2026.04.05

はぴテク相談室:サークルモデル

相談者

最近、仕事でのキャリアアップも目指したいし、もっと家族との時間も大切にしたいし、自分磨きもしたい…って色々考えているんですけど、全部を同時に追いかけようとするとなんかしんどくて。欲張りすぎなんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

欲張りというより、それは「価値観どうしの相性」の問題かもしれません!実は、人間の価値観には「一緒に追求しやすいもの」と「同時に追いかけると衝突しやすいもの」があることが、大規模な研究で分かっているんです。

相談者

価値観に相性があるんですか?それはどういうことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい!心理学者のシュワルツさんが多くの国を対象に行った研究で、人の価値観はバラバラではなく、ある一定のパターンで並んでいることが分かりました。それをさらにグルーゼットさんたちが15か国の大学生で確かめたんですが、価値観を円(サークル)の上に並べると、円の同じ側にあるものは一緒に追いかけやすく、円の反対側にあるものは一緒に追いかけにくい、という構造が見えてきたんです。

相談者

円に並べるってどういうイメージですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

例えば時計をイメージしてみてください。「お金を稼ぐ・成功する」という価値観と「周りに認められたい」という価値観は円の近い位置にあって相性がいい。でも「人の役に立ちたい・社会貢献したい」という価値観は、その反対側に近かったりする。つまり、同時に全力で追いかけようとするとエネルギーが引っ張り合いになる組み合わせがあるんです。

相談者

なるほど…。じゃあ私がしんどいのは、追いかけている価値観どうしが対立しているから、ということもあるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

その可能性はありますね。「キャリアアップ=達成・野心」と「家族との時間=つながり・安全」は、サークルモデル上では必ずしも近い位置にあるわけではなくて、ある程度の緊張感が生まれやすい組み合わせとされています。どちらかを増やすと、もう一方が後回しになる感覚って、心当たりありませんか?

相談者

めちゃくちゃあります!仕事を頑張ると家族に申し訳なくなるし、家族優先にすると仕事で遅れてる気がして…。これって自分の意志が弱いとかじゃなくて、価値観の構造的な問題でもあるんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです!意志の強さとは別の話で、価値観どうしが引っ張り合っているとそれだけでエネルギーを消耗しやすいことが示唆されています。自分を責めなくていい部分もあると思いますよ。

相談者

少し楽になりました。じゃあどうしたらいいんでしょう?全部諦めるしかないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

諦めるというより、「今この時期はどの価値観を中心に置くか」を意識することがひとつのヒントになりそうです。この研究では、相性のいい価値観どうしは一緒に伸ばしやすいことも示されています。例えば「家族とのつながり」と「健康・安心」は円の近くにあることが多く、セットで大切にしやすい。全部に同じ力を注ぐより、今の自分に合ったグループを見つけるイメージですね。

相談者

「今の時期に合ったグループ」か…。じゃあ全部を完璧にこなそうとしなくてもいい、ということですよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究が示しているのはまさにそこで、価値観には構造的な相性があるので、全方向に全力というのはそもそも難しい設計になっている、ということなんです。「今は家族とつながりの時期」「次のフェーズでキャリアに集中」といった具合に、時期や状況によって重心を動かしていくのは、とても自然な対処といえるかもしれません。

相談者

なんか、「欲張りな自分がダメなんだ」って思ってたけど、価値観の地図みたいなものがあって、そこで引っ張り合いが起きてただけなんだ、って思えてきました。すごくスッキリしました!

はぴテクさん
はぴテクさん

それは良かったです!「自分がおかしい」のではなく「価値観どうしの構造的な緊張感がある」と知るだけで、自分への見方がちょっと変わりますよね。ぜひ、今の自分が一番大切にしたい価値観はどれかな?と円をイメージしながら考えてみてください。

■ 今日のまとめ

  • 人間の価値観には「相性のいいもの(一緒に追いかけやすい)」と「対立しやすいもの(同時に追いかけると緊張感が生まれやすい)」があることが、多文化にわたる研究で示されています。
  • 全部の価値観に同時に全力を注ごうとすると消耗しやすい構造があるため、意志の弱さとは別の問題として捉えることができます。
  • 「今この時期にどの価値観を中心に置くか」を意識することで、価値観どうしの引っ張り合いを和らげるヒントになりそうです。

■ 出典・注意事項

  • Schwartz, S. H. (1992). Universals in the content and structure of values: Theoretical advances and empirical tests in 20 countries. Advances in Experimental Social Psychology, 25, 1–65.

  • Grouzet, F. M. E., et al. (2005). The structure of goal contents across 15 cultures. Journal of Personality and Social Psychology, 89(5), 800–816.

  • 【注意事項】本研究は価値観どうしの「関連パターン(相関)」を示したものであり、ある価値観を重視することが別の価値観の軽視を直接引き起こす(因果)と断定したものではありません。また、主に大学生を対象とした研究のため、年齢や文化的背景が異なる場合には同様のパターンが当てはまらない可能性があります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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サークルモデル
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