はぴテク相談室:ウェルビーイングはミトコンドリアに影響を与える
最近、なんだかずっと疲れていて、やる気も出なくて…。睡眠もとっているし、食事も気をつけているつもりなんですけど、どうしてこんなにエネルギーが湧かないんでしょう?
それは辛いですね。しっかり休んでいるのにエネルギーが出ないと、なんで?って焦りますよね。実は最近、細胞レベルで「エネルギーと心の状態」の関係を調べた面白い研究が出てきているんです。少し聞いてもらえますか?
ぜひ聞きたいです!細胞レベルって、どういうことですか?
キーワードは「ミトコンドリア」です。細胞の中にある、エネルギーを作る小さな工場みたいなもの、と思ってください。このミトコンドリアが元気に働いていると、体のエネルギーが産み出されやすくなると言われています。2025年にFagundesらが発表した研究では、このミトコンドリアの働きが、心理的・社会的な状態にも影響を受けることが示されてきているんです。
えっ、気持ちの状態がミトコンドリアに関係するんですか?それはびっくりです。どんな心の状態が影響するんでしょう?
研究では、「心理的ウェルビーイング」がミトコンドリアの健康と関連が高い要因として挙げられていました。心理的ウェルビーイングというのは、人生に目的を感じていること、自分が成長していると感じること、人とのつながりが良好なこと、自分を受け入れていること、自分で選択できている感覚、環境をある程度コントロールできている感覚、こういった要素のことです。
なるほど…。逆に、ネガティブな気持ちはどうなんでしょう?
それも研究で触れられていて、ネガティブな気分やネガティブなライフイベント(つらい出来事)は、ミトコンドリアにマイナスに働く可能性があると示されています。実際、こうした心理的な要因だけで、ミトコンドリアの個人差の18〜25%が説明できたというデータもあるんです。ただし、これはあくまで「関連がある」という話で、「ネガティブな気持ちが直接ミトコンドリアを壊す」と断言できるわけではない点は大事なポイントです。
18〜25%って、けっこう大きいですね。じゃあ、ミトコンドリアを元気にするために、具体的に何かできることはあるんでしょうか?
研究の中では、身体活動、マインドフルネス、社会的なつながりや支援、こういった介入がミトコンドリアの機能を高める可能性があるとレビューされています。特に社会活動、たとえばボランティアのような活動も、ミトコンドリアにプラスに関連する要素として挙げられていました。
マインドフルネスとか、よく聞くけどちゃんとやったことなくて…。難しそうで。社会的なつながりというのも、コロナ以降ちょっと減ってしまっていて。
実はそのつながりの減少も、エネルギー感の低下と無関係ではないかもしれませんね。研究では「慢性ストレス、トラウマ、社会的つながり」などの心理社会的な状況がミトコンドリアのプロセスに影響を与えると書かれています。マインドフルネスは難しく考えなくても、今この瞬間に意識を向けるだけでOKで、呼吸に少し注意を向けるだけでも立派なマインドフルネスですよ。
それなら試せそうです!でも、気持ちを上向きにしようとしても、なかなか簡単にはいかなくて…。どこから手をつければいいか迷います。
一度にすべてを変えようとしなくていいと思います。研究で挙げられていた心理的ウェルビーイングの要素、たとえば「人生に小さな目的を見つける」「誰かと短く話す時間を作る」「自分の選択を一つ意識してみる」、そういう小さなことから始めるのが現実的です。ミトコンドリアとウェルビーイングの関係はまだ研究が進んでいる途中の分野ですが、心と体がつながっているという視点を持つだけでも、日々の行動の意味が変わってくることがありますよ。
なんか、「疲れているのは気合が足りないから」じゃなくて、ちゃんと細胞レベルで理由があるかもしれないんだ、と思ったら少し気が楽になりました。ありがとうございます!
■ 今日のまとめ
- ミトコンドリア(細胞内のエネルギー産生器官)の働きは、身体的な状態だけでなく、心理的ウェルビーイング(目的感・つながり・自己受容など)とも関連していることが研究で示されています。
- ネガティブな気分や辛いライフイベントはミトコンドリアにマイナスに関連しており、心理社会的な要因だけでミトコンドリアの個人差の18〜25%が説明できたというデータがあります(ただし関連であり因果関係の確定ではありません)。
- 身体活動・マインドフルネス・社会的つながりは、ミトコンドリア機能を高める可能性のある介入として挙げられており、小さな一歩から取り組むことが現実的なアプローチです。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Fagundes, C. P., et al. (2025). Psychological Science at the Cellular Level: Mitochondria's Role in Health and Behavior. Current Directions in Psychological Science. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09637214251380214
- 【注意事項①】本研究はレビュー論文であり、ミトコンドリアと心理社会的要因の「関連」を整理したものです。「幸福度を高めるとミトコンドリアが元気になる」という因果関係が確立されたわけではありません。
- 【注意事項②】ミトコンドリアと心理的ウェルビーイングの関係は研究が進んでいる途中の新興分野であり、エビデンスはまだ初期段階の部分も含まれると論文自身が認めています。
- 【注意事項③】研究で示された数値(個人差の18〜25%)は特定の測定方法・対象集団に基づくものであり、すべての人に同様に当てはまるとは限りません。
研究自体の紹介はこちら😊
ウェルビーイングはミトコンドリアに影響を与える
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-01-02-1767391205/