2025.11.17

複業→知の深化→ウェルビーイング

の流れを整理頂いた最新研究😊

複業者は、複業を通じて自分軸を確立し、知識を深化させるとともに、ウェルビーイングも向上させている😍

さらにこの流れを後押ししてくれるのが、

①複業者自身が学びの習慣を持ち合わせている(13)

②社会的な課題に加えて自身の課題(成長意欲など)を克服するために知識を探索(2)

③金銭的な見返りを得ている(21)ことに起因する仕事への責任感

また今回調査した対象者の複業自体が

プロジェクトの最初から最後まで関われるものが多く、それも影響したのではないか。

(エンド・トゥ・エンドプロジェクト。)

確かに、特に大企業だと、仕事が細分化して、仕事で誰を幸せにしているのかが分かりづらいというのは一つの伸びしろ。

>特定の企業に所属せずに働く個人としてのフリーランスは,自らの知識や技能を基に自律的で柔軟性に富む働き方を体現する存在(騎士言説),さらには変革や創造の担い手として(英雄言説)描かれる傾向がある(宇田,2009).

>石山(2021)は,騎士・英雄言説におけるフリーランスの特徴を汲んで,彼らがキャリア自律を基点として,専門性へのコミットメントや,ジョブクラフティングに媒介されて,ワークエンゲージメントを高めるメカニズムを提示した.

というのも、面白いなぁ。日本はフリーランスの方の幸福度高いんですよね。キャリア自律という点はありそう。

あとは、今回の調査は複業での話でしたが、

幸せな企業だと本業内において、自分軸を確立し、知識を深化させるとともに、ウェルビーイングも向上させている。の流れが起きているなぁとも思いました。
なので、今の仕事で知の深化→ウェルビーイング目指しつつ、難しければ複業。が良いのかなぁ。

ーーー

複業による個人知の深化のプロセス―仕事を通じたウェルビーイングの向上―

組織科学,2025/11
青木 慶先生

https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/59/1/59_20251108-4/_article/-char/ja

本稿では,複業を通じて個人が知識を深化させるプロセスを明らかにした.インタビュー調査の結果,複業の遂行と並行して,個人の自分軸の確立および人的ネットワークの充実が図られ,知識の深化へと収束することが示された.またそのプロセスが,個人のウェルビーイングの向上に寄与することが示唆された.社会において,個人知を活用することの意義を説く.

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

【背景と先行研究】
■■ 研究の出発点:なぜこの研究が必要なのか
この研究は、「社会において個人が持つ知識や経験が十分に活用されていない」という問題意識から始まっています。そのきっかけとなったのが「ユーザーイノベーションの普及における市場の失敗」という現象です。
ーー
■■ 1. ユーザーイノベーションとは何か
▼ ユーザーイノベーションの定義
・ユーザーイノベーション:企業ではなく、使い手自身によるイノベーションのこと
・出典:von Hippel (2005) "Democratizing Innovation"
・本研究でのイノベーションの定義:「課題を解決することで新たな価値を生み出すこと」
・出典:Drucker (1985), OECD & Eurostat (2005)
▼ ユーザーイノベーターの行動
・自分自身の課題(不便さなど)を解消するために、自身の知識や経験を駆使する
・商品の用途を改変したり、商品自体を開発したりする
・ユーザー自身のニーズに基づくため、商用的にも魅力度が高い
・出典:von Hippel (2005), von Hippel et al. (2011)
▼ ユーザーイノベーションの実例
・オープン・ソース・ソフトウェア
・出典:Shah (2006)
・マウンテンバイク、スノーボードなど
・多くの商品が実はユーザーイノベーションから生まれている
ーー
■■ 2. 市場の失敗:なぜ良いアイデアが普及しないのか
▼ 問題の所在
・商用化して普及するケースは稀
・ほとんどのユーザーイノベーションが本人とその周辺に留まる
・社会にとって有用なアイデアが、活用されることなく眠っている可能性
▼ 市場の失敗の原因
・ユーザーイノベーターが普及に要する労力に見合ったインセンティブが得られない
・出典:De Jong et al. (2015), von Hippel et al. (2017)
▼ ユーザーイノベーターの動機づけ
金銭的インセンティブ以外の動機:
・フィードバックがもらえること
・楽しさ
・出典:Antorini et al. (2012), Füller (2010), Janzik & Raasch (2011), Shah (2006)
▼ ユーダイモニック・モチベーション
・Yu & De Jong (2024)の統合的理論モデル
・商用的(金銭的)動機づけ、コミュニティへの関与、社会課題の解決への動機づけを統合
・ユーダイモニック・モチベーション:自己を高めることを追求する内発的な動機づけ
・対概念:ヘドニック・モチベーション(快楽的な動機づけ)
・出典:Waterman (2004)
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■■ 3. 個人知の活用とウェルビーイング
▼ 青木(2023)の先行研究
・スキルシェアを介して「市場の失敗」を解消できる可能性を提議
・スキルシェア:個人が培ってきた知識や経験を他者に共有すること
・個人のウェルビーイングが向上することを実証
▼ 有償と無償の違い
・有償でスキルシェアを行う者の方が、他者貢献の動機づけが有意に高い
・仕事として行うことが、モチベーションとウェルビーイング向上に寄与
▼ 定性調査からの示唆
・個人知を他者に共有し、誰かの役に立つことで自身の存在意義を見出す
・さらに自身の知識を深化させる構図が浮かび上がった
ーー
■■ 4. ウェルビーイング理論:PERMA
▼ ウェルビーイングの定義
・ウェルビーイング:長期的な人生の生きがいを幸福とする概念
・ユーダイモニアの概念で説明される
・出典:内田 (2020)
▼ Seligman (2011)のウェルビーイング理論
・「幸せ」をある一時点での人生の満足度で測定することに疑問
・ウェルビーイング:「持続的幸福度」の増大を目指すもの
・持続的幸福は必ずしも明るい気持ちと同義ではなく、時に困難を伴う
▼ PERMAの5要素
・P (Positive emotion):幸福感や人生の満足感
・E (Engagement):何かに没頭すること、フロー状態
※フロー:Csikszentmihalyi (1997)が提唱した概念
・R (Relationship):他者とのポジティブな関係性
・M (Meaning):人生の意味・意義、自分で人生の方向性を掌握していること
・A (Accomplishment):達成、自分で決めた目標を達成すること
▼ 実証研究
・持続的幸福度の尺度:Butler & Kern (2016)
・スキルシェアが当事者のウェルビーイング向上に寄与することを定量的に実証
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■■ 5. 知識の深化と創造性
▼ 創造性の定義
・多くの先行研究:「新規性と有用性を兼ね備えたアイデアの創出」
・出典:Mumford (2003)
・Mumford et al. (2012):創造性の本質は「難題に対する優れた解決策を生み出すこと」
▼ 創造性のプロセス
・能力などの個人特性だけでなく、環境要因や社会的要因など多層的な要因の相互作用で生まれる
・プロセスに目を向けることの重要性
・出典:Mumford (2003)
▼ 知識の深化と創造性の関係
専門領域に囚われすぎることの懸念:
・既存の枠組みの中で課題解決を図ることになる
・異分野からの視点が欠如する
・出典:Frensch & Sternberg (2014), March (1991), Weisberg (1999)
創造性を高める要因:
・知識の深化と知識の探索をバランスよく組み合わせること
・出典:March (1991)
・既存知識を活用しつつ、新しい分野の知識を学ぶこと
・出典:Simonton (1999)

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