雑談は、思ったよりも面白い😊
という、ミシガン大学エリザベス・トリン先生らの最新研究😊
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雑談は、ウェルビーイングにつながる。
一方で、人は雑談の面白さや幸せ感を、実際よりも低く見積もる。
ということが知られています。
(だからこそ、雑談を推奨していく必要がある。)
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で、その雑談について、
友人だったり見知らぬ人だったり、バーチャルだったり対面だったり、
二人とも興味なさそうなテーマにしたり、一人だけが興味あるテーマにしたり、
色々と条件をイジって、実験頂きました。
結果としては、上記どんな状態であっても、
事前には雑談を過小評価し、実際に雑談を行うと、めっちゃ楽しかった!
とのこと。
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また、その過小評価されるメカニズムも追って頂いた所、
雑談には、静的要素(トピック、相手との関係性など)と動的要素(会話中の没入感、共鳴など)があり、
動的要素が予測できない為に、雑談の面白さを事前には過小評価してしまう。
また、雑談は横で聞くより、参加することでウェルビーイングが大きく高まることも分かりました。
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ということで、
やっぱり条件色々変えてみても、雑談は最高だし、やる前は過小評価されているよ。
とのことでした。
職場や家庭、見知らぬ人と、など、色んなところで雑談を取り入れていきたいですね😍
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退屈な話題についての会話は、私たちが思っている以上に面白い
Conversations About Boring Topics Are More Interesting Than We Think
Elizabeth N. Trinh(ミシガン大学), Nicole Thio, and Nadav Klein
Journal of Personality and Social Psychology,2026
https://www.apa.org/pubs/journals/releases/psp-pspi0000521.pdf
会話は社会的つながりと幸福感を高めるが、こうした恩恵を想像するときに思い浮かぶのは、興味深い話題についての会話である。
しかし、日常生活において、退屈な話題についての会話から逃れることはできません。
本研究では、退屈な話題に関する会話に対する人々の期待が、実際の体験とどの程度一致しているかを検証しました。
9つの事前登録実験(本文中5件、補足資料4件、合計N = 1,800)の結果、参加者は退屈な話題に関する会話がどれほど楽しく興味深いものであるかを、一貫して過小評価していたことが明らかになりました。
興味深い話題に関する会話については、期待値が比較的正確に一致していた。この傾向は、バーチャル環境と対面環境、友人との会話と見知らぬ人との会話、そして自発的な話題と実験者が指定した話題のいずれにおいても見られた。
これは、会話の静的な要素を評価するのが比較的容易であるのに対し、動的な要素を評価するのが困難であることに一部起因している。話題は会話前に評価しやすい静的な要素であるため、人々は予測においてその重要性を過大評価してしまうのである。
会話が要求する関与の度合い——つまり、相手に返答し、耳を傾け、注意を向ける必要性——は、会話を楽しいものにする一方で、会話が始まって初めて動的に現れるため、評価するのが難しい。
楽しさに対する期待は、会話に参加するかどうかを決定する指針となるため、予測された楽しさと実際の楽しさとの間に乖離があると、実際には楽しめるはずの会話を避けることにつながりかねない。
キーワード:会話、退屈、楽しさ、社会的つながり、ウェルビーイング
【研究の背景】
■ 土台①:会話・社会的つながりはウェルビーイングを高める
まず研究者たちが出発点に置いているのは、「人と話すことは、人間にとって最も深い喜びの源のひとつだ」という主張です。
▼ 根拠となる主な先行研究
・Baumeister & Leary(1995)
人間には「つながりたい」という根本的な欲求(所属欲求)があることを示した古典的論文。孤立はウェルビーイングを損なう。
・Holt-Lunstad et al.(2010)
社会的つながりの豊かさが死亡リスクに影響することをメタ分析(※複数の研究結果をまとめて統計的に分析する手法)で示した。
・House et al.(1988)
社会的関係が身体的健康に与える影響を示した先駆的な研究。
・Ren et al.(2022)
会話への参加そのものが主観的ウェルビーイング(※自分が幸せかどうかの主観的な感覚)を高めることを示した。
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■ 土台②:孤独・社会的孤立は心身に有害
つながりの重要性を裏側から支えるのが、孤独に関する研究です。
▼ 根拠となる主な先行研究
・Cacioppo & Patrick(2008)
孤独は単なる「さみしさ」ではなく、認知・身体・精神に悪影響を与えることを示した書籍。
・Holt-Lunstad et al.(2015)
孤独と社会的孤立が死亡リスクを高める要因であることを示した。
これらを踏まえると、「会話の機会を避ける」ことはウェルビーイングへの実害につながりうる、という問題意識が浮かびあがります。
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■ 土台③:人は社会的交流のポジティブな側面を過小評価しがち
ここが本論文の直接の出発点です。先行研究は、人が「他者と話す価値」をしばしば低く見積もってしまうことを繰り返し示してきました。
▼ 根拠となる主な先行研究
・Epley & Schroeder(2014)
見知らぬ人と話すことを人は避けがちだが、実際に話してみると予想より楽しいと感じることを示した。「孤独を求める誤り」と呼ばれる現象。
・Sandstrom & Dunn(2014)
顔見知り程度の薄いつながり(※いわゆる「弱いつながり」)との会話も、予想よりずっとウェルビーイングに良いことを示した。
・Kardas, Schroeder, & O'Brien(2022)
会話の楽しさが続く時間を人は過小評価する(会話の「楽しさの軌跡」への誤解)ことを示した。
・Kardas, Kumar, & Epley(2022)
「深い話は気まずいだろう」という思い込みから、人はより浅い話題に留まりがちだが、実際には深い会話のほうが楽しいことを示した。
・Epley et al.(2022)
こうした現象をまとめて「アンダーソシアリティ(undersociality)」(※社会的交流を必要以上に避けてしまう傾向)と呼び、認知のゆがみが社会的つながりを妨げていると論じた。
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■ 土台④:人は単純・静的な手がかりに頼って判断する
なぜこうした過小評価が起きるのか。認知心理学(※人間の思考・判断のしくみを研究する分野)の知見がそのメカニズムを説明します。
▼ 根拠となる主な先行研究
・Gilbert et al.(1998)
感情予測(affective forecasting:※将来の感情状態を事前に予測すること)において、人は目立つ一側面に過度に注目し、その他の要因を見落とす「焦点主義(focalism)」に陥ることを示した。
・Hsee & Zhang(2010)
人は判断する際、評価しやすい単純な属性に頼る傾向があることを示した「一般評価理論」。
・Kahneman & Frederick(2004)
直感的判断では、難しい問いを簡単な問いに置き換えて答える「属性代替(attribute substitution)」が起きることを示した。
これらを総合すると、「話題(トピック)」という分かりやすく安定した情報に頼って会話の楽しさを予測してしまうメカニズムが浮かびあがります。
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■ 土台⑤:退屈の心理学
「つまらないトピック」への嫌悪感を説明するのが、退屈(boredom)の研究です。
▼ 根拠となる主な先行研究
・Eastwood et al.(2012)
退屈を「注意を持続できず、意味を見出せない状態」として定義した。
・Westgate & Wilson(2018)
退屈の「意味と注意のモデル(MAC model)」を提唱。退屈は、注意を向けるべき対象に認知リソース(※脳の処理能力)を割き続けられないときに生じるとした。本論文では「エンゲージメント(engagement)」の概念がこのモデルから引かれています。
・Chin et al.(2017)
日常生活のなかで退屈がどれほど頻繁に経験されるかを示した経験サンプリング(※日常の中で繰り返し感情・状態を記録する手法)研究。
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■ 土台⑥:会話はそれ自体が人を引き込む
本論文の核心的なアイデア——「会話はトピックに関わらずエンゲージングである」——を支えるのが以下の研究です。
▼ 根拠となる主な先行研究
・Huang et al.(2017)
会話中に質問をすることが相手への好感度を高めることを示した。
・Collins & Miller(1994)
自己開示(※自分のことを話す行為)と好意の関係を示したメタ分析。
・Kashdan et al.(2004, 2020)
会話の中で好奇心が刺激されることの効果を示した。
・Atir et al.(2022)
見知らぬ人との会話が予想以上に多くの情報と学びをもたらすことを示した。
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■ まとめ:先行研究が示す「問い」
以上の流れを整理すると、先行研究は次のことを示してきました。
・人は会話からウェルビーイングを得る
・しかし社会的交流の良さを過小評価しがち
・その原因は、判断しやすい「静的な手がかり」への依存
・退屈なトピックはその典型的な「マイナスの手がかり」となる
Trinh et al.(2026)は、この流れを受けて「退屈なトピックの会話」という、これまで正面から検討されてこなかった問いに取り組んでいます。
【 研究の全体像】
■ 実験1:「片方だけが退屈」な会話
▼ 問い
退屈なトピックについての会話は、予想よりも楽しいのか。
▼ 方法
・場所:フランスの大学実験室(参加者100名)
・手順:参加者がペアになり、スポーツ・映画・AI・音楽など10のトピックへの興味を1〜3で評価
・一方が「とても興味あり(3)」、もう一方が「全く興味なし(1)」となるトピックを選び、5分間Zoomで会話
・会話の前に「面白さ・楽しさ・また話したいか」を予測(7点尺度)
・会話の後に実際の体験を同じ尺度で評価
▼ 結果
退屈条件の参加者について:
・面白さの予測平均3.38 → 実際5.62(差:d = −1.46)
・楽しさの予測平均3.48 → 実際5.64(差:d = −1.38)
・また話したい気持ちの予測3.22 → 実際4.88(差:d = −0.94)
※dはコーエンのd(※効果量:差の大きさを示す指標。0.8以上は「大きい」とされる)
一方、興味ありの条件では予測と実際の差はほとんどなく、よく「較正(calibrated)」されていた(※予測と実際が合っていた)。
▼ 考察
退屈なトピックの会話は、予測より面白く・楽しく・また話したいと感じることが実証された。面白いトピックではこのずれが生じなかったことから、過小評価は退屈トピックに特有の現象であることが示唆された。
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■ 実験2:「両方とも退屈」な会話
▼ 問い
実験1の効果は、相手が「面白いと思っている」から生まれるのか。両者とも退屈だと思っていても同じ結果になるか。
▼ 方法
・参加者190名
・2種類のペアを設定:
「退屈×退屈」ペア(両者ともそのトピックに興味なし)
「退屈×興味あり」ペア(片方のみ興味あり)
・それ以外の手順は実験1と同様
▼ 結果
退屈×退屈ペアにおいても:
・面白さの過小評価:d = −1.06
・楽しさの過小評価:d = −1.45
・また話したい気持ちの過小評価:d = −0.81
退屈×興味ありペアでも同様の過小評価が見られ、効果の大きさに両条件で有意な差はなかった。
なお、「退屈×興味あり」ペアのほうが実際の楽しさや面白さは高かった(相手の熱量は一定程度影響する)。
▼ 考察
退屈な会話の楽しさは、「相手が面白いと思っている」ことに依存しない。両者とも退屈だと思っていても、会話そのものが予想以上の楽しさをもたらすことが示された。
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■ 実験3:友人と見知らぬ人での会話
▼ 問い
友人なら過去の経験から予測精度が上がるのか。それとも見知らぬ人でも同じ過小評価が起きるのか。
▼ 方法
・場所:アメリカ中西部の大学キャンパス(参加者326名)
・研究助手がキャンパス内で「友人ペア」と「見知らぬ人ペア」をランダムに勧誘
・各ペアが2回の会話を実施。1回は自分が提案した「相手にとって退屈そうなトピック」、もう1回は相手が提案したトピック(つまり自分にとって退屈なトピック)
・各会話は2分間、対面で実施
・会話前に予測、会話後に実際の体験を評価
▼ 結果
退屈トピックの会話における過小評価:
・友人ペア:面白さ d = −0.30、楽しさ d = −0.24
・見知らぬ人ペア:面白さ d = −0.51、楽しさ d = −0.70
どちらでも有意な過小評価が見られた。
また、「また話したいか」については、見知らぬ人ペアのほうが過小評価の幅が大きかった(d = −0.76 vs −0.32)。
関係性(友人か見知らぬ人か)という静的な要素は、予測には大きく影響したが(友人との会話をより楽しいと予測)、実際の体験の差は予測ほど大きくなかった。
▼ 考察
友人関係という「静的な要素(※会話前から分かっている安定した情報)」を人は予測に使いすぎており、実際の体験ではその差は縮まる。友人は多少予測精度が上がるが、過小評価は解消されなかった。
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■ 実験4:エンゲージメントの役割を検証
▼ 問い
なぜ過小評価が起きるのか。そのメカニズムは「エンゲージメント(※会話への没入感・心理的関与)」にあるのか。
▼ 方法
・場所:シンガポールの研究機関(参加者300名)
・3条件を設定:
「ライブ会話」条件(高エンゲージメント):実際に相手と5分間Zoomで会話
「文字起こし閲覧」条件(低エンゲージメント):その会話の書き起こしを読む
「録画視聴」条件(低エンゲージメント):その会話の録画を観る
・「文字起こし」「録画」条件の参加者は、ライブ会話をした人と同じ会話内容に接触する設計(コンテンツを一定に保ちつつ、エンゲージメントだけを変化させる)
▼ 結果
退屈トピックでの予測と実際の差:
・ライブ会話:面白さ 3.14 → 4.54(過小評価あり、p < .001)
・文字起こし閲覧:差なし(p = .649)
・録画視聴:むしろ過大評価(予測のほうが実際より高い)
また、予測はトピックの面白さに強く影響されていたが(退屈トピックは大幅に低く予測)、実際の体験はエンゲージメントの高さ(条件)に強く影響されていた。
▼ 考察
過小評価は、ライブ会話(高エンゲージメント)のときだけ生じた。文字起こしや録画では生じなかった。これは、リアルタイムで相手と話す「動的な没入感」が予測時に見落とされているためと解釈できる。同じ会話内容でも、受動的に接するだけでは「会話の楽しさ」は再現されない。