2025.11.17

はぴテク相談室:複業→知の深化→ウェルビーイング

相談者

最近、副業を始めようか迷っているんですが、正直なところ、本業だけでも忙しくて…。副業って本当に自分のためになるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

その迷い、すごく自然だと思います😊 実は2025年に発表された研究(青木, 2025, 組織科学)で、複業(副業・複数の仕事)と幸福感の関係が丁寧に調べられているんです。結論から言うと、複業を通じて「知識が深まる→ウェルビーイング(生きがいや幸福感)が上がる」という流れが見えてきた、という内容なんですよ。

相談者

へえ、複業で知識が深まるっていうのはイメージできるかも。でも、それがなんで幸福感につながるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

いい質問です!この研究では、複業をする中で「自分軸(自分が大切にしていること・自分の強みの核)」が確立されていくプロセスが観察されました。さらに人とのつながりも広がって、それが知識の深化を後押しする。そして、誰かの役に立つ実感が「存在意義」につながっていく、という流れが見えてきたんです。ウェルビーイング研究でよく使われるPERMAという枠組み——意味・達成・人間関係なども含んだ長期的な生きがいの概念——と重なる部分が多いんですよ。

相談者

「自分軸」って、複業しないと確立できないものなんですか?本業だけじゃダメなんでしょうか…。

はぴテクさん
はぴテクさん

実はこの点、研究者の青木先生自身も同じことを指摘されていて😊「幸せな企業では、本業の中でも自分軸の確立→知の深化→ウェルビーイング向上の流れが起きている」とコメントされています。だから「まず今の仕事で知を深める→難しければ複業」という順番もアリだと思いますよ。複業が唯一の答えではなく、ひとつの手段、という感じです。

相談者

なるほど、少し気が楽になりました。ちなみに複業がうまくいきやすい人って、どんな特徴があるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究から浮かび上がってきた特徴が3つあります。①もともと学ぶ習慣を持っている、②社会的な課題だけでなく自分自身の成長意欲のために知識を探しにいく、③金銭的な報酬を得ることで仕事への責任感が生まれる、という点です。特に③が興味深くて、有償でスキルを提供する人の方が「他者に貢献したい」という動機が高い、という先行研究とも重なっているんですよね。

相談者

お金をもらうことで責任感が出る、ってなんか当たり前のようで、でも改めて言われると納得できますね。あと、「複業の仕事の種類」って関係ありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、それもポイントで!この研究で調査対象になった複業が、プロジェクトの最初から最後まで関わる「エンド・トゥ・エンド」型が多かったことが、結果に影響した可能性があると研究者は述べています。大企業だと仕事が細分化されていて、誰を幸せにしているかが見えにくくなりがちですよね。複業でその「全体感」が得られると、仕事の意味を実感しやすくなるのかもしれません。

相談者

確かに、今の仕事は自分が担当している部分が小さくて、全体像が見えにくいと感じることがあります…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですよね。その「仕事の全体感が見えない」という感覚自体が、ウェルビーイングに影響している可能性があります。複業でプロジェクトを一気通貫で担うことで、それが補えることがある、というのはこの研究の示唆として面白い点だと思います。ただ、この研究はインタビュー調査なので「複業すれば必ずそうなる」とは言い切れない点は正直にお伝えしておきますね。

相談者

フリーランスについても何か出てきましたか?フリーランスという選択肢も気になっていて。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の中で引用されていた先行研究によると、フリーランスは「キャリア自律(自分でキャリアを主体的に選ぶこと)」を起点として、専門性へのコミットや仕事を自分なりに工夫する行動(ジョブクラフティング)を通じて、仕事への熱量(ワークエンゲージメント)が高まるメカニズムが提示されています(石山, 2021)。日本でもフリーランスの幸福度が高い傾向がある、という指摘もあって、「自律的に働く」こと自体が鍵になりそうですね😊

相談者

なんか、すごく整理されてきました。今すぐ複業やフリーランスに飛び込むより、まず「今の仕事の中で自分軸を見つける」ことを意識してみようかなと思えてきました。

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、すごくいい出発点だと思います✨ 今の仕事で知識を深めることに意味を見出しにくい、あるいはどうしても全体感が得られないと感じたとき、複業や別の働き方を検討する、という順番は研究の示唆ともぴったり合っています。自分軸を育てながら、焦らず試していきましょう😊

■ 今日のまとめ

  • 複業を通じて「自分軸の確立→知識の深化→ウェルビーイングの向上」という流れが観察されたが、まず本業の中でその流れを作ることも有効という示唆がある
  • 複業がうまく機能しやすい背景として、学ぶ習慣・成長意欲・有償による責任感・プロジェクト全体に関わる体験の4点が挙げられている
  • フリーランス・複業いずれも「キャリア自律(自分でキャリアを主体的に選ぶこと)」が幸福感と関わる重要な要素として浮かび上がっている

■ 出典・注意事項

  • 青木 慶(2025)「複業による個人知の深化のプロセス―仕事を通じたウェルビーイングの向上―」組織科学, 59(1). https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/59/1/59_20251108-4/_article/-char/ja

  • 【注意事項】本研究はインタビュー調査(定性研究)に基づいており、相関・因果関係を統計的に確定するものではありません

  • 【注意事項】調査対象はエンド・トゥ・エンド型の複業者が多く、すべての複業形態や職種に一般化できるとは限りません

  • 【注意事項】フリーランスに関する知見は引用された先行研究(石山, 2021;宇田, 2009)によるもので、本研究の直接的な調査対象ではありません

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
複業→知の深化→ウェルビーイング
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-11-17-1763349701/

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