はぴテク相談室:不安気質な方には、肯定的なフィードバックをマシマシで❗
最近、仕事でそれなりにうまくできてると思うことも増えてきたんですけど、なぜか自分への自信が全然ついてこないんです。周りからも「よくできてるよ」って言ってもらえることもあるのに、どこかで「自分はたいしたことない」って感じが抜けないというか…。これって性格の問題なんでしょうか?
それは本当につらいですね。でも、「性格のせい」と片づけてしまうのはちょっともったいないかもしれません。実は2025年にロンドン大学(UCL)の研究チームが、まさにその「できているのに自信がつかない」という状態のメカニズムを調べた研究を発表しているんです。少し聞いてみますか?
ぜひ聞きたいです!どんな研究なんですか?
この研究では、不安やうつの症状(病気というほどではないけれど、傾向がある方)を持つ人たちが「なぜ自信を持てないのか」を調べました。参加者は合計500人以上の一般の方々で、課題をやりながら「今の自分、どのくらいできてると思う?」という局所的な自信と、「全体的に自分ってこの課題得意?」という長期的な自信の両方を測ったんです。
それで、何かわかったんですか?
面白いことがわかりました。不安・うつ傾向のある方でも、外からの「よくできたよ」「惜しかったね」というフィードバックへの反応自体は、他の人と変わらなかったんです。つまり、褒められたら「あ、うまくいったんだな」と受け取る力はちゃんとある。でも、もう一つ別のところに違いがあったんです。
別のところ、というのは?
それが「その場その場の手ごたえ」の使い方なんです。たとえば仕事をしていて「今の対応、うまくできた!」とその瞬間に感じたとします。普通はその感覚が積み重なって「自分って意外とできるな」という長期的な自信につながるはずなんですが、不安・うつ傾向が強い方はこの「手ごたえ→長期的な自信」への変換がうまくいきにくい、ということがわかったんです。
あ…なんかすごく当てはまります。「今日はうまくいった」って思っても、次の日にはもうリセットされてるみたいな感覚があって。それってそういうメカニズムだったんですね。
まさにそのイメージです。研究では「局所的な自信の高まりに対して、全体的な自信が鈍感になっている」という表現をしています。自分の中の手ごたえが全体的な自己評価に反映されにくいんですね。だから、実際のパフォーマンスは問題ないのに、自信だけが追いついてこないという状態になりやすい。
じゃあどうすればいいんでしょう?自分の内側の感覚だけじゃ難しいなら…。
そこがとても大事なポイントで、この研究では「外部からの肯定的なフィードバック」の重要性が示されています。外からの「よくできてるよ」という情報には、不安・うつ傾向のある方でもちゃんと反応できる。だから、周りの人や環境から積極的・定期的に肯定的なフィードバックをもらえると、全体的な自信の形成を補ってくれる可能性があるということなんです。
「定期的に」というのがポイントなんですね。一回だけじゃなくて。
そうなんです。研究でも、肯定的なフィードバックの頻度が高いほど全体的な自信が上がるという結果が出ていました。逆に否定的なフィードバックが多いと下がることも確認されています。だから「たまに大きく褒める」より「こまめに伝える」ほうが積み重なりやすいかもしれません。もちろん、不安やうつの傾向そのものへの対処も大切で、フィードバックはあくまで補助的なアプローチですが、日常の中で意識できることとして覚えておいていただけると良いと思います。
なるほど、自分でも「今日うまくいったこと」を誰かに話してみたり、言葉にしてもらう機会を増やすといいかもしれませんね。今日は自分がなぜ自信を持ちにくいのか、ちょっと理解できた気がします。ありがとうございます!
そうですね、誰かに話す・フィードバックをもらう・記録に残すなど、外からの「肯定の情報」を増やす工夫はとても自然な取り組みだと思います。「自信がないのは自分がダメだから」ではなく、「手ごたえが長期的な自己評価につながりにくいメカニズムがある」というふうに理解できると、少し気持ちが楽になりませんか?研究はまだ発展途上の部分もありますが、あなたの感覚は決してめずらしいものじゃないということは、確かに言えると思いますよ。
■ 今日のまとめ
- 不安・うつ傾向がある人は、外部フィードバックへの反応自体は正常でも、「その場の手ごたえ(局所的自信)」が「長期的な自己評価(全体的自信)」に結びつきにくいというメカニズムが研究で示された。
- 外部からの肯定的なフィードバックは全体的な自信と関連しており、頻度が高いほどその関連が強い傾向が確認されている。不安・うつ傾向のある人には、こまめな肯定的フィードバックが助けになりうる。
- 「できているのに自信がない」状態は性格の問題ではなく、メタ認知(自分の出来を判断する仕組み)のメカニズムとして研究されている。ただし、不安・うつ傾向そのものへの対処も並行して大切。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Katyal, S., Huys, Q. J. M., Dolan, R. J., & Fleming, S. M. (2025). Distorted learning from local metacognition supports transdiagnostic underconfidence. Nature Communications. https://www.nature.com/articles/s41467-025-57040-0
- 【注意事項①:相関について】この研究は不安・うつ傾向と自信のなさの関連・メカニズムを調べたものであり、「不安・うつが原因で自信がなくなる」という因果関係を直接証明したものではありません。
- 【注意事項②:対象集団】参加者は一般集団から募集された亜臨床的(病気の診断までは至らない)な不安・うつ傾向のある方が対象です。臨床的な診断を受けている方への適用については別途検討が必要です。
- 【注意事項③:フィードバック効果の限界】外部フィードバックが全体的自信と関連することは示されていますが、現実場面で同じ効果が得られるかは、この研究だけから断言することはできません。
研究自体の紹介はこちら😊
不安気質な方には、肯定的なフィードバックをマシマシで❗
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-06-08-1749413899/