はぴテク相談室:何で日本では感謝→幸せにつながらなかったりするのか。
最近、意識的に「ありがとう」って感謝する習慣をつけようとしているんですけど、なんか逆にモヤモヤすることが増えた気がして…。感謝って幸せになれるって聞いてたのに、なんでだろうって思って。
それ、すごく大事な気づきですよ!実は早稲田大学の今泉先生と小塩先生が2025年に発表した研究で、まさにそのモヤモヤの正体を解明しようとしているんです。海外では「感謝すると幸福度や自己肯定感が上がる」という結果が一貫して出ているのに、日本では必ずしもそうならないことがあって。その理由を調べた研究なんですよ。
えっ、そうなんですか!日本だと感謝しても幸せになれないこともあるってこと?
ちょっと補足すると「必ずしも一貫して幸せにつながるとは言えない場合がある」という感じです。この研究では、感謝が自己肯定感(自尊感情)を高める面はあるんですが、同時に「心理的負債感」というものが間に挟まると、その効果が打ち消されることがある、と示されているんです。
心理的負債感…?なんですかそれ?
簡単に言うと「何かしてもらったら、お返しをしなきゃいけない」「借りを作っちゃった」という、ちょっとプレッシャーみたいな気持ちのことです。誰かに親切にしてもらった時に「ありがたいな」と感じると同時に「でも返せるかな…」と気になってしまう感覚、ありませんか?
あー!めちゃくちゃあります!ご飯おごってもらうと「次は自分が…」ってソワソワするやつ。
まさにそれです!研究では、特に32歳以下くらいの若い年代では、感謝の気持ちが高まるほどこの心理的負債感も一緒に高まりやすく、それが自己肯定感を下げる方向に働く可能性が示されました。つまり感謝のプラス効果と、負債感のマイナス効果が打ち消し合ってしまうんです。
じゃあ若い人は感謝しても意味ないってこと…?
そうとも言い切れないんですよ。感謝そのものが自己肯定感を高める効果はあって、ただ負債感がブレーキをかけてしまっている、というイメージです。ちなみに60歳以上の年代では、この負債感がブレーキになる効果がほとんど見られなくなっていたんです。年齢を重ねるうちに、恩を受けることへの捉え方が変わってくるのかもしれませんね(ただし、なぜそうなるかはこの研究だけでは断言できません)。
なるほど…。じゃあ私みたいに若くて感謝しやすい人は、どうしたらいいんでしょう?
一つヒントになるのが、「誰かへの感謝」だけじゃなく、「自然や環境、景色への感謝」なんです。空がきれいだとか、ご飯がおいしいとか。そういう感謝には、お返しをしなきゃいけない相手がいないので、負債感が生まれにくいんですよ。負の側面なく感謝を味わえる可能性がある、と研究者も指摘しています。
あ〜、それならプレッシャーにならないですね!あと、アメリカだと感謝が増えると負債感が下がるって言ってましたが、なんで日本と違うんですか?
この研究の中では、そこの「なぜ」まで詳しく掘り下げてはいないので断言はできないのですが、日本には「おかげさまで」「お返し文化」みたいな、恩義を大切にする文化的背景があることは背景として語られています。それが感謝と負債感を結びつけやすくしているのかもしれない、ということですね。
じゃあ感謝日記みたいなワークは意味ないんですかね…?
実はそうでもなくて!感謝のワークや講座に取り組んだ場合には、自己肯定感や幸福度が高まるという別の知見もあります。日常の中でふと感じる感謝と、意識的に取り組むワークとでは、働き方が違う可能性もありますね。なので感謝習慣をやめる必要はなくて、「人への感謝でモヤモヤしたら、自然や環境への感謝も取り入れてみる」くらいの柔軟さが合っているかもしれませんよ。
なるほど!感謝の仕方にも種類があるんですね。今日すごくスッキリしました!
■ 今日のまとめ
- 日本では感謝が「心理的負債感(お返ししなきゃという気持ち)」を生みやすく、特に若い年代では感謝のプラス効果と負債感のマイナス効果が打ち消し合い、自己肯定感への影響が出にくい可能性がある
- 自然・環境・景色など「お返しする相手がいない対象への感謝」は負債感が生まれにくく、感謝のネガティブな側面を避けやすいと考えられる
- 感謝ワークや講座では自己肯定感や幸福度が高まるという知見もあり、感謝習慣そのものを否定する必要はなく、取り組み方を工夫することが一つの手がかりになる
■ 出典・注意事項
- 今泉里香・小塩真司(2025)「感謝と自尊感情の関連――年齢と心理的負債感による検討」パーソナリティ研究, 34(1), 34.1.9. https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/34/1/34_34.1.9/_pdf/-char/ja
- 【注意事項】本研究は横断的な調査データに基づく相関・媒介分析であり、感謝が負債感を『引き起こす』という因果関係を直接証明したものではありません
- 調査対象は20〜69歳の日本人204名・262名(各研究)であり、結果をすべての年代・文化に一般化する際には注意が必要です
- 年齢による違いについても、なぜ高年齢で負債感の影響が小さくなるかの理由は本研究では明らかにされていません
研究自体の紹介はこちら😊
何で日本では感謝→幸せにつながらなかったりするのか。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-07-12-1752361801/