はぴテク相談室:幸福度のU字カーブが世界的に崩れているー若い人ほど苦しんでいる世界に変わってきた
最近、なんとなく将来が不安で、同世代の友達も「しんどい」って言ってる人が多くて。私だけじゃないのかなって思って相談しました。20代なんですけど、昔って若いころって楽しいイメージがあったのに、なんか違うなって感じてて…
相談してくれてありがとうございます。その「なんか違う」という感覚、実はデータでもしっかり裏付けられているんです。ダートマス大学の最新研究(2025年)によると、世界的に「若い人ほど苦しんでいる」という傾向が明らかになってきているんですよ。あなたの感覚は、時代の変化を正確にとらえているかもしれません。
え、そうなんですか?昔は「若者は幸せ」っていうイメージじゃなかったですか?
そうなんです!もともと「幸福度はU字カーブ」というのが世界的な常識でした。若いときは幸福度が高く、中年でどん底になり、高齢になるとまた上がる、という形です。でも最近はそのU字が崩れて、「年を取るほど幸福度が上がる」直線型に変わってきているんです。
じゃあ今の若者は昔より苦しくなっているってこと?中年の人が楽になったわけじゃなくて?
鋭い質問です!研究によると、中年層の苦しみが減ったわけではないんです。シンプルに「若者の苦しみが増えた」ことでU字が崩れた、というのが実態です。この変化はここ10年くらいで起きていて、アメリカの1000万人規模の調査や、イギリス、世界44カ国のデータでも同じ傾向が確認されています。
1000万人って相当な規模ですね…。なんでそんなことになってるんでしょう?
研究の中でいくつかの「仮説」が挙げられています。あくまで仮説ですが。一つ目はスマートフォンとSNSの影響。複数の「自然実験」と呼ばれる研究が因果関係を示唆していると書かれています。二つ目は2008年のリーマンショックのような経済的な打撃の「傷跡効果」。三つ目はメンタルヘルスを支えるサポートが足りていないこと、です。
SNSの影響って、具体的にどういうことですか?自分もかなり使ってるので気になります…
論文では詳しいメカニズムまでは踏み込んでいないのですが、「SNSが若者の精神的健康に影響している可能性を示す研究が複数ある」と指摘されています。断言はできませんが、気になる要素ではあるということですね。自分のSNSの使い方を振り返るきっかけにはなるかもしれません。
日本はどうなんですか?日本の若者も同じ感じですか?
実は今のところ日本はまだ「U字カーブ(むしろJ字カーブ寄り)」が維持されているとされています。ただしこの研究の調査対象に日本は含まれていないので、日本のデータで直接確認されたわけではありません。別の国内調査では、日本でも年代によって幸福度に差があることは確認されています。ただ「いつ同じ傾向になるか分からない」という見方もあります。
なんか、自分の「しんどさ」が個人の問題じゃなくて社会的な流れだと思うと、少し気が楽になる気もします。でも、じゃあどうすればいいんだろうって気持ちもあって。
その気づきはとても大事だと思います。「自分がダメだから」じゃなくて、「時代的・社会的な背景がある」と知るだけで、自分を責める気持ちが和らぐことはあります。研究では直接的な解決策は示されていませんが、苦しみや絶望感が「加齢とともに減っていく」傾向があることも示されています。今がピークに苦しい時期、という見方もできるかもしれません。
年を取れば少し楽になるかもしれないってことですね。なんか少しだけ希望が持てました。
そうですね。ただ「待てばいい」というよりも、今の若い世代の苦しみは社会全体で真剣に取り組むべき問題だと、この研究も訴えています。あなたが「しんどい」と感じること、同世代で共有しあえること自体、大切なことだと思いますよ。
■ 今日のまとめ
- 世界的に幸福度の「U字カーブ」が崩れ、若者ほど苦しみが大きく、年齢とともに幸福度が上がる傾向に変わってきた(米・英・44カ国データより)
- この変化の原因は中年層が楽になったからではなく、若者の苦しみがこの10年で増えたことによるもの
- SNSの影響・経済的打撃の傷跡・メンタルヘルス支援の不足が仮説として挙げられており、個人の問題ではなく社会的な背景があると理解することが重要
■ 出典・注意事項
- 出典:David G. Blanchflower, Alex Bryson, Xiaowei Xu(2025)『The declining mental health of the young and the global disappearance of the unhappiness hump shape in age』PLOS ONE, 2025/8/31. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0327858
- 注意事項①:本研究は大規模な調査データに基づく相関・傾向の分析であり、SNSや経済要因との因果関係が完全に証明されたわけではありません(論文内でも「仮説」として示されています)
- 注意事項②:44カ国データが使用されていますが、日本は対象に含まれておらず、日本の若者に直接当てはまるかは別途検討が必要です
- 注意事項③:「絶望」の定義(過去30日すべてで精神的健康が悪かった)は研究固有のものであり、一般的な「しんどさ」と完全に同一ではありません
研究自体の紹介はこちら😊
幸福度のU字カーブが世界的に崩れているー若い人ほど苦しんでいる世界に変わってきた
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-09-03-1756934383/