2025.06.04

はぴテク相談室:生きがいを見つける上で、ネガティブケイパビリティは大事だよ。

相談者

最近、自分の人生って何のためにあるんだろう…って考えることが多くて。意味を探そうとすればするほど、なんか気持ちが落ち込んでいく気がするんです。これって普通のことなんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

その感覚、実はちゃんと研究でも確認されているんですよ。トルコのウシャク大学が2025年に発表した研究で、「人生の意味を探し求めること」が幸福感を下げる傾向があるという結果が出ているんです。1155人を対象にした結構大きな研究です。だから、あなたの感覚はまったく珍しくないんです。

相談者

えっ、意味を探すこと自体がよくないんですか?なんか、意味を探すって大事なことだと思ってたんですけど…

はぴテクさん
はぴテクさん

そこ、すごく大事なポイントなんです。この研究では「意味の探求」と「意味の存在」という2つを分けて考えています。「意味の存在」というのは、今の自分の人生に意味を感じているという状態。こっちは幸福感を高めます。一方「意味の探求」は、まだ意味を見つけられていなくて探し続けている状態。こちらは幸福感を下げる傾向があると出ているんです。

相談者

なるほど…。じゃあ、探すのをやめた方がいいってこと?

はぴテクさん
はぴテクさん

必ずしもそうとは言えなくて、別の研究(Nansook Parkらの2010年の研究)では、すでに「人生に意味を感じている」という感覚が一定あれば、探求することが幸福感を高めることもあると示されています。つまり、探す行為そのものが問題というよりも、足場となる「今ここに意味がある」という感覚があるかどうかが鍵になってくるみたいです。

相談者

足場かぁ…。でも、その足場がない感じがするから探してるわけで、なんか鶏と卵みたいですね。あと、なんで探すと幸福感が下がるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

今回の研究では、その背景に「不確実性への不寛容」というものが関係していると分析されています。これは、「先が見えない状況に強い不安を感じてしまう傾向」のことです。この傾向が強いと、人生の意味をなかなか感じられなくなって、意味を探し続けてしまう…という流れが起きやすいことが示されています。

相談者

不確実性への不寛容…なんか私、まさにそれかもしれません。将来が見えないのがすごく怖くて。それが意味を探す焦りにつながってる感じがします。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気づき、すごく大事だと思います。この研究で注目しているのが、ネガティブ・ケイパビリティという考え方です。不確実性への不寛容とは逆で、「答えが出ない状態、あいまいな状態をある程度受け入れられる力」のことです。ちなみに日本もトルコも、文化的に不確実性を嫌いやすい国として知られていて、この研究の知見は私たちにもわりと当てはまりやすいかもしれません。

相談者

なるほど。じゃあ「わからなくてもいい」って思える力が育つと、生きがいを感じやすくなるってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究の結果と照らし合わせると、そういう方向性は示唆されています。ただし研究は相関を見たものなので、「不確実性を受け入れれば必ず生きがいが生まれる」とまでは言えません。ただ、不確実性への不寛容が強いと意味を感じにくくなるという関連性は確認されています。「今はまだわからなくていい」と少し肩の力を抜くことが、焦りを和らげることにつながる可能性はありそうですよね。

相談者

年齢によっても違うって書いてありましたが、私は20代なんですけど、若いと特に影響を受けやすいんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では、若い人ほど「意味の探求」が活発で、不確実性の影響も受けやすいという結果が出ています。一方、中高年になると「意味の存在」つまり今の人生に意味を感じる力が強くなり、不確実性に対処しやすくなる傾向が見られました。20代でそういう揺らぎを感じるのは、研究的に見ても不思議ではないんです。

相談者

なんか、少し楽になりました。焦って意味を見つけなきゃって思ってたのが、そもそも焦り自体が幸福感を下げていたのかもしれないですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですね。「今すぐ答えを出さなくていい」という余白を持つこと、そして今の日常の中で小さくても「これ好きだな」「これやってよかったな」と感じる瞬間を大切にすること。意味の存在って、大きな哲学的答えじゃなくて、そういう積み重ねの中にあることも多いみたいですよ。研究の言葉で言えば、「意味の探求」より「意味の存在」を育てていく、ということですね。

■ 今日のまとめ

  • 「人生の意味を探し求めている状態」は幸福感を下げる傾向があり、「今の人生に意味を感じている状態」は幸福感を高めることが、トルコの1155人を対象にした研究で示されています。
  • 不確実性への不寛容(先が見えない状況への強い不安)が強いと、意味を感じにくくなり意味の探求が増える傾向があります。あいまいさを受け入れるネガティブ・ケイパビリティが、生きがいを感じる上で関連する要因として示されています。
  • 年齢によって影響の受け方が異なり、若い世代ほど意味の探求が活発で不確実性の影響を受けやすい傾向があります。ただし別の研究では、一定の「意味の存在」がある人には探求が幸福感を高めることもあると示されています。

■ 出典・注意事項

  • 【主要研究】Uzun, K. & Arslan, G. (2025). Meaning in Life Across Life Stages: Pathways from Uncertainty to Subjective Well-being. Applied Research in Quality of Life. https://link.springer.com/article/10.1007/s11482-025-10461-x

  • 【補足研究】Park, N. et al. (2010). 意味の存在がある場合、意味の探求が幸福感を高める可能性を示した研究。

  • 【注意事項①】本研究はトルコ在住の参加者を対象としており、不確実性回避傾向が強いトルコ文化の特徴が結果に影響している可能性があります。日本を含む他の文化・集団に同じ結果がそのまま当てはまるとは限りません。

  • 【注意事項②】この研究は相関関係を分析したものです。「不確実性への不寛容が強いから生きがいを感じにくい」という方向性の関連は示されていますが、因果関係(一方が他方を引き起こす)が証明されているわけではありません。

  • 【注意事項③】意味の探求と幸福感の関係は、すでに意味の存在を感じているかどうかによって異なる場合があり(Park et al., 2010)、一概に「探求=悪い」とは言えません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
生きがいを見つける上で、ネガティブケイパビリティは大事だよ。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-06-04-1749066583/

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