2025.06.09

夫婦関係においては、思いやりをベースとしつつも、Give&Takeのスパイスも大

共働き夫婦の、家事への動機と、夫婦関係満足度、幸福度の関係性。

についての学習院大学宮崎先生による最新研究😊

家事への動機としては、大きく以下の2つがあります。

①共同的動機(思いやり動機):相手のことを思って行動する

→パートナーが喜ぶから掃除しよう、相手が疲れてるから代わりに料理を作ろう

②交換的動機(お返し動機):お返しや平等を意識して行動する

→昨日洗濯してもらったから、今日は皿洗いをしよう、家事を公平に分担したい

※両立もします。思いやりも持ちつつ、お返しもする。というパターンも有。

で、これらと夫婦関係満足度と幸福度の関係を見てみた所、

●夫婦の夫婦関係満足度と幸せは、相関し合っている。

** (夫の幸せー夫の夫婦関係満足度ー妻の幸せー妻の夫婦関係満足度が、全部つながっている😍)**

●家事の動機については、

→①思いやり動機が高い人は、幸せだった。

→①思いやり動機が高い人は、夫婦関係満足度が高かった。

→②お返し動機は、幸せにも、夫婦関係満足度にも、直接的には影響なし。

※ただし、②お返し動機の使い分けは、夫婦関係満足度を向上させる。

** 使い分けとは、相手が冷たい時には、それなりの対応をする。ということ。**

とのことで、

基本は、思いやりのある夫婦ほど、幸せだし、関係性も良い😊

が、それが一方的になりすぎても良くないので、

そっけない態度や冷たい態度が過ぎる時は、お返しくらいの家事にする。

とか、ちゃんと対等な関係であることも長期的には関係性を良くするよ😊

ーーー

配偶者の応答性知覚に応じた共同的動機と交換的動機の調整:夫婦関係の良好さと主観的幸福感との関連

宮崎 弦太先生

社会心理学研究,2025/6/10

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/40/3/40_2023-035/_article/-char/ja

抄録

本研究は、配偶者の応答性に対する認識に基づいて、個人が家事を行う際の共同的・交換的動機をどのように調整するのか、また、それが夫婦関係における関係的・個人的幸福にどのような影響を与えるのかを検討した。この目的のために、本研究では8日間の日記調査を採用した。配偶者の反応性の認知の日々の変動に対応する動機づけの調整の程度を定量化するために、個々の傾きを計算した。その後、追跡調査を行い、関係満足度と主観的幸福感を評価した。本研究では、156組の既婚カップルのデータを、マルチレベル構造方程式モデリングによる行為者-パートナー相互依存モデルを用いて分析した。仮説通り、交換動機に対する配偶者の反応性の認知の傾きと関係満足度の間には負の相関が観察された。しかし、これとは対照的に、配偶者の共同動機に対する反応性の認知の傾きと、人間関係や個人的な幸福感との間には有意な関連は認められなかった。これらの知見は、知覚された配偶者の反応性に応じて交換動機を適応的に調節することが、良好な夫婦関係に寄与することを示唆している。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究の理論的背景:既存研究の流れ

🏗️ 理論の土台:恩恵提供における2つの動機

基本理論の確立

Clark & Aragón (2013) が提唱した理論が出発点です。

恩恵提供の2つの動機

  1. 共同的動機(communal motivation)

    • 相手の福利(welfare = 幸せ・利益)に関心を持つ
    • 相手のニーズを満たすために行動
  2. 交換的動機(exchange motivation)

    • 以前受けた恩恵への返報
    • 将来の見返りを期待した行動

親密関係での特徴

  • 親密関係では共同的動機が優勢
  • 交換的動機はあまり重要視されない

📊 実証研究の蓄積:どちらの動機が良いのか?

1. 共同的動機の効果を証明した研究

Clark et al. (2010)

  • 対象: 結婚直前・結婚後のカップル
  • 測定: 恩恵提供の実践と知覚
  • 結果:
    • 共同的動機で恩恵提供する人 → 関係満足度が高い
    • パートナーの共同的動機を知覚する人 → 関係満足度が高い

Le et al. (2013)

  • 測定: 共同志向性(communal orientation = 対人関係全般での共同的動機の強さ)
  • 結果: 共同志向性が強い人ほど
    • ポジティブ感情が強い
    • ネガティブ感情が弱い
    • 自尊心が高い

Le et al. (2018) - メタ分析

  • 分析: 複数研究の統合分析
  • 結論: 共同的動機と関係・個人の幸福の正の関連は頑健(robust = 安定した)な結果

2. 交換的動機の負の効果を示した研究

Murstein et al. (1977)

  • 測定: 交換志向性(exchange orientation = 対人関係全般での交換的動機の強さ)
  • 結果: 交換志向性が強い人ほど夫婦関係の質を低く評価

Clark et al. (2010)

  • 結果: 交換的動機で恩恵提供する人・パートナーの交換的動機を知覚する人
    → 関係満足度が低い

🔄 パラダイムシフト:動機は変動する

従来の限界

これまでの研究は「安定した特性」として動機を扱っていました。

新しい視点の登場

Grote & Clark (2001)

  • 発見: 夫婦関係での葛藤経験 → 家事の不公平感知覚が強化
  • 示唆: 関係内での不満 → 衡平性への関心が高まる
  • 重要性: 動機が状況に応じて変化する可能性を示唆

日レベルの変動研究

Impett et al. (2019)

  • 方法: 恋愛カップル対象の日誌法調査
  • 測定: 性行為における共同的動機(sexual communal motivation)
  • 結果: 共同的動機が強い日ほど
    • 関係満足度↑、ポジティブ感情↑、ネガティブ感情↓

Raposo et al. (2020, Study 3)

  • 結果: 性行為での動機の日レベル変動は関係満足度と関連せず
  • 問題: 結果が一貫していない
論文紹介 ありがとうなんとかなる 人間関係・恋愛主観的幸福・幸福測定

← 検索にもどる