2026.04.26

一般の成人が選ぶ、幸せに大事な要素

先日、ウェルビーイングのプロが選ぶ幸せの要素を紹介しましたが、

一般の人が選ぶ幸せの要素は、どんなものでしょうか?

という研究を紹介します😊
プロが選ぶ要素とどう違うんでしょうか?

あなたにとって幸福とは何ですか?

を、以下の国の方々、約2800名に聞きました。

・ヨーロッパ:クロアチア、イタリア、ハンガリー、ノルウェー、ポルトガル

・南北アメリカ:アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、米国

・アジア:インド(北部・南部の2地域)

・アフリカ:南アフリカ

・オセアニア:ニュージーランド

集約すると、以下のカテゴリで、

心理的要素が40%超と最多。

■カテゴリ

・心理的要素:42.33%(最多)

・家族:15.79%

・対人関係:13.38%

・健康:5.75%

・日常生活:4.81%

・生活水準:4.79%

・仕事:4.57%

・宗教/スピリチュアリティ:2.87%

・余暇:2.87%

・コミュニティ/社会:2.82%

・教育:0.03%

その内訳は、以下の通りで、

最も多かったのが、調査😍

東アジアは対象国に入っていないのですが、

西洋中心に聞いても、調和が最も多い😍😍

■心理的要素の内訳

・調和(harmony):29.13%(圧倒的最多)

・満足:16.55%

・ポジティブ感情:13.92%

・ポジティブな状態:7.13%

・楽観性:5.44%

・人生の意味:5.04%

・ネガティブ感情の不在:5.04%

・気づき(awareness):4.69%

・自律性:3.85%

・エンゲージメント・成長:2.78%

・習熟:2.63%

・目的:2.41%

・自己実現:1.38%

先日のプロ中のプロが選んだ要素と上位陣を比べると、

5つは重なる(つながり・意味・自己受容・人生満足度・幸福感)が、

自律性はプロ側でのみ重要視され、内なる調和は一般成人側でのみ前面に出てくる。

という感じで、かなり似ているというのが衝撃的。

世界の人々は、幸せに必要なものって、気付いているんですね😍

※ただし聞き方などかなり違うので、この比較は参考までに。

ただし、今回は東アジアが入っていません。

日本が入ってくると、所得とかが結構出てきそうな気がします😂

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各国における幸福の定義:内なる調和と人間関係のつながりの重要性

Lay Definitions of Happiness across Nations: The Primacy of Inner Harmony and Relational Connectedness

Front. Psychol.,2016

Antonella Delle Fave(ミラノ大学) et al.

https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2016.00030/full

幸福に関する研究では、「幸福」という用語はしばしば生活満足度と同義語として用いられます。しかし、一般の人々が幸福をどのように理解しているかについてはほとんど知られていません。本研究は、既存の文献に基づき、国や文化の異なる一般の人々が抱く幸福の定義を探究し、その構成要素と参加者の人口統計学的特徴との関係を分析しました。参加者は、アルゼンチン、ブラジル、クロアチア、ハンガリー、インド、イタリア、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、南アフリカ、および米国の都市部に住む成人2799名(年齢範囲=30~60歳、女性50%)でした。彼らは、幸福の定義を含む様々な情報を報告した「幸福と快楽に関する調査(EHHI)」に回答しました。回答は、生活の幅広い領域に言及する定義で構成され、文脈的・社会的領域と心理的領域の両方を網羅していました。国や年齢、性別による違いはほとんどなく、心理的定義では内的な調和が、文脈的定義では家族や社会関係が優勢でした。人間関係は幸福の基本的な要素として広く認識されている一方で、内面の調和は著しく軽視されている。しかしながら、人間関係とともに内面の調和が国際的に重視されていることは、生命システムを特徴づける存在論的な相互連結性という見解と一致しており、これは様々な分野や文化にわたる複数の概念的枠組みで共有されている。方法論的なレベルでは、これらの知見は、文化や一般の人々の理解の中で心理的側面を文脈化するために、ボトムアップ型の混合手法アプローチが有効であることを示唆している。

投稿者によるコメント・補足(3件)
コメント 1

【背景】
■ ① そもそも「幸福(happiness)」とは何か、という根本的な問題
幸福研究において最も論争の的になっているのは、「幸福」という言葉の定義・調査・翻訳の問題です。
Uchida and Ogihara (2012) は、一般の人々が幸福をどう理解するか、その規定要因や社会変化との関係には、文化によって大きな違いがあることを指摘しました。
しかし、この未解決の問いを実証的に探究した研究はごくわずかしかありません(Chiasson et al., 1996; Pflug, 2009; Delle Fave et al., 2011a)。
しかも、これらの研究は調査方法が統一されていません。
・「あなたにとって幸福とは何か?」と幸福そのものを定義してもらう研究
・「何があなたを幸せにしますか?」と幸福の源泉を尋ねる研究
この2つは別物ですが、しばしば混同されてきました。さらに、これまでの研究は大学生中心で、年齢や社会階層が偏っていました(Lu, 2001; Pflug, 2009)。
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■ ② 言語・語源の観点から見た「幸福」
▼ 英語圏:happiness = 幸運(luck)
Wierzbicka (2009) や Oishi et al. (2013) の研究によれば、英語を含むゲルマン語族の多くの言語で、「happiness」はもともと「幸運(fortune)」「運命」「ラッキー」と語源的につながっています。
その後、特にアメリカのプロテスタント文化のなかで、意味が「目標達成や願望の実現から得られる内的な良い状態」へと徐々にシフトしていきました。
▼ ラテン語系言語:felicitas = 成長・繁栄
Delle Fave et al. (2013) によると、新ラテン語系の言語(イタリア語・ポルトガル語・スペイン語など)では「幸福」はラテン語「felicitas」に由来します。
この語のインド・ヨーロッパ語源「fe」は「成長・繁殖力・繁栄」を意味し、つまり「達成」というよりは「発達のプロセス」を表しているのです。
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■ ③ 主流派の幸福観:幸福=主観的ウェルビーイング(SWB)
社会科学の世界では現在、「happiness」は「人生満足度」や「主観的ウェルビーイング(Subjective Well-Being:SWB)」とほぼ同義に使われています(Kahneman et al., 1999)。
※ SWBとは:認知的成分(人生満足度)と感情的成分(ポジティブ感情)からなる複合概念のこと(Veenhoven, 2012; Diener et al., 2013)。
社会心理学者・社会学者・経済学者がよく使う幸福の測定尺度の多くは、この立場を反映しています(Burger et al., 2015)。
▼ Cantrilの梯子尺度
よく使われる単項目尺度に「Cantrilの梯子(Cantril's ladder)」があります(Kilpatrick & Cantril, 1960)。これは「あなたの人生は、考えうる最高の人生にどれくらい近いか」を0〜10で評価させるもので、研究上は「幸福」と同義に扱われがちです。
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■ ④ もう一つの伝統:エウダイモニア的幸福観
心理学のなかには、もっと違う幸福のとらえ方もあります(Huta & Ryan, 2010; Huta & Waterman, 2014)。
ただしこれらは「幸福(happiness)」ではなく「ウェルビーイング(well-being)」という上位概念のもとで論じられがちです。
▼ 心理的ウェルビーイング(PWB)
Ryff (1989) の枠組み。自律性・他者との良好な関係・環境制御・自己受容・人生の目的・人格的成長の6つから構成されます。
▼ エウダイモニック・ウェルビーイング(EWB)
Waterman (2008) の枠組み。自己表現性・内的潜在能力の発達・自己実現に焦点を当てたもの。
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■ ⑤ 概念の混乱が引き起こす矛盾
このように同じ「happiness」という言葉が多義的に使われるため、概念的混乱が生じています。
たとえば、人生満足度・最良の人生・ポジティブ感情としての幸福は相関していますが(Rojas & Veenhoven, 2013)、矛盾した知見も出てきます。
具体例:豊かで民主的・平等なデンマーク市民の幸福度と、GDPが低く政治不安定な中南米諸国の市民の幸福度が同じくらい高い、という現象(Rojas, 2006, 2012)。
これは「幸福=人生満足度」という等式では説明がつきません。
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■ ⑥ 文化的次元から見た幸福研究
▼ Hofstede (1980) の個人主義/集団主義
最もよく使われる文化的次元です。西洋(個人主義的)と東アジア(集団主義的)の比較に多用されてきました(Oyserman et al., 2002; Uchida et al., 2004; Ford et al., 2015)。
ただし最近は、集団主義にも複数の型があることが分かっています(Ruby et al., 2012)。
▼ 抑制 vs 享楽(restraint/indulgence)
Hofstede et al. (2010) が提案した次元。社会のなかで人々が自由に表現したり個人的コントロールを楽しんだりできる度合いに基づきます。
▼ Inglehart-Welzelの世界文化マップ
Welzel & Inglehart (2010) が提案。2つの軸からなります。
・伝統的価値 vs 世俗的合理的価値(宗教・伝統的家族・権威への服従・国家的誇りをどれだけ重視するか)
・生存価値 vs 自己表現価値(経済的・物理的安全を重視するか、自己表現・SWB・対人信頼を重視するか)
▼ Schwartzの価値理論
Schwartz (1992, 2012) は「変化への開放性 vs 保守」「自己高揚 vs 自己超越」という2軸を提案しました。
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■ ⑦ 文化によって異なる「ポジティブ感情」のあり方
幸福の感情的側面についての文化比較研究はとても活発です。
▼ 西洋 vs 東アジア
西洋では幸福は純粋にポジティブな感情として捉えられますが、東アジアではポジティブとネガティブが混ざった感情として捉えられがちです(Uchida, 2011)。
▼ 個人主義文化(米国など)
ポジティブ感情は「独立」「個人的達成」と結びつきます(Kitayama et al., 2006)。
▼ 集団主義文化
対人関係に関わる感情(対人的エンゲージメントなど)が中心になります(Kitayama et al., 2000; Ford et al., 2015)。
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■ ⑧ 覚醒度(arousal)から見た幸福
感情には「価(ポジティブ/ネガティブ)」だけでなく「覚醒度(高い/低い)」という次元もあります(Yik & Russell, 2003)。
▼ 高覚醒ポジティブ感情(HAP)
興奮・高揚・熱意など。北米の個人主義文化で好まれる傾向。
▼ 低覚醒ポジティブ感情(LAP)
平静・平和・静けさなど。東アジアの集団主義文化で好まれる傾向(Lee et al., 2013)。
▼ 集団主義のなかの違い
同じ集団主義でも、メキシコやアフリカではHAPが好まれ、東アジアではLAPが好まれるという違いがあります(Wissing & Temane, 2008; Ruby et al., 2012)。
これは抑制/享楽軸(東アジア=抑制側、ラテンアメリカ・アフリカ=享楽側)や、世俗的合理性(東アジア=高い)/伝統(ラテンアメリカ・アフリカ=高い)の違いで説明できる可能性があります。
▼ 年齢による違い
個人主義文化では、高齢者ほどLAPを理想的気分とする傾向が報告されています(Tsai et al., 2006; Mogilner et al., 2011)。

コメント 2

【研究内容】
■ ① 研究の3つの目的
本研究の目的は次の3つでした。
・一般の成人(働き盛り世代)が報告する、心理的および文脈的な幸福の定義を国際的に探究する
・幸福定義と人口統計学的特徴(年齢・性別・教育)の関係を調べる
・幸福定義と国・文化的次元との関係を探る
質的回答という性質上、明確な仮説ではなく「予想」が立てられました。
▼ 主な事前予想
・心理的定義では「内なる調和」が各国で最頻となり、「幸運・運」は少ないだろう
・文脈的定義では「家族と社会的関係性」が最多になるだろう
・集団主義国では関係性、個人主義国では人生満足度・ポジティブ感情の言及が多いだろう
・伝統的価値志向の国では宗教・関係性・調和が、世俗的・自己表現志向の国では仕事・余暇・自律性が重視されるだろう
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■ ② 方法
▼ サンプル
全12カ国・5大陸から、計2,799名の成人(年齢30〜60歳、平均44.2歳、男女半々)が参加。
対象国:
・ヨーロッパ:クロアチア、イタリア、ハンガリー、ノルウェー、ポルトガル
・南北アメリカ:アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、米国
・アジア:インド(北部・南部の2地域)
・アフリカ:南アフリカ
・オセアニア:ニュージーランド
各国216名(NZ215名、アルゼンチン208名)。年齢層・教育水準・性別がバランスよく配分されました。
参加者の93.3%がフルタイム勤務、72.9%が結婚または同棲、80.7%に子どもあり。
※ インドは文化的・言語的多様性を考慮し、北部(ニューデリー、ヒンディー語圏)と南部(タミル・ナードゥ、タミル語圏)の2サンプルを採取しました。
▼ 文化的指標
各国はHofstedeとInglehart-Welzelの指標で位置づけられました。
・個人主義/集団主義:米国(91)が最も個人主義的、ポルトガル(27)が最も集団主義的
・享楽/抑制:メキシコ(97)が最高、インド(26)が最も抑制的
・伝統/世俗:ノルウェーが最も世俗的、メキシコ・南アフリカが最も伝統的
▼ 質問項目
EHHI(エウダイモニック&ヘドニック幸福調査)を実施。本論文で焦点を当てたのは1問の自由記述:
「あなたにとって幸福とは何ですか?」
各国の母語で実施。「幸福」は日常的に使われる語に翻訳されました。
▼ 手続き
各国の研究者が、対面・口コミ・非確率サンプリングで参加者を募集。倫理委員会の承認とインフォームド・コンセントを取得。
▼ コーディング
回答は意味の単位ごとに分割し(1人最大6単位)、ボトムアップで分類。
カテゴリ:仕事、家族、生活水準、対人関係、健康、余暇、宗教/スピリチュアリティ、社会・コミュニティ、教育、心理的状態。
心理的状態の下位カテゴリには既存理論の概念(満足、ポジティブ感情、自律性、習熟、目的、人格的成長、人生の意味、自己実現、楽観性)が使われ、加えてデータ駆動的に「内なる調和」「気づき」「ネガティブ感情の不在」が追加されました。
最終的にコードブックは1,511項目(うち幸福定義に関わるのは366項目、心理的状態に関わるのは149項目)になりました。
▼ 統計分析
・記述統計
・二項ロジスティック回帰(各カテゴリへの言及を従属変数とし、人口統計と国を予測変数に)
・対応分析(国とカテゴリの関係を低次元空間に可視化)
参照国はポルトガルに設定。集団主義・抑制・伝統的価値の極にあり、ヨーロッパとアメリカ・南インド・アフリカをつなぐ歴史的ブリッジとしての位置づけが理由です。

コメント 3
論文紹介 ありがとうなんとかなるありのままに 主観的幸福・幸福測定文化と幸福・日本的幸福研究方法論・指標

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