はぴテク相談室:57価値観と主観的幸福感
最近、自分って何を大切にして生きているんだろう…って考えるんです。友達は仕事で成功することとか、お金を稼ぐことをすごく大事にしてて、それを見てると自分も頑張らなきゃって思うんですけど、なんか頑張るほど疲れるというか、幸せな感じがしないんですよね。
それは大切な気づきですね。実は、「何を大切にしているか(価値観)」と「幸福感」の関係を調べた大規模な研究があって、あなたが感じていることをうまく説明してくれるかもしれません。少し一緒に見てみませんか?
ぜひ!どんな研究なんですか?
シュワルツという研究者が、人間の価値観を10種類に整理しています。「自由に考えたい(自己決定)」「新しいことを楽しみたい(刺激)」「人を助けたい(博愛)」などポジティブなものから、「地位や権力を持ちたい(権力)」「安心・安全を守りたい(安全)」まで様々です。そして複数の研究をまとめると、幸福感と結びつきやすい価値観とそうでない価値観があることが分かってきました。
へえ!幸せにつながりやすい価値観って、どんなものですか?
研究では、「博愛(身近な人を大切にしたい)」「刺激(新しいことへの興味)」「自己決定(自分らしく行動したい)」「快楽(楽しみを求める)」といった価値観が幸福感と正の相関があることが示されています。一方、「権力(地位や資源を支配したい)」は幸福感と負の相関が見られています。もちろん相関であって、これが直接の原因とは言い切れませんが、傾向としては興味深いですよね。
なるほど…。友達が大事にしている「成功したい」「お金を稼ぎたい」って、権力価値観に近いんですかね?
そうかもしれませんね。研究では「成長志向」と「自己防衛志向」という2つの軸も提案されています。「自己防衛志向」とは、脅威や不安を避けることが動機で、承認や地位といった外からの評価を求める方向性です。この自己防衛志向の価値観は、幸福感とマイナスの関係が示されています。一方、自己実現や他者への関心を広げていく「成長志向」はプラスの関係があるとされています。
じゃあ、私が「頑張るほど疲れる」のは、自分の本来の価値観とズレた方向に頑張っているからかもしれない?
その可能性はありますね。研究では「価値観の一致(コングルーエンス)」という考え方も紹介されていて、自分の価値観と周りの環境がズレているほど、幸福感が下がる傾向があるとされています。たとえば、博愛価値観(人を大切にしたい)が高い学生は、心理学科のような環境に身を置くと幸福感が高く、権力価値観が高い学生はビジネス学科のような環境でより幸福感が高かった、という研究もあります。
面白い!じゃあ、自分の価値観に合った環境を選ぶのが大事ってことですね。でも、そもそも自分が何を大事にしているかって、どうやって知ればいいんでしょう?
一つのヒントになるのが、「目標の達成感」です。ある研究では、毎日の日記をつけてもらい、その日の目標達成感が幸福感を予測することが分かりました。さらに重要なのが、どんな目標を達成したときに幸福感が高まるか、という点です。博愛価値観が高い人は、人間関係がうまくいったときに幸福感が高まり、達成価値観が高い人は成果を出したときに幸福感が高まりやすかったんです。
なるほど、自分がどんなときに幸せを感じるかを観察してみると、自分の価値観が見えてくるかもしれないですね。
まさにそうです!また研究では「内発的な目標(自己成長・人との関係など)」の達成は幸福感にプラスになりやすく、「外発的な目標(財的な成功・社会的な支配など)」の達成は幸福感に影響しないかマイナスになることもある、という結果も出ています。さらに縦断的な追跡研究では、物質主義的な価値観が下がると幸福感が上がる傾向も示されています。
なんか、友達の価値観に引っ張られて焦ってたけど、自分が大切にしたいことを改めて考えてみようと思えました。ありがとうございます!
素敵な気づきですね。研究はあくまで傾向を示すものですし、何が正解かは人それぞれです。ただ、「自分が何を大切にしているか」を意識することで、日々の選択が少し変わってくるかもしれませんよ。ゆっくり自分のペースで探ってみてください😊
■ 今日のまとめ
- 「博愛・刺激・自己決定・快楽」といった成長志向の価値観は幸福感と正の相関がある一方、「権力」など自己防衛志向の価値観は幸福感と負の相関が研究で示されています。
- 自分の価値観と周囲の環境が合っているほど幸福感が高まる傾向(価値観の一致)があり、自分に合った環境選びが幸福感に関係している可能性があります。
- 「内発的な目標(自己成長・人間関係など)」の達成は幸福感にプラスになりやすく、「外発的な目標(財的成功・社会的支配など)」の達成は幸福感を高めないかマイナスになることもあると示されています。
■ 出典・注意事項
- Schwartz, S. H., & Sortheix, F. M. (2018). Values and subjective well-being. In E. Diener, S. Oishi, & L. Tay (Eds.), Handbook of well-being. DEF Publishers.
- Sagiv, L., & Schwartz, S. H. (2000). Value priorities and subjective well-being: Direct relations and congruity effects. European Journal of Social Psychology, 30(2), 177–198.
- Sortheix, F. M., & Lönnqvist, J.-E. (2014). Personal value priorities and life satisfaction in Europe: The moderating role of socioeconomic development. Journal of Cross-Cultural Psychology, 45(2), 282–299.
- Sortheix, F. M., & Schwartz, S. H. (2017). Values and subjective well-being across countries. Journal of Cross-Cultural Psychology, 48(2), 241–263.
- Oishi, S., Diener, E., Suh, E., & Lucas, R. E. (1999). Value as a moderator in subjective well-being. Journal of Personality, 67(1), 157–184.
- 【注意事項】本研究はレビュー論文であり、価値観と幸福感の関係は相関として示されたものです。価値観が幸福感を直接引き起こすという因果関係が証明されているわけではありません。
- 【注意事項】研究対象・国・文化によって結果が異なる場合があります。特に社会的・経済的な環境(HDIや文化的平等主義)によって価値観と幸福感の関係が変わることが示されています。結果をそのまま個人に当てはめる際はご注意ください。
研究自体の紹介はこちら😊
57価値観と主観的幸福感
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-04-06-1775512806/