
・(4) 未測定交絡の可能性。M2は逆に調整しすぎ(過剰調整)の恐れも
・(5) 2波のデータだけでは因果推論は困難。今後の波で検証へ
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■ 結論
・LBへの介入が、特にメンタルヘルスと社会的機能の面で、人口全体のウェルビーイングをわずかでも改善しうる可能性
・効果量0.04は小さいが「下限」であり、「無視できる」ものではない。多くの国で文化差が大きいため、画一的でなく文脈に応じたアプローチが必要
・LBは「研究に値する正当で重要な構成概念」であり、今後はその作用経路や文化的調整要因の解明が課題

論文紹介 ありのままになんとかなる 主観的幸福・幸福測定文化と幸福・日本的幸福研究方法論・指標

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